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自分が動くということ

第一話:早朝稼働における不具合発生までの経緯

(あらすじ)
朝起きてからの自分自身に注目してみました。極々当たり前のことを書いております。

1.起動
2.運転
3.感知
4.判断
5.不具合・・

ニエタギルゴボウ

(起動)

朝、目覚める。
目が開いた瞬間を感じることはない。
自分が起きているという感覚をもったときすでに目が開いているからだ。
それが私が起動した状態である。

神経細胞を使い、体の異常をスキャンする。
腰のあたりの痛みと頭部の痛みを検知し、そのレベルを脳内に滞在中と思われる私に伝える。


脳内にいる私は忙しいが、その伝達をもとに再度神経細胞で確認する。
状況に問題ないことが確認出来れば筋肉を使った動作に移行する。


動体を揺らしながら左右の腕を無造作に動かす。膝を曲げる。
それらのなかで起き上がるのに最適なポジションを即座に捉え、2~3秒程度を要して上体を床に対しておよそ垂直に立ち上げる。

瞬きを何度かする。
※無意識というかこういったいくつかの動作は個々の細胞に委託している。
目の渇きを検知したことと焦点調整のためであろう。
再度私の神経細胞が、上体を起こした状態で異常がないか確認する。

異常なし。
立ち上がってよし。
全身各所の運転開始。

(運転)

ぐぐぐぐぐっ・・・
体内に響き渡る軋みの音。

立ち上がる。
脳内にいる私が170センチほどの位置まで持ち上げられていく。急上昇に近い。

直立歩行可能。
全身各所からの報告を一瞬で聞き取り、気づいたときには歩いている。
私の足が前方向に移動する。
やがてその足を軸足としてもう片方の足も移動する。
その繰り返しだ。
腕は下半身の動きのバランスをとるかのように無造作に動く。自動運転に近い動きだ。

(感知)
裸足である。
保護カバー(靴下)なし。

ゆえに、床に落ちている物質を瞬時に感知。
足、かかと付近に固形物あり。
大きさにして5ミリ程という報告が脳内にはいる。

直接確認したい為、脳内の私は頭部を床方向に向け。
眼球を使用しての作業にはいる。
眼球の焦点を5ミリの物体にあわせる。
炊きあげる前段階の米粒であることを確認。

(判断)
床から米粒を除去することを判断する。
そこにあってはならないものという結論を脳内の様々な私が判断した。
このあたりの判断は意外と早い。
前例があったのだろう。

眼球で米粒を捉えたまま右腕を伸ばし、腰と膝を曲げる。上半身を僅かに傾斜させる。
右手が米粒位置に達した。
親指と人差し指の側面で米粒を確保。
・・・
(米粒を処理するまでの過程は省略)
・・・


このように朝から私の体は忙しい。
様々なタスクをどうすべきか問われ、多くの動作をこなさなければならない。

(不具合)
・・・・

そう、私も故障というか不具合がある。
時計の電池が切れたという知らせが私以外の人物から伝達される。
耳を使い内容確認。
・・・
時計に入れるための電池を指先で捕らえた。
電池収容部までそのまま電池を移動。
その瞬間、電池が落下

電池を捕らえているはずの私の手、詳細に説明すると親指と人差し指の補足力にガタつきが発生したらしい。
・・・悲しい。

私の使用している人体の各部位もそろそろ大幅なメンテが必要となってきているようだ。
あなたの使用している人体は大丈夫か?


       次回  第二話:屋外可動報告



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