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庇う男子たち【史上最も醜い学級会】

⑮「今日の学級会ではセックスの相手を決めてもらいます。」史上最も醜い学級会が始まった!政府のとんでも政策、少子化対策案とは?T県中学校2年1組の生徒の運命は・・・

庇う男子たち

「じゃあ次、エマ。」また少しざわつき始めたが、原口悠が呼びかけた。「はーい、みんな、自分にとっても大事な話だから静かにしようぜ!」岩瀬恵真のためでもあるだろう。好みの女のためには頑張る男だ。「はい。」岩瀬恵真は発言するときに必ず顔が赤くなる。それが男子にとってさらにカワイク見えるのだろう。「えっと、大会はどうするんですか?」「大会って全中につながる総合選手権?」「はい、それです。」実は明法寺紗理奈も同じことを聞こうとしていた。「・・・。大会ね。流産の危険性があるから、健康上は勧められない。もちろん俺は医者じゃないから詳しいことは分からないが。」「全国制覇を目指して頑張っとったのは知っているが、・・・あきらめてもらうことになるかと思う。無理をすればお前の健康に重大な影響を及ぼすかもしれないし。」うつむいて悲しそうな顔をしている。今にも泣きだしそうだ。「1年間のブランクはインターハイにも関わってくる。なんとか頑張っって、高校の2年か3年で雪辱を晴らしてくれ。」岩瀬恵真はしょんぼりして、声を出さずに頷いた。「チィ、相変わらずのぶりっ子が」明法寺紗理奈は心の中で呟いた。その時「いぇーい、岩瀬残念!俺とセックスする?」黒岩弼がちゃちゃを入れた。さすが最低の男。ここで言うか。「おい、弼!」東幸平が威嚇するような声を出した。黒岩弼はすぐに黙った。東の声が聞こえたからだ。「そそ、そ、そうやぞたた、たすく。いまいあいまきずとついいいてそれそれそれそ、れははひどいだだろ。」田中数斗も独特の話しぶりで後に続く。この男はどもり癖があって、言葉を理解すのになかなか苦しむが、悪い男ではない。そして努力する才能がすごい。1年生の時に10分以上かかった1500m走は6分台になった。通知票の成績も1年から2年にかけてだいだいすべての教科でワンランク上がっている。体も大きくなりからかわれることもなくなってきた。すごい成長だ。「うっせ、何言っとるかわからんし!お前が言うな!」黒岩弼は、東と若林以外には強気だ。そして岩瀬恵真の後ろの席にいる、女子にはクラスで一番と言っていいほど優しい椿瑠星が岩瀬恵真に声をかけている。良くは聞こえないが、「部活をやっているクラスの女子みんなが同じ思いであること、お前ならきっとインターハイで優勝できるからあきらめずにがんばれ」のようなことを言っているようだ。我が2年1組にはこういった女子を庇うことのできる男子が多い。ありがたいことだ。岩瀬恵真は涙が出て止まらないようだ。「じゃあ次は明法寺さん。」

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