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バンドはコスパが悪い 2.音源販売

今回は音源販売のコスパの悪さについて書く。

レコーディング

 音源を発売するには録音しなければ出来ない。録音する方法は大きく以下の通り。

①全て自宅で録音

 最近はプロアマ問わずこの形態が増えてきていると思う。メリットとしては機材と環境があれば自分のやりたい時間にやりたいだけ作品制作に没頭できる。デメリットとしては先述の通り経済的な負担とクオリティを求めるのであれば技術が必要である。

 今は作編曲に使用するDAWソフトは安価で手に入るようになっている。PCと楽器を繋ぐインターフェースも1万あれば買えるし、インターフェースにバンドルしているDAWソフト(DAWソフトにインターフェースがバンドルされている場合の方が多い?)を使えば最低限のことは出来てしまう。vstであればフリーでのプラグインも多数手に入る時代である。その気になればプロでも通用する音源を安価で作成することが出来ると思う。ただそれは打ち込みに限っての話。バンドはやはり演奏をレコーディングすることに意義があると思っていることが多い(中にはメンバーがいても楽器は打ち込みというバンドもあるが)だろう。やはり生のドラムの音、アンプから出るギター、ベースの音はとてもいい。生の音は人間的な揺らぎをパッケージできることも大きい。またアンプシミュレーターや音源がいかに発達してアンプの音を再現しても、絶対に超えられないものがあるとも感じる。

 しかし、ドラムやヴォーカルまで全ての楽器を自宅で録れるという方は少ないだろう。周りに何もない一軒家ならばいいが、市街地に居住していれば防音室を作ることになる。ヴォーカルだけならまだしも、ドラムまで録音できる状態にするには防音設備の他、マイクを準備する必要もあり、多額の費用が掛かる。録音技術もいる。さらにミックス(※1)、マスタリング(※2)余程裕福でもない限り、売れてないバンドマンはこの方法は現実的ではないと思う。

②スタジオでレコーディング

 私も含め多くのバンドがやってきたのはこのパターン。録音のみならず、ミックス、マスタリングもプロのエンジニアに任せている。メリットとしてはエンジニアに録音からミックス、マスタリングまでの作業を任せるので、自分たちの作業が減る。デメリットとしてはまずコストがかかる。また作品の出来がエンジニアのセンス、スキル、コミュニケーション能力に左右される部分もある。信頼できるエンジニアを見付けるのもバンド側の経験が必要だ。信頼できるバンドマンからいい人を聞くといいと思う。またかなりのコストがかかるので潤沢な時間が確保できるとは限らない。

 自分の機材と腕があり、自宅録音が出来れば問題ないが、駆け出しのバンドはこの方法しかないだろう。都内ではスタジオペンタなどのレコーディングスタジオでエンジニア有りのプランがある。8時間10万円くらい払えばドラムセットやアンプも込みで対応してくれると思う(本日HPが見られず確認できず・・・。)。これはこれで都度都度費用が掛かる。拘りとスキルにもよるが8時間でフルアルバムを作ることはまず不可能である。またエンジニアに適切な指示を出来るようなコミュニケーション能力が必要だ。限られた時間で録音をプリプロをきちんとやり、歌詞カードやデモ音源など必要な資料を事前に準備する必要がある。

③自宅で録音+レコーディング

 私の知り合いでも多いのがこのパターン。例えばドラムとヴォーカルだけはスタジオを借りて録音をして、それ以外は自宅録音(宅録)で済ませてしまうパターンである。メリット、デメリットは①と②の間である。

 最近はこのパターンを選択するバンドも増えてきたように感じる。ギターやベースは自宅録音が出来るのでやり直しが効く。アンプの音は再現出来ないが、シミュレーターでもプロ並みの音源は作れてしまう。ミックス、マスタリングを自分たちで出来れば問題ない。


 今回はレコーディングの方法について大きく3つに分けて書いてみた。いずれの場合もかなりの経費や労力がかかることがお分り頂けただろうと思う。しかもこれはレコーディングに掛かるコストなので、販売コストではない。

■注釈

※1・・・音された各トラック(音)の音量バランスや音色などを調整する作業
※2・・・ステレオミックスの音響要素を調整し、すべてのシステム、メディアフォーマットで最も効果的に再生されるようにする作業

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