知り合ってからのこと①
ひたすらの敬語・笑
彼はキャリア約10年のベテランSEさんだった。プロフィールには「すぐ仲良くなる」って書いてたのに、とてつもなく丁重なメッセージ。私は過去の職業柄ペーシングというものを知っていたので、なんとかなんとか。
男性が課金制というのは知っていたけど、相手一人あたりにお金が発生するのかどうかまではわからなかったので、とらんくんに「もし私とのメッセージに都度お金がかかってる様なら、LINEでも大丈夫ですよ」と言ってみた(おそるおそる)
私の認識とは異なる課金体系だったけど、とらんくんも気乗りしてくれた様子だったので、連絡手段をシフトしてみた。
差し支えなければお話ししませんか?
電話をしてみたいと提案した時も、了承してくれたものの、いくら喋っても徹底して丁寧語、敬語。自身のことも「私」だなんていう人で、プロフィールと違う〜!って笑った。
でも、初めて電話をした時に2〜3時間も話し込んでしまって、思いの外会話が弾んだ。
とらんくんが「幼なじみと話しているみたい」と感想をくれた事を覚えてる。とても印象的なコメントだった。
そこから3ヶ月くらい、ゆっくりと時間をかけてメッセージや電話で会話を続けた。
とらんくんは、世相のせいで元々不規則なお仕事がもっと激務になってしまって、それでもずっと切れずにやりとりをしてくれた。嬉しかった。
私にとってある意味初めての男性
「未経験からこの業界に挑もうとしているところ、とても尊敬する」と言ってくれた。ああ、男性に「尊敬する」なんて、言われた事あったろうか。すごく刺さった。
当たり障りのない会話から始まったけど、少しずつ、趣味の話、お仕事の話、旅行の話と展開して行った。マッチングアプリ経由なのに、不思議と男女の会話のテンプレみたいな「恋愛話」は全くしなかった。だのに。
しまった。
初めてzoomで対面した時、「あ、きっと私はこの人を好きになる」と直観で思った。というか、「好きになるかもしれない」と思った時は、もう好きになってしまっている事が殆ど、と誰かの本で読んだっけ。
不器用で、それを把握しているからこそ努力を怠らなくて、寡黙なんじゃなく、慎重だから不用意な発言をすることもなくて、それでも違和感を感じたら「今の俺の言い方はよくなかったね」なんて自ら言ってくれる。実直さが伝わってくる。穏やかで、温かい。初めての感覚だった。
これは、ずーっと変わらない、とらんくんの尊敬するところのなかの一つ。
親密さへの恐怖
なかなか理解してもらいづらい「恐怖」だと思うけれど、仲が深まるほど失いたくない縁だなと思うようになっていった。それは私の場合、恐怖とセット。
さらに、いつか言わなきゃいけない自分の話をすることが怖くもなっていた。