2023 乙女座の言葉┃蔡英文 ~問題を「わたくしごと」として受け止め、理想を掲げながら進む
心理占星術家nicoが選んだ今月の竪琴
乙女座・太陽の言葉は…
読後の率直な感想は2つ。このようなリーダーが日本にいないことを残念に思う気持ち、そしてこれだけ自身の太陽を実感しながら生きられるというのは、どんなに気持ちのいいことだろうか。活動の、思想の、生き様の隅々までに彼女の意図が行き渡り、また意欲がみなぎっている。これがリーダーの在り方ということなのかと圧倒される。
蔡英文という人間は問題解決志向のリーダーである。
2016年、蔡英文率いる民進党は初めて総統選で勝った。それだけではなく「完全執政」を成し遂げた。にもかかわらず、就任演説では喜びや熱狂、興奮や煽動もせず、淡々と「困難の解決」から説き始めた。それが「何が起きようとも、冷静に理想を達成し、絶対に先延ばしにせず、しかし焦らないことを課しています」という彼女の「政治信念」だからなのだろう。
台湾が困難な状況に置かれているという前提に立ち、「総統として求められているのは問題を解決することだ」と、そして「では何をすべきか」とひたすらに語っていく。
蔡英文から出てくる言葉は常にこの調子だ。
占星術を学んでいる人なら、上記に上げた特徴と乙女座の結びつきを強く感じることだろう。では、なぜ乙女座は問題解決のサインと言われているのだろうか。いま一度、乙女座の構成要素について考えてみたい。
ここでもう一つ、蔡英文の言葉を読んでもらおう。
乙女座が乙女座らしい問題解決能力を、別の言い方をすれば傷口を治癒する能力を発揮するには、おそらくいくつかの条件があるだろう。
乙女座を構成する要素は、陰サイン・地エレメント・柔軟サイン・6ハウス・水星である。
これらの条件をすべて網羅し、且つ、それを太陽として、つまり公的活動として表現することで、外界に「乙女座」をより強く感じてもらうことができるようになる。
まず、陰サイン=地エレメント。これはもっとも基本的で、もっとも重要な要素となる。陰サイン=地エレメントとは、物事をどれだけ「わたくしごと」にできるかどうか、「わたくしごと」として向き合えるかどうかということ。それはそうだ。「わたくしごと」にできなかったら、痛みがどこにあるのか、どうしたら治すことができるのかなど、なぜわかるというのか。
逆を言えば、「ひとごと」では乙女座の真の能力は発揮されないと言える。問題と必死に向き合っているように見えて、その実、かなりピントがずれているなんてことはいくらでもある。多くの場合、自身の一大事にもかかわらず、いつまでも問題は片づかず、調子の悪さを解消できない。この要因のひとつには、目の前のことを本気で「わたくしごと」として引き受けることをせず、「ひとごと」にかまけすぎているとも考えられる。いつか誰かが解決してくれると見積もっていたり、他者の要求や期待、欲望に応えることに夢中だと、自分自身のことであっても問題を解決し、癒すことはできないということだ。
「わたくしごと」として物事を真に理解しようと努め、ひたむきに向き合わない限り、いつまでたっても問題はそこに残り、傷は癒えぬままだろう。
次に、柔軟サイン=6ハウス=水星を考えてみよう。
柔軟サイン=6ハウス=水星は、端的に言えば現場感覚である。言い換えれば、物事が起こっている最前線であり、そこで得られる経験値、現場が求める声を受け取る理解力や理解力、また分析力などがそれにあたるだろう。
蔡英文は2012年総統選に敗北してから、台湾各地を行脚し、様々な立場の人々との交流を重ねた。問題=傷が発生している最前線に赴き、今を生きる人々との出会いを通し、人々が自分に何を求めているかを「わたくしごと」として理解することに務めた。だからこそ、蔡英文は問題=傷を乗り越え、総統へと返り咲いたのだ。
蔡英文が優れているのは、政治家として「自分の理想、成し遂げたいこと」と「国民が自分に期待していること」との調和を重んじている点にある。「理想を掲げつつ、問題を冷静に理解しながら進む」という姿勢こそ、まさに乙女座が目指すべき姿なのだと彼女は教えてくれている。
3の倍数で形成されている柔軟サイン(3=双子座、6=乙女座、9=射手座、12=魚座)は「理想」を追い求めるというテーマで一致している。双子座には双子座の、乙女座には乙女座の、それぞれに目指す「理想」というものがあるのだ。
だが、柔軟サインタイプの人たちには、理想が空回りして前進できない、相手の期待に圧倒されて動きをつくれない、または逆に周囲の理想を置き去りにし自分の理想に猛進する、そんな姿が多く見られる。
こういった場合には、やはり敗北後に全国行脚した蔡英文に倣って、現場=最前線に向かうべきではないだろうか。
人の話を聞く、手を動かす、五感を働かす、理想を共有する、そして解決に向かって動き出す。
自分と周囲のマッチングがあってこそ、物事を前へ前へと促進させることができるのではないだろうか。
乙女座期、今一度、自分の人生を「わたくしごと」にしてみたい。そして、問題=傷をしっかり感じとってみたい。そして、理想が見えなくなったときこそ、物事が起こっている現場に立ち続け、蔡英文の問いかけ「いま、この国はどんな姿をしているのか」「台湾が直面している問題、困難は何なのか」「そしてその中で私自身の役割とは何か」という問いをわたし自身にも課してみたい。
中国体制に呑み込まれるという可能性が高まる中、それでも何とか独立国家として生きていこうという道を探り続け、できることをひとつひとつ積み重ねようとしてる彼女の強い覚悟に触れ、太陽乙女座の季節に自分の中の乙女座を大切に育ててみたいと本気で思った。
支持率、票取り、または派閥争いに気を取られている日本の政治家が、この当時、このような現状認識をし、問題解決=治癒に取り組んでいたとしたら、内需の停滞、低賃金、格差といった諸問題もここまでひどくなかったのではないか。同じ時期、安倍内閣はちょうど「一億総活躍社会を目指す」というキャンペーンを行った。女性の社会進出が遅れ、つまりジェンダーギャップが広がったのもこのキャンペーンの一因があげられている。
中卒でトランスジェンダーでもあるオードリー・タンの入閣や、アジアで初めて同性婚を認める特別法の施行といった采配は、まさに現場感覚から来るもの。今こそ、日本の政治家に必要な感覚なのではないだろうか。
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