【トレンド】変化する米国の食習慣 第5回 〜 この先5年米国人の最大の関心ごとは? 〜
消費者が購入を決定する時に価格は大きな要因ですが、唯一にする必要はありません、健康志向の健康志向のプライベートブランドは、有名ブランドより高価であっても売上げを伸ばすことが明らかになっています。米国人のこの先5年の最大の関心ごととは?
糖分摂取量の制御は、米国人の23%にとってこの先の5年間で最大の関心事です(注1)。食の嗜好を見てみると、糖分を減らしたり糖尿病対策を行った食品が上位10位にランクインしていることが分かります(注2)。米国人は糖分が制御された食事を望んでいます。メーカーは(スナック菓子の場合であっても)こうした希望を考慮する必要があり、消費者の食生活改善目標を先取りすることで、消費者と企業の双方が恩恵を受ける食習慣を促進することができます。
多くの場合、糖分摂取量の制御は、砂糖の購入量の見直しから始まります。米国で砂糖を購入する世帯数は、対前年比で2パーセントポイント減少しています。年齢および民族別で分析してみると、20代半ば~30代の世帯では、年間の砂糖および甘味料の消費量が米国の標準値よりも約20%少ないことが分かります。また2018年と比較すると、これらの世帯では砂糖を購入するための買い物が33%減少しています。さらには、アフリカ系、白人、ヒスパニック系世帯の砂糖と甘味料の年間支出はたった1年で2%~4%減少しています。しかし、砂糖自体の買い手が減少しているからと言って、糖分を豊富に含む食品の売れ行きが失速しているわけではありません。
多くの場合、糖度が高い商品を含むカテゴリーはむしろ成長しているのですが、このカテゴリーにのみ焦点を当てる企業は、将来性を犠牲にして短期的収益を得ていると言ってよいでしょう。政府は、生産の段階で糖分の含有量を最小限に抑える方法を模索しています。砂糖消費税は世界的に大きな影響を与えており、米国の多くの地域では既に「ソーダ税」も導入され、政府のさらなる決定が米国の商品市場にさらなる打撃を与える可能性もあります。
スナック菓子、ソフトドリンク、デザート、その他の関連カテゴリーでは、健康的な食品の消費を奨励する時期が来ていると言えます。量を調節できるパッケージの提供などにより、商品の最適化を検討する必要があるでしょう。人々には糖度の高い食品を手放せない傾向もあり、食習慣を改善する方法を提供することは消費者とメーカー双方にメリットをもたらすはずです。
糖分摂取の制御に貢献する商品を開発できたのなら、政府の規制や砂糖関連課税の嵐を乗り切る準備ができたと言えます。多くのステークホルダーが健康志向を促進するメッセージが食習慣の改善を推進し続けており、今後、さらに多くの消費者が非健康的な食習慣から離れていく可能性があります。とはいえ、糖分とすでに根強い関係を持つ消費者がそのルーチンを完全に手放す可能性は低く、ここに継続的なビジネスチャンスを見出すことができます。この先メーカーは、大きなチョコレートを大量に食べる消費者より、政府が推奨する糖分摂取量に合致した小さなサイズのチョコレートをいろいろ食べる消費者をターゲットとすることになるでしょう。
当然、短期的戦略・長期的戦略両方でビジネスチャンスを最大化することができます。短期的には、チューイングキャンディーやミルクチョコレートなど高性能スナックの成長を促進する取り組みが挙げられますが、ただ長期的戦略は、現在成功している商品の枠を超えたものでなければなりません。キャンディは、ほとんどの場合約140グラムのパックサイズで販売されていますが、これは、サービングサイズとして推奨される30~60グラムを上回っています。消費者に対して責任を持ってスナック菓子を勧めるようになることで、企業は、今後さらに浸透するであろう長期的な健康目標に沿うことができます。個別包装されたチョコレートはこうした変化の一例であり、企業は「スマートスナック」を促進することで、将来的な消費者ニーズにリーチすることができます。スナック菓子を求める消費者は店舗に出入りしており、日頃から米国の食習慣を改善するメッセージに触れています。
食習慣の改善における理想と現実のギャップを埋める手助けをし、消費者の健康志向を促進するのが食品なのです。
参考
(1)Nielsen Homescan U.S. survey of 19,988 respondents, surveyed in July 2019
(2)Nielsen Homescan U.S. Health Care survey of 42,759 respondents, surveyed in March 2018
ニールセン・カンパニー合同会社では、消費者調査、ショッパー調査、販売予測、マーケティングROI分析、コンシューマーニューロサイエンス分析、海外市場情報提供などを行っております。ニールセンショッパートレンド調査にご興味のある方は、JPNwebmaster@nielsen.comまで、是非お気軽に問い合わせて下さい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?