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大森靖子を聴いて

 大森靖子の歌を初めて聴いてみたら、なぜ彼女が人気なのかすぐに理解できた。曲調はロックで、僕好みの音楽だ。いいね。特に歌詞が印象的で、女性特有の生きづらさや抑圧をテーマにしていて、「メンヘラ」と呼ばれる人たちから支持される理由もわかる。爽やかなロックサウンドに、彼女の心からの叫びが加わって、とても聴きごたえがある曲が多い。

 


 その中でも、マジックミラーのPVが特に印象に残っている。僕は、この映像を観ながら泣いたよ!
PVは、いろんな人たちが歌詞を読み上げるシーンから始まる。ティッシュを配る男性、オカマバーで働く人、セクシー女優など、さまざまな人々の日常が映し出され、それぞれが歌詞を読み上げる。登場人物はみんな、社会的に弱い立場にある人たちだ。

 その中で、こんな歌詞がある。

 「あたしアナウンサーになれない きみも色々してきたくせに どうやって息をするのが正解だったか教えて」

 歌詞が読み上げられた後、大森靖子がギターを抱えて画面に登場する。この瞬間にはっきりと分かる。この曲は抑圧された人たちの思いを大森靖子が代わりに歌ってくれるんだと。これは、応援歌だ。

 さらに、

 「あたしのゆめは君が蹴散らした ブサイクでボロボロのLIFEを掻き集めて 大きな鏡をつくること 君がつくった美しい世界をみせてあげる」

 という歌詞があり、ここからは、一度は壊れて諦めた夢をそれでも掻き集め、もう一度挑もうとする前向きな気持ちが伝わってくる。努力しても報われない現実を知りながら、それでもあきらめない姿勢だ。転んだ先でも見える景色がある。

 そして、

 「あたしの有名は君の孤独のためにだけ光るよ 君がつくった美しい君に会いたいの」

 という歌詞も、大森靖子が孤独な努力の最中にいる人たちを励ましていることがわかる。「私が有名になったのは、あなたのためだよ。あなたは一人じゃないよ」と語りかけ、転んだ先に見える景色を一緒に見たい、という応援の気持ちを伝えている。

 ネット上では、インフルエンサーたちが「やりたいことをやりなさい」、「自由に生きよう」といった力強いメッセージを発信している。しかし、そのように生きられない人たちはどうなるのか。夢を信じて努力しても報われなかった人たちは、一体どんな思いを抱えているのか。大森靖子の楽曲は、ただのロックソングではなく、そうした抑圧された人々に向けた希望と共感のメッセージが詰まっている。


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