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【トレンド】変化する米国の食習慣 第4回 〜 価格という障壁をどう乗り切るか 〜

消費者のニーズを満たすための要件が満たされているだけでは、購買にはいたりません。消費者と商品の間にある最大の障壁「価格」をどうとらえるべきでしょうか。また、価格を超える消費者のニーズを満たす商品は?

購入を希望する商品と実際に購入する商品との間に立ちはだかる最大の障壁「価格」。消費者は自身の購買能力を超えた商品は手に取りません。

ここで、冷凍食品や長期保存可能なパッケージ商品のビジネスチャンスを模索することができます。冷凍ラズベリーやパッケージに入ったモヤシなどは、健康上のメリットはそのままに、同等品のほぼ半分(ポンドあたり)の価格で購入することができ、消費者は保存して好きな時に使うことができます。多忙な世帯では長期にわたり保存することも可能で、メーカーが利用方法やアイデアを消費者に伝えることで、低価格健康食品の定期的なアクセスポイントを創出することができます。こうした商品を展開する企業は、冷蔵庫の余りものを使えるレシピなどとともに「お財布に優しい」商品を売り出す方法があります。

メーカーと小売業者は、タンパク質を健康的に摂取できるお得なアイテムとして精肉を位置づけることもできます。ジャーキー(1グラムあたり25セント)、栄養バー(1グラムあたり20セント)、ナッツ(1グラムあたり13セント)など、タンパク質源として人気の商品は、外出先ですぐに食べたい消費者に適していますが、鶏肉、豚肉、七面鳥(それぞれグラムあたり2セント)と比べ1グラムあたり6〜12倍の価格で販売されています(注1)。米国人の55%が購入の際に高タンパク製品を優先しており(注2)、価格当たりのタンパク質量に関するメッセージを訴求することで、精肉の新たな市場価値を創出することができるでしょう。多くの消費者は、栄養バーやミートスナックの華やかな宣伝に気を取られており、たとえば肉が含むタンパク質量を改めて伝えることで消費行動に変化を起こすことができるはずです。つまり、グラムあたりの価格のお買い得さによって、タンパク質を求める消費者に精肉の購入を促すことができるでしょう。さらに、時間を節約する便利さと、身体の健康以上の価値を提供する「スマートフード」は、手頃な価格で販売されて初めてその可能性を実現できます。

企業は、健康な食品市場参入の障壁を減らすために、継続的かつ直接的に課題に取り組む必要があります。米国人にとって、価格は食品および飲料の購入における最重要事項です。商品の試験的市場投入から実際の投入まで一貫して慎重な価格管理を行うことで、商品を棚に留まらせることなく買い物かごに着地させることが可能になります。

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米国人の3分の1(33%)は、今後5年間の商品購入において価格を優先すると答えており(注3)、また、米国人の75%が商品を最安値で購入することが重要だと考えています(注4)。これは特に新しい発見ではありませんが、こうした消費態度を改めて理解することで、商品の詳細を決定することができるはずです。

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食品会社が受け取るべきメッセージは明確です。考慮すべき他の要因がない限り、価格が最も重要な要因となります。アルコール飲料を除き、米国人のかなりの割合が、価格にもとづいて食品の購入を決定する傾向にあります。

ストアブランドは、健康的かつ専門的な商品の提供で大きな進歩を遂げました。米国では、プライベートブランドによるパッケージ商品の売り上げが1460億ドル近くまで急増し、メーカーブランドの2倍の速度で成長しています(注5)。消費者のプライベートブランドの価格面を重視する傾向は依然として強く、67%の米国人がプライベートブランドは非常に購入しやすい価格で販売されていると回答しています(注6)。しかし、さらに見てみると、心身へのメリットを掲げる商品は価格が少々高くてもなお成長することが分かっています。健康的な食生活に対する消費者の理想と現実のギャップにまつわる課題は、メーカーがいかに消費者を健康志向へ導けるかという点に行き着きます。

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健康志向のプライベートブランドは、有名ブランドより高価であっても売上げを伸ばすことが明らかになっています。消費者は、人工着色料や人工香味料を含まないプライベートブランド商品に健康面での付加価値を見出すため、小売業者は利益増加を狙うことができます。どの企業のブランドかはさほど関係がなく、「望ましくない成分を含まない」といった特長をどれだけ持っているかがポイントになります。プライベートブランドはこれを的確に実行しており、こうして得られた消費者からの信頼により多くのカテゴリーでプレミアム扱いされています。

農薬や化学物質を使用せずに製造された製品の価値を消費者に伝えることで購買意欲を刺激する、もしくは、価格をあくまで副次的要因とし、消費者が「この商品」を購入しなければならない理由を明確に伝えるパワーメッセージングを行うといった戦術の展開が可能です。健康的な食生活と現実とのギャップを埋めるには、商品の特長を、競合他社と比較し最善かつ最も信頼できる方法で、消費者ニーズに合わせる必要があるでしょう。競争力のある価格設定は差別化要因にはなりますが、価格を購入決定における唯一の要因にする必要はありません。

次回は、この先5年の米国人の最大の関心ごとをお伝えします。

参照

(1)Nielsen Retail Measurement Services, inclusive of Nielsen’s Total Food View, Total U.S. All Outlets Combined (xAOC), 52 weeks ended Apr. 27, 2019
(2)Nielsen Homescan U.S. Health Care survey of 42,759 respondents,       surveyed in March 2018
(3)Nielsen Homescan U.S. survey of 19,988 respondents, surveyed in     July 2019
(4)Nielsen Homescan U.S. survey of 47,454 respondents, surveyed in     January – February 2019
(5)Nielsen Retail Measurement Services, inclusive of Nielsen’s Total Food  View, Total U.S. All Outlets Combined (xAOC), 52 weeks ended Oct. 26,        2019 vs. year-ago
(6)Nielsen Homescan U.S. survey of 47,454 respondents, surveyed in   January – February 2019

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