白いワンコとお兄ちゃんのお散歩が、いつまでもいつまでも続きますように・・・♡
8年前、我が家に愛犬をお迎えしてから、
ご近所のあらゆる犬のお散歩に注目するようになった。
ほとんどはお母さんが連れていたけれど、
高校生くらいのお兄ちゃんがいるのに気がついた。
しかもほぼ毎日だ。
ときどきお母さんが担当している日もあったが、
お兄ちゃんは白い小さなワンちゃんと
いつも静かにゆっくり歩いていた。
たまに他の中高生くらいの子のお散歩を見かけると、たいていの子はずーっとスマホを見ながらで、長めに伸びたリードのワンちゃんが道路に飛び出したり落ちている物を食べてしまったりしないだろうかとハラハラした。
でもそのお兄ちゃんは
そっと静かに白いワンちゃんを見守っていた。
スマホも持っていない。
ゆっくりゆっくり歩くワンちゃんを
決して無理に引っ張ったりすることなく
ただ寄り添って歩く姿が微笑ましかった。
そんなお兄ちゃんのお散歩は5年くらい続いたが、気がつくと朝も夕方もお母さんやお父さんになっていた。ある日、お母さんとお話しするタイミングがあったので、思い切って聞いてみた。
「いつもお兄ちゃんがお散歩してましたね。」
「あー、それは次男なんです。子供たちが中学生の時にせがまれてこの子をお迎えしたんですよ、ちゃんとお世話もするって約束で。長男は最初だけですぐにお世話しなくなりましたけど、次男はほんとに可愛がって毎朝ほとんどお散歩してました。」
お兄ちゃんは14歳の時から
就職して実家を離れるまで10年間、
ずっとお散歩を続けたそうだ。
私はその5年を間違いなく見てきたのだが
あらためて10年と聞くと信じがたかった。
我が家の愛犬も同じような誓いの下にお迎えし、
みんなで可愛がってはいたけれど、
早々にお世話係は私が専任に。
それもごく普通のことだと思っていた。
自分が子供の頃の実家の柴犬との関係も然り。
そんなお兄ちゃんを久しぶりに見かけたのは
お盆休みだった。
白いワンちゃんとお父さんも一緒だ。
「お兄ちゃん、おかえり!
ワンちゃん、うれしいね!」と
2人と1匹の後ろ姿に熱いものが込み上げた。
次に見かけたのはお正月。
だいぶ大人っぽくなっていて、
ワンちゃんを連れていなければ
お兄ちゃんだとわからなかっただろう。
今年、次に会えるのはGWだろうか。
きっと帰ってくるに違いない。
もう10歳を越えて
シニア犬と呼ばれるようになるだろう
小さな白いワンちゃんと
優しいお兄ちゃんとのお散歩が
いつまでもいつまでも続きますように。