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佐賀県立美術館の魅力
「形態は機能に従う」
たとえば、椅子にはどんな形でもよいというわけではない。安定した脚や、体を支える平らな座面が必要である。つまり椅子の機能は椅子のとり得るかたちを限定している。
佐賀県立美術館は、モダニズム建築の代表的な例であり、その根底にある思想は「機能が形態を支配するべき」という考え方である。現代のモダニズム建築は、デザインにおいて装飾を徹底的に排除する方向へと進んだ。
加えて、絵画の手法である「キュビズム」の細分化を否定し、立体的な構造こそが物体の本質を捉えるうえで最も重要であると主張した。伝統にとらわれることなく、近代という時代に即した新たな価値観を建築に反映させることが、モダニズム建築の挑戦であった。
佐賀県立美術館の乳白色に統一されたファサードと立体的で大胆な形態には、その思想が見事に表現されている。
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