2022 乙女座の言葉 赤塚不二夫 ┃アイデアを生み出すために、人や環境を頼りに、そして記憶にアクセスする
占星術における12サインは、12か月の季節の移り変わりに照応し、その時期に感じやすい心のテーマがあります。心理占星術家nico (ニコ)が、古今東西の著名人の言葉から12サインそれぞれの象徴を見出し、心理的葛藤と成長を考察したエッセイ。
2022年乙女座期は、「天才!バカボン」の産みの親でありギャグ漫画の帝王である赤塚不二夫に注目。数々の作品誕生のエピソードから、知力、アイデア&現場力に富む乙女座の姿を見出し、柔軟な姿勢と発想力を支えたものが何であったのか、心理占星術的に読み解きます。
乙女座の言葉
毎回、誰について書こうか非常に悩む。古今東西、自分の太陽を存分に生きた人は山ほどいる。では、その中から誰を選ぼうか。太陽を生きた人は誰も彼もが魅力的だ。各人それぞれにおいて個性があり、ユニークさがあり、仕事に対する真摯な姿勢があり、そして明るさもあれば、また暗さも兼ね備えている。統合とはこういうことかと、いつもハッとさせられる。
そのような中、最終的に私が選ぶ基準とは、閉塞感のある社会に気づきや突破口を与えてくれる生き方をしている人、または星占い的なサインの理解を大きく裏切ってくれるような、自由に太陽表現、太陽活動をしている人、そんなところだろうか。
そして、2022年乙女座期は赤塚不二夫。心理占星術の講座や研究会などを長くやっているが、「乙女座とはどのようなサインか」と問うと、まるで示し合わせたように「お役立ち」「奉仕」「神経質」「繊細」といったような答えが返ってくる。
百歩譲って、仮にそういったパーソナリティを持ち合わせているにせよ(いないにせよ)、太陽サインを考える際は、「創造的なエネルギーを使って、何を成そうとしているのか」という答えを見つけることが重要になるのではないか、そんな話をよくしている。
今回、私が赤塚不二夫を選んだ理由はこうだ。
風の時代と言われて久しい昨今、風エレメントをやるためには火地風水の順番として、まず地エレメントの振る舞いを身につけていないとうまくいかないだろう、その中でも知力、アイデア力、現場力に富んだ乙女座から、その振る舞いを学ばせてもらうことがよいだろう、それには、赤塚不二夫の柔軟な姿勢から学ばせてもらうのがいいだろう、ということである。
そして、その柔軟な姿勢を理解するために、6番目のサイン乙女座にちなんで、タロットカード・小アルカナ6のソードとカップのカードも一緒にみてみよう。
赤塚不二夫の以下の言葉、
これは、まさに小アルカナの全てのカードが出そろったときの世界とのマッチング(6=乙女座は世界とのマッチングという意味を持っている)を示しているだろう。
特に、俗に「ノスタルジー」と言われているカップ6のカードは、赤塚不二夫のアイデアを限りなく支えている。つまり、「そういう時、パッとうしろを振りむいてみるのも大切なんだ」ということ、自分の中にある「ノスタルジー」とアクセスするということになる。
それにちなんで、赤塚不二夫の他の言葉も紹介したい。
これなどもそうだ。誰かから与えられたヒント(ソード・剣)、その印象を持ち続け(カップ)、そしてそのI have(ペンタクル)を必要な時に引っ張り出し、それを外向きに表現していく(ワンド)。この4枚セットの訓練こそが、「今、ここ」に必要なアイデアや工夫を生み、ユニークな作品へとつながっていく、「乙女座の訓練」ということになる。
最後にもう一つ、赤塚不二夫の言葉を紹介したい。
まさに、「船に乗ったら船頭任せ」ソード6のカードが生きた体験だ。
よりよいものを生み出すために、人や環境とどうマッチングするか、自分が個性がない、面白いアイデアを生み出せてないと思ったら、ぜひ赤塚不二夫の言葉を頼りに、もう一度バカになってみる、人を頼ってみる、また自分の中に既にある(=I have)大切な記憶にアクセスしてみるといいかもしれない。この訓練が積み重なることで、初めて次の風エレメントらしい活動が始まるはずだ。
2022年乙女座期、あなたはどのような自分自身の記憶や I have に出会うことができるだろうか。
1935年9月14日、旧満州生まれ。乙女座に太陽、金星、海王星を持つ。
漫画家。『天才バカボン』『ひみつのアッコちゃん』などの作者として知られる。中学校を卒業後、看板屋や化学薬品工場で働きながら漫画を描き、石森章太郎が主宰する「東日本漫画研究会」制作の肉筆回覧誌「墨汁一滴」に参加。1962年に『週刊少年サンデー』で「おそ松くん」、『りぼん』で「ひみつのアッコちゃん」の連載を開始。1967年に『週刊少年マガジン』で「天才バカボン」を発表し、天才ギャグ作家として大きな注目を集めた。