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スクリーンの向こうにあるもの

 僕は映画が好きで、同時に嫌いでもある。映画は人の一生を描き出す。ある作品では、主人公が生まれ、成長し、失敗を繰り返しながらも成功を手に入れるまでを。けれど、スクリーンの中の物語を眺めていると、どうしても自分の人生と重ねてしまう。そして気が付くのだ。僕の人生もいつか、ひとつの物語として誰かに語られるとしたら、どんな結末になるのだろう、と。

 小学生の頃、将来の夢を訊かれる授業があった。最近の子どもたちは「YouTuberになりたい」「あいみょんのようになりたい」と答えるそうだ。確かに、今の時代はどんな職業でも自由に目指せる。けれど、誰もが夢を叶えられるわけではない。インフルエンサーやロックミュージシャンになりたいと努力し続けた人たちは、夢に辿り着けなかったらどうなるのだろうか。努力が報われない人生もあるという現実に、彼らはどう向き合うのだろう。

 だからこそ、映画を見るのは苦しい。たとえハッピーエンドで終わっても、その物語の主人公たちの人生はそこで終わらない。その後、彼らは本当に幸せでいられるのか。僕たちがスクリーン越しに見つめる彼らの笑顔の先に、何が待っているのか。人生は映画のようにエンドロールで完結するわけではないのだ。幸せとは一瞬の輝きに過ぎないのか、それともずっと続くものなのか。映画はそんな問いを僕たちに残して去っていく。そしてその問いの答えを探しながら、僕たちは自分の人生のシーンをひとつずつ生きていくしかない。

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