受動喫煙について考える(2)
その2 現状
とはいえ、声高に「喫煙はやめましょう」「体によくないので禁煙しましょう」と言ってみたところで、喫煙者が簡単にタバコを止めるはずもない。
なぜなら、タバコには中毒性があるからだ。
アルコール中毒やギャンブル依存症のような「中毒」なのだから、よほどのことがない限り、本人から止めようという気にはならない。
よほどのこと、というのは命にかかわることで、そこまでいかないと気づかないのがタバコの恐ろしいところだ。
タバコはまた、たばこ病とも言われるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を引き起こすと言われている。
「長引く咳や痰(たん)、坂道や階段を上った際に起こる息切れなどはCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の代表的なサインです。COPDは肺の病気の一種。空気の通り道である気道が狭くなったり、肺の動きが悪くなったりして呼吸がしにくくなる病気です。長い喫煙習慣によって発症し、患者数は現在500万人にのぼると推定されています。別名「たばこ病」ともいわれ、肺がん以上に、たばこと関係の深い病気なのです。
COPDが悪化すると、徒歩での移動や着替えや入浴などのささいなことでも息切れが起こるようになり、日常生活に支障を来します。WHO(世界保健機関)では、2008年のCOPDによる死亡順位が第4位だったことをふまえ、2030年には死亡者数が30%増加、死亡順位も第3位になると推測しています。日本でも、COPDによる死亡者数は年々増加傾向にあります。」
(神奈川県の広報より)
最近では「禁煙外来」もあちこちに出来ている。しかし、いくら禁煙外来があろうと、禁煙パッチや禁煙飴があろうと、当の喫煙者たちがタバコを止める気にならなければ、そうした手立ては全く役にたたない。
一方、なぜかタバコに親和性がある人たちもいるようで、長期間にわたりヘビースモーカーを続けても、病気にもならず健康そのものだと豪語する人たちもいるにはいる。その人が将来COPDや肺ガンを発症する確率は低くはないものの、それすらすり抜けて、死ぬまでタバコを吸い続ける人たちもいないわけではない。
だが、そういう特殊な人たちをモデルにしてはいけない。
普通の人にとって、タバコはやはり害なのだ。特に乳幼児、子どもにとって、喫煙環境は最悪である。
昔はみんなタバコを吸っていたけど、子どもが病気になったりしなかった、と言う人たちもいる。しかし、住宅事情が昔とは違う。隙間だらけの木造家屋に比べ、コンクリートの集合住宅では、空間の密閉度が各段に違う。その密閉空間で喫煙された日にゃあ、部屋の空気がどうなるかくらいは想像できんとね?
受動喫煙問題について、私がこれまで試みてきたことを挙げてみる。残念ながら、まだ解決には至っていない。
① 10年くらい前に副流煙に気づき、近所を訪ねて回り、誰が喫煙者であるかを突き止めて、個人的に交渉した。
「喘息の持病があるので、タバコは本当にきついんです(医師の診断書を見せ)、タバコを吸うなら敷地の外にしてもらえませんか?」
何度も訪ねていき交渉を重ねた。最初のうちは「すみません」と低姿勢だった喫煙者だが、何度も訪問するうちに、「自宅しかタバコを吸う場所がない。自宅で吸ってどこが悪い」と開き直るようになり、険悪な空気になってきたので引き下がる。
(この団地は、私の終の棲家になるだろう。できればトラブルは避けたいので、トラブルになりそうになったら引き下がることにしている。)
そうこうするうちに、新たに引越してきた人が喫煙者であることが判明。訪ねていき交渉したが、電子タバコなので煙は出ない、タバコを止める気はない、と突っぱねられた。
(婆さんが一人で交渉してもほとんど勝ち目はない、ということがわかってきた)
② 団地自治会に相談し、回覧板を廻してもらったこともあるが、喫煙者が多い団地ということもあり難しい。また、自治会の会議で提案しようとしたら、プライベートな問題なので、自己責任でお願いしますと止められた。
③ これまでに私が相談した場所:市役所、保健所、都の受動喫煙防止条例苦情係、日本禁煙学会、JKK・無料弁護士相談、ヴァンガードスミスという民間のトラブル対応会社、市議数名・・。
いずれも法的な規制ができない限り難しい。我慢できないならあなたが引っ越すしかないと言われた。ご近所さんは同情してくれるものの、手助けはしてくれない(巻き込まれたくないとの気持ちはよくわかる)。
(続く)
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