受動喫煙について考える(3)
3 対策
現在、我家では空気清浄機を4台フル稼働している。
10年ほど前に購入したシャープ製の空気清浄機を皮切りに、小型の空気清浄2台(一台は居間、もう一台は寝室)、アンデス製の大型空気清浄機(これは新幹線でも使用しているという強力な空気清浄機で、機能性は高いものの音がやかましいので連続運転は難しい)。
60㎡の居室内で、寝室用の一台を除く3台が常に稼働している。汚染度が酷くなると、寝室のも居間に移動して稼働させている。それでも追い付かないほど空気が汚染されることが時にある。
たとえば、こんな具合である。
HCHO(ホルムアルデヒド):基準値は0,08PPM(0,1mg/㎥)以下
TVOC(総揮発性有機化合物):基準値は400 μg/㎥以下
PM2,5 :大気中に浮遊している粒子状物質のうち、粒子の大きさが2,5 μm以下のものをPM2,5という。PM2,5の空気中濃度の一年平均値が15μg/㎥以下、かつ1日平均値が35μg/㎥以下であることが求められる。PM2,5の弱者の健康被害36-55μg/㎥ ,健康に有害56-150, 極めて有害151-250
PM10:粒径が10μg以下のものをPM-10(Particulate Matter)という。基準値は0,15mg/㎥以下。
CO2: 基準値は1000PPM以下
(この測定器の表示では黄色のPOLUTE4に相当する)
問題は一体どこから副流煙が入り込んでくるのか、ということだ。
窓や換気扇から、と一般的には考えられているが、窓を閉めてカーテンをきっちり閉め、換気扇を止めたとしても、煙はどこからともなく入り込んでくる。
日本禁煙学会に相談したところ、どうやら配線やコンセントの穴から入りこんでくるのではないかという。閉め切った室内にいても、近所の料理の匂いがすることがあるが、タバコの煙は更に細かいPM2,5という微粒子なので、どこからでも入り込む。防ぎようがなく、侵入経路を突き止めるのも極めて難しい。
たとえば、喫煙室が設けられているカフェの店内でも、時折タバコの臭いが漏れてくることがある。商業施設で強力な空気清浄機を設置していても、煙はどこからともなく一般席にまで侵入してくる。受動喫煙防止条例により、かなり厳しく規制されるようになったカフェやレストランでさえそうなのだから、一般家庭で近隣からの副流煙を防ぐ手立てはないに等しい。空気が出入りする場所には必ずタバコの煙も出入りするからである。
にも拘わらず、個人が自宅内ですることを規制はできない、と法律に定められている。これはプライバシーにかかわる問題なのだ、と。
日本国憲法(昭和二十一年憲法)第25条
第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上 及び増進に努めなければならない。
「健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する」ことは、日本国憲法に書かれた基本的人権の一つなのだ。
クリーンな空気は、健康な生活を営む上で、基本的かつ重要な要素ではないのか。
しかし、喫煙者のプライバシーは守られても、副流煙を受ける側の人権は守られないのが、残念ながら、日本という国の現状である。
だが、最近になって、我家では変化の兆しも見えてきた。
隣家のヘビースモーカーが「タバコ止めました」と言うのだ。ホントかどうかわからないけれど、心なしか副流煙が減ってきた気もする。
残念ながら、近所には他にも喫煙者がいるので、全面解決には至っていないのだが。
喧嘩ごしになるのではなく、あくまでもこちらの現状を訴えて、ねばり強く時間をかけて説得すると、効果があるかもしれないし・・全くないかもしれない。
一人で説得するのは難しいので、できれば協力してくれる人がいるのが望ましいのだが。
また、自身の体力や免疫力を高めて、ちょっとやそっとの副流煙ではビクともしない体を作る、ということも対策の一つに挙げられるかもしれない。
私にはリウマチや喘息の持病があり、70歳を過ぎたあたりから、体力も免疫力も落ちてきたのを実感している。でも、それを言い訳にするのはあまりよろしくないとも思っている。過去と他人は変えられない、という。喫煙者を変えるのが難しいなら、自分を変えるしかないだろう。ジムに通ったり食事に気を付けたりとできるだけ努力をしている。
これは友人から聞いた話だが、受動喫煙を避けるために引っ越した人が、引越し先でも再び受動喫煙の被害を受けたという。運が悪いといえばそうなのだが、日本にはまだまだ喫煙者が多いということの証拠でもある。
一日も早く、日本から受動喫煙がなくなることを願ってやまない。
【参考資料】
「タバコの害からあなたと家族の健康を守るには」青山君子著(むつら星書房 2023年)電子書籍版