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短編小説:火曜日の朝

朝、日の光がカーテンの隙間から差し込み、部屋に柔らかな光が広がっている。
携帯電話の画面に向かっている僕は、まだ夢の中にいるようなぼんやりとした意識の中で、日常の一コマを過ごしている。
指先がスムーズにスクリーンを滑り、最新のニュースやSNSのフィードが流れ込む。
そうしていると、隣から君が少し遅れて目覚める気配が感じられる。

目をこすりながら、君は寝ぼけた表情を見せる。
髪が乱れ、少し恥ずかしそうに笑いながら、君はキッチンへと向かう。
数分後、パンが焼かれる香ばしい匂いが部屋に広がり、コーヒーの湯気が立ち上る。
君が淹れたコーヒーの香りが、心地よい朝の空気と混ざり合う。
テーブルの上には、焼きたてのパンとコーヒーのカップ。
君は嬉しそうに、そのシンプルな朝食を前に笑顔を浮かべている。

テレビでは、情報番組が流れている。
何気ない話題が次々と映し出される。
画面の中では街の景色や、子どもたちが遊ぶ公園の映像が響く。
君はその映像に目を向けたり、僕の方に微笑んだりしながら、忙しい朝のリズムを楽しんでいる。

食事を終えると、君はトイレに籠る。
その間、僕はゆっくりとリラックスし、動画配信サイトで今日観る映画をピックアップする。
画面をスクロールしながら、目に留まる作品の紹介文を読みあげる。
どれも魅力的で、選ぶのが楽しみだ。

しばらくして、君がトイレから戻ってくる。
少しすっきりとした表情で、君は僕の選んだ映画のリストに目を通す。
「これ、面白そう」と指を差す。
僕もその作品の概要を説明し、二人で興奮を分かち合う。

映画を観るために、僕たちはYogiboに寄りかかり、体をリラックスさせる。
僕は冷えたビールを手にし、一口飲む。
その瞬間、喉を潤すひんやりとした感覚が広がり、心地よさが体中に満ちてくる。
お酒の飲めない君は、ジャスミン茶を持ち、リラックスした姿勢で、映画を待つ。

画面に映る物語が始まると、何気ない日常が映画の世界に溶け込んでいく。
その瞬間、僕たちの心も一つになり、映画の展開に合わせて、驚きや喜びが互いに伝わっていく。
心地よい音楽や映像に包まれながら、何度も顔を見合わせ、時折笑ったり、驚いたりする。
その中に流れるのは言葉ではなく、僕たちの表情や呼吸、そして静かな共鳴。

この何気ない日常が、実はとても幸せな瞬間であることを、二人とも心の底で感じている。
周りの雑音や情報が消えてしまい、ただ一緒にいるということが、どれだけ貴重なものかを理解している。
特別なことは何もない。ただ、君と僕がいるだけ。
それが幸せなのだ。
特別な出来事がなくとも、ただ一緒にいることの喜びが、僕たちの心を満たしている。

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