
魅力的な登場人物たち【風の谷のナウシカ4(ANIMAGE COMICSワイド判)】
今回は二人の人物について
クシャナの人生
前巻で第三軍が守る要塞に入り込み、敵の砲台をことごとく破壊。今巻では、計画の第二段階ということで、「船」を奪いに行く。
そこで、遭遇するのである。因縁の兄と。
能力、勇気ともに優れ、かつ人望もあるクシャナと違い、兄たちは強欲で、保身的で、それゆえ狡猾であるという、いかにも程度の低い存在として描かれている。そのビジュアルも「いかにも」である。
そんな兄がクシャナを動揺させる。
「そうそう以前にもそういう女がいたね。お前を生んだ女だ。きれいな女だったが頭が良すぎた。この前会って来たよ。驚いたよまだ生きていたとはねもっともあれで生きているとはとてもいえないが・・・」
「母上に手を出すな!!」
クシャナはまだ幼いとき、毒酒を飲まされそうになった。その毒酒を母が身代わりとなって飲み、精神を侵されてしまったのだ。
毒を盛ったのは父ヴ王。
このとき生じた憎悪がクシャナの人生のテーマになった。
ただ、その兄があっけなく死ぬ。
襲ってきた蟲の大軍に食われて死んだ。
「・・・あいつが・・・・・・」
「死んだというのか あの肉塊が」
「あの化物が!?」
「それにしてもずいぶんあっけなくあいつを殺してくれたではないか」
「あいつたちを殺せるならこの生命など惜しくもないと思いつづけて生きていたものを・・・」
自身が、苛烈に願っていたことが、こんなにもあっけなく達成されてしまった。このときのクシャナの表情たるや・・・。
「クシャナが歌ってやがる!?」
「冗談じゃねえこんなときに・・・」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
このシーンもよかったですね。徹頭徹尾リアリストで、状況を現実的に解説してくれるクロトワ。クロトワを見捨てないクシャナ。母との別れの回想。蟲と対峙するクシャナの超越的な感じ。
アニメで見たい!笑
シゴデキ中間管理職チヤルカ
この人も実にいい。
前巻から登場してて、ビジュアルはそんな気合入ってる感じじゃないから、最初はモブなのか?と思ってたんだけど、全然そんなことなかった。
今巻で印象的だったセリフはこちら
「いまの言葉聞かなかったこととしよう」
「長老たるもの言葉を慎みたまえ。僧会の耳に入ったらどうするのです。」
チヤルカは前巻で、「蟲か森を使おう」といったミラルパに強く抗議してるんですよね。
でもサパタの長老には「慎みたまえ」
で、この後ミラルパに
「なにとぞいま一度ご再考下さいませ」
と、再度自分の意思を伝えてるんですよね。
チヤルカの本心は、国土を汚す蟲・森は絶対に使いたくない。
しかし、自分の上司に当たるミラルパが、そう断を下している以上、自分の部下には諭す。自分の思いとは違っていても
そういうことを、きっぱりやるんだこの人は。
そこがすごい好感を持てました。
自分もあるんです、社会で生きていて「自分的にはこれ違うけど、下にはこれやらせなきゃな・・・」みたいなことが
そういうとき自分はチヤルカほど、きっぱり部下に示せていない苦笑
「うーん、まぁ、やった方がいいと思うよ・・・?」かなり弱い笑
ただでさえ、人に強制させることがイヤな自分なんですよ。それなのに、自分が納得してないことを人にやらせるなんて、さらにイヤだ笑
でも、このチヤルカの行動を見て、清々しさを感じた。
自分の思いと、発する言葉が違ってもいいんだと。
それでも、筋を通すことはできるんだと。
めっちゃ見た目は地味だけど、好きなキャラです。チヤルカ