早咲きの桜の散る頃には
熱の冷めぬうちに、君に語りかけてもどうにもならないことは分かっていたし、だからといって時間に解決してもらうのは糸がほつれそうだった。洗濯物のたたみ方が雑だとか、食べる時に肘をつくなとか今までも色々あったが、その都度互いのキャンパスに色を塗りあっていったよね。あの時言い合った最低なこと、今の君と笑い合えるかな。
こんな時に君を思いやる言葉の1つでも浮かべばいいのだが、おざなりな言葉を紡いで君を傷つける方が怖かった。この手も肩も耳も君に貸すためのもの、って誓ったこと覚えてるかな。今のしがない僕はそんなに頼りなく見えるのかい。
こんな時でも相も変わらず君の作るミートパイは美味しいし、空気の読めない風はパキラの葉を散らす。桜があれば外に出る理由にもなるのだが、今年は早めに仕事を終えたらしい。
愛する人に囲まれて順風満帆とは言わないけど、ふらついた時には支えてくれる人がいたし、迷わないようにレールを敷いてくれてた。君もその中の1人なのは間違いないし、君は愛する人なのも間違いない。けどそんな言葉じゃ足りないほど君は特別で唯一なんだ。僕が頼りない?僕に呆れてる?いいよ、それでも。けどぶつけてよ、どんなに不格好でありきたりでも絶対に受け止めるからさ。
また一緒に笑おうよ。