「わたしの大好きな親友。」/ショートショートストーリー
親友のみおちゃんが今日もわたしにキラキラと話す。
「ねえねえ。聞いて。」
「公主。お伺いいたします。」
みおちゃんはそのわたしの言い方が気に入らなかったのか、少しだけ口をとんがらせる。その顔がかわいいので余計にからかいたくなる
「真面目に聞いてよ。」
「いつも真面目です。さあ。思う存分お話しなさってください。わたしの公主。」
わたしの方は準備万端だ。みおちゃんはキラキラと輝きだす。
みおちゃんは今、恋をしている。長い白い髪の最高位の神仙だ。もちろん生身の人間じゃない。ドラマの中のひとだ。みおちゃんは語る。飽きることなく、尽きることなくわたしに話す。自分がどんなに彼を愛しているのか。1日何時間でもドラマを再生する。このドラマをみるためにどんなことも厭わないと。ドラマの彼を脳内再生しては幸せに浸っている。みおちゃんは、いつだって生身の男を好きになったりはしない。だから、演じている俳優さんのことには興味がないらしい。わたしには、そこがまた彼女の魅力だ。生身の男では、限界があるもの。
わたしに話していくうちにみおちゃんの顔が熱をおびるように赤くなる。オーラはますます赤く妖しく輝きだす。わたしはうっとりする。ちょうどいいころあいだだ。わたしは時間と空間を封じる。封じた中にみおちゃんの赤いキラキラに魅力された妖魔たちが集まっている。その数はすさまじい。みおちゃんが、妖魔たちを視ることができなくて良かったと安心する。わたしの親友であるみおちゃんはごくごく普通の人間なのだから、本当に妖魔が視えたら恐怖で卒倒してしまうに違いない。
わたしはみおちゃんの愛している神仙と同じように、一瞬で妖魔たちを消し去る。ここだけはちょっと残念な氣もする。もしかしたら喜んでくれるかもしれない。でもね。と考え直す。とにかくわたし以外誰も許さない。みおちゃんの赤いキラキラとした極上のエネルギーを食べていいのは親友のわたしだけ。ほかの妖魔と違ってわたしはみおちゃんを傷つけたりしないもの。
みおちゃんはわたしに話して充分満足したようだ。もちろんわたしもだ。
「ねえねえ。また話してもいい。」
もちろんよ。わたしたち親友だもの。
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