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2024年度 心電図検定1級受験を終えて

う〜〜〜〜む

びみょ〜〜〜〜〜な手応えである。
まああってるでしょ20問
多分あってるでしょ20問
迷うねェ〜8問
びみょ〜2問くらいの構成である。

いくつか気になる問題があったので、ざっくりだが共有したい。
まずコレ

試験問題は持って帰れない都合上
うろ覚えの手書きで申し訳ないのだが
背景は20歳男性で、研修医が心電図をとったら指導医にちょっとおかしいとこあるからもっかい撮り直せと言われた時の心電図との事である。

問題文を見た時に
どーせまた研修医が誘導付け間違えたんやろ、ハイハイと思ったが
どうもそうではないらしい。
異常な所見を一つ選べという選択肢をみて見ると(選択肢の順番は適当)
①aVLのp波、②aVLのR/S比、③Ⅰ、Ⅲ、aVFのJ波、④V4のQ波、⑤V1のST上昇
のラインナップである。
困った事に誘導の取り違えを匂わせる選択肢はない。

腰を据えて除外式に選択肢を吟味するが
④のQ波に関してはあるかないかもうビミョ〜くらいなもんで無視してもいいくらいで、aVLに関しても細身の体型だったらR/S波が1:1くらいになる事もあるし、P波が多少陰転化してもまあいいだろうというものである。
③のJ波については、Ⅱ、Ⅲ、aVFはノッチ型のJ波はありそうだったが、Ⅰ誘導にはどう見てもない、絶対にない。

てなもんで、あえてケチをつけるならV1のST上昇くらいなもんか?
くらいだがコレとてブルガダの様に特異的な波形ではなく、フツーに正常亜型としてとっても良さそうなくらいのもんである。
なのでぱっと見の印象としてはま〜異常なしと言えそうなもんで
この指導医もよー指摘したなと思ったくらいである。

HUNTER×HUNTER

結論迷ったが、私自身はV1のST上昇にした。
根拠としては、出生後しばらくはV3あたりまで陰性T波が出て
成人になってもV1だけは陰性T波として残り続ける事が多いためである。
とりわけ20歳とあっては、場合によってはV2あたりまでT波の平坦化を見る気がする。
コレは健診医として年間2万枚以上正常な心電図を見続けてきたモノとしての勘である。多分私が見てきた20歳男性の心電図のV1はT波が陰転化してた様な気がする。。がただ別にちょびっとST上がってても良くない??
この指導医は一体何を疑ったのだろうか??
しょーじきホントにこの心電図の何が異常かわからんのである。
その真意までは読み取れない問題であった。従って自信はあまりない。

続いて気になった問題はコチラ

こちらの背景は心筋梗塞後の7〜80歳くらいの男性だったと思う。
手書きでわかりづらいが、前半2拍と後半3拍若干RR間隔が異なり、Pの形も違うそんな心電図だった。
選択肢は
④ペースメーカ移動、⑤移動性ペースメーカーである

ペースメーカ移動って何???
何その用語、ここに来て初めて聞いた。
心房調律が通常の洞結節と異なる所から出ている事を指すなら
異所性心房調律という言葉があるし、今回の問題の様に、心房調律があちこちから出るなら移動性ペースメーカーの筈である。
じゃあペースメーカ移動って何なん????
とりあえずこの問題に関してはコレだけである。
今回の心電図検定でまっっったくわからんという問題は幸い1問もなかったが
まっっっったく意味がわからんと思った用語はこの1問である。

続いて次

背景は
胃がムカムカして近医で胃薬を処方された後、手足に力が入りにくくなってきた事を主訴にした60代くらいの女性である。
選択肢は
①低カルシウム、②低カリウム、⑤低マグネシウム
があった。高カリウムとあともう一個くらい高なんとかがあった気がする。
QT延長は明らかで、低なんとか血症が疑われるのだが
この先絞るのきつくね〜??という話である。
去年度も似た様な問題が出てた気がする。
イヨーにテント状T波感あったので一瞬高カリウムに引っ張られそうになったけど
高カリウムでQT延長にならんよね???
QT延長といえば低なんとかで覚えている私としてはそれ以上の鑑別と言われると困ってしまう。

知っていることといえば低カリウムであればQT延長に加え、陽性U波が出ることくらいなもんで、本問のような超テントというよりはだら〜んとしたQT延長になるイメージである。
低マグネシウムのQT延長の波形は全く知らない
そんなマイナーな事聞かれても困る。
1級受けるならそれも知っとけという事か。

とりあえず心電図波形からの鑑別は個人的にはムリで(低カリウムじゃないんじゃないかな〜くらい)臨床症状を加味してという事になるが
コレがまた絶妙に役に立たんのよね。(私が知らんだけか)
胃薬を飲んだ後の症状である事から、それが被疑薬である可能性が高いが
胃薬後って低カルシウムでもマグネシウムでもカリウムでも何でもありそうである。吸収阻害とか言って結局どれも下がりそうな気がしてあまり特異的なモノではない気がする。
実際サッと胃薬、低カルシウムで調べたら低マグネシウムやら低カリウムやらもセットで出てきて絞りきれない。
となると最後のキモが臨床症状だが
手足の脱力感ってコレまた全部あるよね。
有名どころは低カルシウムのテタニーがあるが
低カリウムも周期性四肢麻痺といった病名もあるし
低マグネシウムもテタニーを起こすのでコレも結局一緒なんですよね。

ここからは希望的観測の話になるが
問題的に手足の脱力感といえばテタニーを指し
手足の倦怠感と言えば周期性四肢麻痺を指す事が多い気がする。(超個人的感想
従ってこの問題の書き方だと、テタニーを指している可能性が高く
低カルシウムなんじゃないかなと思う
低マグネシウムの可能性もあるけど。

こうなると本当に公式回答が欲しくなる所である。
大体の得点率はわかるらしいがどの問題を正解したかまではわからんっぽいので
あってるかどうか最後までわからんのが難点である
この問題自信持って選べた人っているのだろうか。
なんかこうして振り返ってみると、ちょい手応えが心配になってしまう。

細かい話をし出したら他にもいろいろ言いたい問題はあるが
とりあえず次で今日の振り返りとしてはラストである。

こちら

詳細は忘れたが
ザ・心筋梗塞っぽい病歴の、ザ・前壁梗塞の心電図の問題である。
コレだけなら素直な問題なのだが、心電図をとった気まぐれシェフによる小粋なスパイスがきいており味わい深い1問に仕上がっている。

選択肢を見ても気づくのだが
この心電図、左右がつけ間違えられている。
おそらく心筋梗塞だ!という事で慌てて撮られた1品なのだろうが
左右のつけ間違いが出る事で途端に深みが増す。
選択肢は間違いを1つ指摘せよという問題で
③前壁中隔梗塞、④側壁梗塞、⑤下壁梗塞があったのだが
コレが実に紛らわしい。

前壁梗塞に関しては疑いの余地はないが
側壁梗塞に関してはV5,6は若干陰性Tがあり、やや疑わしいのだが
左右のつけ間違えがなかったとするとⅠ、aVLの異常Q波の所見がなくなり
積極的には疑いにくくなる。
下壁誘導はST変化こそ乏しいが、異常Q波はハッキリとあり
間違いにはしにくい。
という事を加味して側壁梗塞を選んだのだが、違和感があるのが
前壁梗塞なら巻き込むとしたら側壁じゃありません??
一般的な心筋梗塞として考えると前壁と下壁梗塞の合併は(wrapped LADとかあるけど)側壁よりは頻度が低い気がする。
まあそもそも今現時点でST変化が前壁部分に限局している以上
元々陳旧性下壁梗塞があった人に新規発症した前壁梗塞を左右間違えた上で撮った心電図、という形になるだろうか。
コレまたちょい自信薄な一問である。

等々非常に微妙な感じの手応えだったので、早めに結果が知りたいところだが
結果発表は2月中旬との事で、しばらく結果についてはお預けである。

先になるが最終的な結果が出たらまた後日談的に振り返っていきたい。

何にせよ受験生の皆さまもとい、心電図検定戦士の皆さまは本当にお疲れ様である。
今回私は門司港の方に宿泊して、小倉経由で博多に向かって受験したが
小倉から乗り込んだ新幹線の隣の人らがマイスターを目指す基礎力grade up 講座を取り出していた時には思わず同士よ、と心震わせていたモノである。

道すがら歩いている途中も辺りから心電図の用語が飛び出しているのを聞くと
1人じゃないんだ!と大変励まされた。

1級はま〜簡単に受かるという難易度ではなかったと思う。
にも関わらずそれだけの勉強をこれだけの人たちが頑張ってきたと思うと感慨深いものがある。
今回の結果がどうあれ、まあ少なくとも、ちとマイスターにはやはりまだ壁がありそうだしこれからも心電図の勉強は続けていきたいと思う。
試験前最後らへんは受かるかどうかだけが目的になって、本来の動機である
心電図を読める事で良い臨床を行なっていきたいという所から離れてしまっていたが、こうして沢山の戦士たちが頑張っている姿を見て、また頑張ろうと思えたのは今回受験に来て得られた収穫の一番大きなモノである。



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