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スランプ状態に陥った小説家 十三マリー(じゅうそうまりー)は、ここ二日間、眠れずにいた。 …
珍しく電車で出版社に向かったマリー。 iPhoneで、ネットニュースを確認していると、電車が急…
「まだ書けないの?」 窓際のデスクの上で、小瓶のお風呂に浸かりながら、ポポ子は言った。 …
南海出版に呼ばれたマリー。 懐かしい打ち合わせ場所に通された。編集部の雑踏の脇に、小さな…
新地界は、マリーの隣でスケッチを始め、鉛筆で、あっという間に描きあげた。 「僕のイメージ…
窓際のポポ子のお喋りが止まらない。マリーがまた小説を書くと聞いて、嬉しくてたまらないのだ…
「いじめられるのがしんどいの? 界がしんどいの?」 窓際のポポ子が、小瓶の中で泳ぎながら言った。 「ちゃんと、お水に顔つけて泳いでみなよ」 「いやーだよっ!」 これから、ずっと新地界と一緒だ。 施設の取材の間、ずっと。 界は、優しい。いつだって優しい。この2年、売れない一発屋小説家のわたしのことを、ずっとずっと優しく支えてくれている。 だらだら怠けて、ゴロゴロ寝そべって、お菓子ばかり食べて、パソコンに向かわないわたしでも、梅田麗子の悪口ばかり言い続けて、嫌な貧相