最近の記事

「積み木」と「ジェンガ」と絵

静かな夜が落ち着かせてくれるようなときには、吉田篤弘さんの本を読む。 「おるもすと」は、この時のために図書館から借りてきた。僕が本を買わないのは、父親が購入してくれた漫画が部屋の隅で山になっていることが理由になっている。 彼の本は独白的で、本のタイトルにもなっているように、いつも何かしらのキーワードが物語の中心にある。この本の中には、「おるもすと」だけでなく、いくつかのキーワードが存在する。 僕はこういった本を好む。たった一行の文や言葉を説明する為だけに、本一冊を懸けて伝

    • 24/10/25 2:30 移り気な色

      僕は映画館で映画を観るよりも、夜道、もしくは朝の早い時間に散歩するほうが好きだ。映画の演出は音が五割、という言葉をどこで聞いたか忘れたけど、それならば夜道の散歩が映画と比べられるのはそれ程おかしくないはずだ。一定のリズムで擦れる靴の音や、心地よい虫の鳴き声、たまに通る車のエンジン音。季節の匂い。夜はひとりになって寂しいようだけど、不思議なことに、一番勇気が湧く時間帯だ。だからこうして文章が書ける。 最近は紅茶を試している。 以前から珈琲をよく飲んでいたけれど、それに少し飽き

      • 森 博嗣を読む理由

        「辛辣」 という言葉は、辛い現実を突きつけるためにある言葉だと思っていたが、そうでもないらしい。たとえば、「夢に叶え方を知っていますか?」 という本では、抽象的な夢を掲げることは誰にでもできるが、具体的に行動に移していることは何か、または見当違いな方向を歩んでいる可能性を指摘している。受動的である「憧れ」から能動的に正しく走り出せているかどうかを確認させようと語りかけてくる。 こういった問いは僕を緊張させた。僕が実際に行動していることは、何の役にも立っていなくて、ただ気持ち

        • 感動を表現することはできない

          旅行先の美しい風景に感動し、写真を撮ったりするのはよくあることだと思う。最近の僕は情報収集に勤しんでいるから、つい言葉や文章を抜き出してGoogleドキュメントに保存している。ふと思い出したときに、確かめられるようにである。忘れた頃にもう一度、感動できたらいいなと思う。 しかし、次にそれを見たとき、同じように感動することはない。今の自分とその時の自分は別人だし、見た景色のまんま写真を撮ることはできない。そして目をつけるところが全く同じ、ということにもならないだろう。視野の広

        マガジン

        • ゴキンジョ コミュニティ
          0本

        記事

          普通のアップデート

          来年の目標をたてよう。 望んだことが実現する。これを信じてみて、 「なるようになる」 の心構えからちょっと能動的になってみる。来年のことなんてまったくわからない、と思うかもしれないが、決まっていることは意外にある。ふりかえってみれば去年とだいたい同じ生活をしている。 ちょっとだけ、 “普通” を変えてみたい。自分にとっての 「生活の普通」 を少しずつ積極的な方向へ、姿勢を正したい。そうしなきゃ、ここまでの努力に意味がない。既に十分な知識がある。真面目な勉強という、失敗が少な

          普通のアップデート

          “よく見ない”ことが、絵をうまく描くコツ

          “よく見ない”方が、うまく描ける。つまり、細部に集中して全体像を見失うことを避けなければならないということである。茂みを描くときに葉の一枚から描写するのではなく、それら集合体をたった一色でどう描写することができるのかについて悩んでみるといい。 Tips「目を細めて」 もっと劣化した視界の中で、生き残る特徴を探す。その特徴は、色と形に表れていて、絵の強固な基礎となる。単純な色と形だけで構成された最低保証の絵がどれだけの完成度を誇るのか、絵描きにとってどれだけ心強いものなのか。

          “よく見ない”ことが、絵をうまく描くコツ

          スケッチは引き算からはじまる

          何をスケッチするにしても、とりわけ単純化から行うべきである。短時間で絵を完成させること。そうすれば絵の完成度に対するプレッシャーを感じなくて済むし、思考は「何を加えれば絵が良くなるか」といった期待に寄せることができる。時間をかけてしまえばしまうほど、出来栄えに対する期待を失っていく。そうならないためにも、単純な図形を使って基礎を築くのだ。絵において最も優先されるべきなのは、「何を描いているのか」ではなく、全体で伝える印象である。つまり、正確な形よりも色が優先される。 絵にし

          スケッチは引き算からはじまる