「T・Pぼん」シーズン2 感想あれこれ
こんにちは。
Netflixで、アニメ「T・Pぼん」シーズン2の配信が2024年7月17日から始まっています。
シーズン1がものすごくすばらしくて、ぼくも衝撃を受けたこの作品、シーズン2もとても期待していました。
そして先日、全話視聴し終わりました。
実はもうそれ以来、何度も何度も観返しています。
それくらい、期待以上におもしろいシーズン2でした!
そんなわけで、今回はこのアニメ「T・Pぼん」シーズン2について、観終わって感じたこと・考えたことあれこれのうち一部を書きたいと思います。
とても深い内容の作品なので、一回では思ったことのすべてをとても書ききれない!
なので、今後も折に触れこの作品について(アニメだけでなく、原作も)語ることになると思います。
今回はその1回目。
(一部ネタばれありです。未見のかたはご注意ください。)
シーズン2でいちばんの変化は、まずヒロインがリームから安川ユミ子に代る、ということです。
原作ファンの間ではどうもリーム人気が高いようで、実際、原作ではぼんとリームがコンビを組んでいる話より、ぼんとユミ子のコンビの話のほうが話数が多いのですけど、にもかかわらずユミ子の人気はリームにくらべていまひとつのようです。
で、今回のこのアニメ版、いちばんの見どころの一つめ。
それは、ユミ子です!
彼女がとてもかわいく、賢く、でも謙虚さも持ち合わせた、とても魅力的なキャラクターに描かれています。
まずこれだけでも観る価値大です!
シーズン1で多くの視聴者と同じように、リームに心をつかまれたぼくですけれど、このシーズン2を観て、ユミ子が大好きになりました!
このアニメ版のシリーズ構成(脚本家陣のリーダー的な役割)を担当したのが、柿原優子さん。
彼女がインタビューで、こう発言しています。
「平凡なのもそうですが、私はマイナス面があったり目立たなかったりする日陰にいる立場に興味を持ちやすいので、リームという華やかなキャラの対向にいるユミちゃんに肩入れしました。リームはほうっておいても、みなさんがどんどん素敵に仕上げてくれますからね」
(Fライフ増刊『T・P本 アニメ「T・Pぼん」と藤子・F・不二雄の世界』掲載のメインスタッフインタビューより引用)
なるほどな。どうりで。
アニメを観た後にこのインタビューを読んで、そう思いました。
活動的で、やさしくて、思いやりがあって、しかも賢くて機転も効く。
往々にして、ぼんをしのぐ活躍を見せるし、ぼんの失敗の埋め合わせもすすんで引き受ける。
にもかかわらず、決しておごらず、常に先輩であるぼんをたて、先輩へのリスペクトを忘れない。
理想的なヒロインですよね。
そんなキャラのせいもあり、またぼんと同い年(このアニメ版では、もともと同じ学校のクラスは別だが共通の友人のいる顔見知り、という設定)ということもあって、ぼんとユミ子のコンビは、リームとのコンビにくらべて、よりバディ感が強まっている気がします。
そこも、このシーズン2の魅力のひとつです。
そして、見どころの二つめ。
原作にはない、ブヨヨンの続投です!
これは、ぼくもそうあってほしいと思ってましたので、大歓迎です!
原作ではユミ子編になってからはブヨヨンは登場せず、ぼんとユミ子のコンビのみでの活動になっているのですが、このアニメ版シーズン2では、最初から最後まで、ブヨヨンがずっと登場します。
原作ではぼんかユミ子のどちらかがしゃべっているセリフの一部やオリジナルのセリフが、このアニメ版のブヨヨンに割り当てられています。
それらのセリフは、ちゃんとシーズン1のように「ブヨヨン節」にアレンジされているので、違和感はまったくなし!
しかも、おそらくシーズン1以上に大活躍している気がします!
最終回に至るまで、ミッション達成に重要な役割を果たすことも多いです。
それに、ブヨヨンはほんとにかわいい!
毒舌だし皮肉屋だけど、実は仲間思いで面倒見がよく、常にぼんやユミ子のそばにくっついてサポートをしてくれています。
実に優秀な助手です!
(本人は助手というより、自分のほうがマスターと思ってるっぽいですが笑)
満点です。
声を担当した宮野真守さんのアドリブも相当あったみたいです。
上記Fライフ増刊に声優さんたちのインタビューで触れられていますので、興味あるかたは読んでみてください。
そして最後に、見どころの三つめ。
これは、この作品のテーマがかなり明確に示されている、ということです。
そのテーマとは、
「歴史を作っているのは、後世に名を遺した有名な人物だけではない。
名も知れない平凡な人たちこそが、日々の生活をとおして歴史を作っている。
だからこそ、名もなきふつうの人々の命を救うことに意義があり、その命の価値は重いのだ」
ということです。
そのことは特に、最終回第12話で、ぼんのモノローグで明確に語られます。
YouTubeのNetflix公式チャンネルにその部分の映像が公開されています。
ご覧ください。
もう、ここで語られている以上にぼくが付け加えることなどないでしょう。
あとは、これを聴いたみなさんが、自分なりにその意味を考えてくださればいいのだと思います。
そしてこれが、原作者、藤子・F・不二雄の言いたかったことでもある。
それはまちがいないと、ぼくは考えます。
このアニメ版の最後の2話はアニメオリジナルの脚本です。
原作が未完のまま終わったため、もともと完結編といえるストーリーは存在していないわけですが、アニメ版のスタッフは原作の意図をしっかりと理解し受け継ぎ、まるで、
「もし原作者が生きていたら、まさにこういうラストを書いたのではないか?」
と思わせてくれるような、すばらしいストーリーと映像を作ってくれました。
そして、作中でもときどき語られるように、
「過去の人たちが生み出したもの、生み出したことを、彼らの遺志を受け継いで成し遂げていくこと。
継承すること。
それがおそらく、現在を生きるぼくたち、そして未来を生きるであろう人たちに与えられた使命であるということ」
そういう意味で、今回のアニメ版そのものが、まさに作者、藤子・F・不二雄の遺志を継承し、結実させた成果であることを体現している。
そう言えるのではないでしょうか。
とにかく、シーズン2、全12話、本当におもしろく、すばらしい内容です!
シーズン1もすばらしかったのですが、このシーズン2によって、「T・Pぼん」という作品が、ぼくにとってさらにかけがえのないものになりました。
自分の中で一生、心に残るであろう作品のひとつ。
そうなりました。
まだまだ、語りたりません。
それだけ、「T・Pぼん」という作品は、もっともっと深い、広いものです。
でも今回は、とりあえずここまで。
まだ観ていないかたには、ぜひ観ていただきたい!
観た、というかたにも、また観返して、そこに描かれた意味・意図・テーマを、もっともっとすくいとっていただきたい!
そう願いながら、いったんここは終えたいと思います。
また、別の機会に続きを語ります!
(2024/8/1, 8/2追記)
ことばや表現を適宜、修正・追加しました。