表参道アート散歩
暑い中、表参道のミランダジュライ展へ行ってきました。たまたまバルテュスについて検索していたら、プラダ青山店であるのを知りました。
「あなたを選んでくれるもの」を読んで以来、ずっと気になっていたアーティストです。新作映画の脚本が書けずスランプになったミランダは、新聞の投稿欄で見つけた人を取材します。映画に繋がりそうな人と出会いますが、ミランダの意図通りにはすすみません。インタビューを続けることを無意味に感じたミランダは、これで最後と決めたインタビューで素晴らしい出会いをします。現実が予想を超えて展開し、制作する映画に作用する様子は御伽話のようでした。
展覧会があるプラダビルの前は通ったことはありますが、中に入るのは緊張します。とりあえず、いつものポーチを皮ポーチにしてそれなりのおしゃれ?をして出かけました
プラダのビルは壁がガラスなので中がよく見えます。スタッフが開けるドアから入り、「案内します。」と丁寧に声をかけられたので、ミランダジュライを見にきたと答えると、すぐエレベーターに案内してくれました。
六階に着くと、スタッフの人に名前など登録するように言われてスマホで記入。展覧会の虎ポスターは持ち帰り可能です。「あなたを〜」の表紙にも虎がいたので、ミランダは虎好きかもしれません。
暗い室内で、ミランダのビデオアートを鑑賞しました。白い壁に5つくらいの作品を同時に上映しています。それぞれの作品に一人ずつ、出演者は黒人の女性、白人の女性、白人の男性、車椅子の男性、最後は顔を見せない人がいました。出演者は下着だけや、Tシャツと半パン、などそれぞれ違う格好です。かなり身体を露出している人もいます。ミランダは下着だけや、ジャケットと下着、デニムの上下など相手によっ格好が違います。ミランダは相手とキスやハグをしたり、絡み合ったりして、まるでラブシーンのようです。シャワーをひたすら浴びる相手とのビデオでは、ミランダは相手に見えてないようで、ミランダの想像を映像化したようでした。相手とシーツにくるまって中でモゾモゾ動いて出たり入ったりする様子が天井付近で浮きながら繰り返され、不思議な感じでした。写真撮影可能でしたが、見ていたら忘れてしまいました。
説明では、ミランダはSNSで相手と映像のやりとりをし、相手から送られた映像を加工して作品にしています。刺激的な映像は全て合成です。
現代アートは作品のコンセプト込みで鑑賞するものなので、ミランダの思考を知れば作品の意図を理解する助けになります。展示に解説がないので、今まで読んだミランダの小説や書籍から想像して、受容という言葉が浮かびました。SNSでの出会う他人と距離を縮め、交流すること。やりようでは、世界が広がる可能性があります。相手がよく分からないと不安がありますが、一歩を踏み出すことで得るものもあります。
その後、暑いのですぐ入れるお店でお昼をたべました。ここが当たりで美味しかったです。他に何か展覧会をやってるか検索すると、「アンセルム キーファー展」がすぐ近くであります。これも行きたかったのでラッキーでした。
店から少し歩くと、道の突き当たりにファーガスマカフリーギャラリーがありました。人数制限がありますが、お客が少ないのですぐ鑑賞できました。ガラスケースの中に、紙に描いた女性のスケッチが針金?でつられています。どの作品にも下には白っぽい瓦礫のようなものが敷き詰めてあります。ある作品は瓦礫の上に金色の破片?みたいなものが散らばっていて、その上に女性が大きく足を広げたスケッチが吊り下げられているので、「ダナエ」を連想しました。キーファーがダナエを扱うかしら、と思いましたが、解説本を見るとダナエと書いてありました。他には、飛行機が何台か吊り下げられているものや、レンガを積んだ箱?に窓があり、覗くと中に脳があるものなど、戦争を連想しました。
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戦争や紛争に関するニュースを見ると不安になって、楽しいことに目を向けて一時的に忘れて、不安から逃れようとします。キーファーの作品からは、現実から目を逸らすな、という強い意思を感じました。戦争はいけない、と言う人が増えれば現実は変わります。小さな声でも言いたいです。
そろそろ帰ろうと駅へ歩いていたら、街角に小さな本屋があります。なんとなく気になって入りました。棚の本がもろ好み。おまけに、安西水丸さんの個展が二階でやっていました。階段を上がると、感じのいい小さなギャラリーです。数展の作品と安西さんがコレクションしていたおもちゃが飾られていました。色鮮やかで、簡潔な線で描かれたおしゃれなイラストです。印刷より実物の方がずっといい。じっくり眺めてから、下に降りて内田洋子さんの文庫本を買いました。お店の人に何年か前に内田さんのトークショーがあったんですよ、と話しかけられました。今度は柴田元之さんの会があると聞き、わあ、行きたい!と思いましたか、既に締切でした。安西さんはここでアートスクールもやっていて、参加した方は今では活躍されているそうです。羨ましい。案内のチラシをもらったので、時々チェックしようと思います。山陽堂書店という昔からある本屋さんでした。
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ミランダジュライ展から、キーファー、安西水丸、と
いろいろな作品が見れて楽しかったです。表参道はいろいろなギャラリーが近くにあるので、お散歩気分で美術鑑賞が楽しめます。
美術館も好きだけど、小さな空間で人の気配が感じられるのが、ギャラリーのよさです。また、ギャラリー巡りをしたいです。
とはいえ、根津美術館もいいです。建物が好きです。
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