春の人
仲のいい従姉妹がこの世を去った
春のような人だった
小さい頃から姉と私と彼女は姉妹のように遊んでいた
大人になって彼女は美容師になった
髪が伸びると必ず彼女に切ってもらっていた
いつも思ったより短くなって、こちらの要望はほぼ無視だけど楽しかったなぁ
3人で彼女のミニクーパーで温泉に行ったり、
タバコ咥えてマニュアル運転する逞しい姿が今だに思い出せて笑える
カラオケではCHARAが18番でいっつも可愛い声で歌ってた
MISIAのライブは感動したねぇ
ミッシェルのライブは弾けたねぇ
旦那さんは無口だけどおしゃれな人を見つけたね
女の子2人出産して2人とも彼女似で
わちゃわちゃしてる間に40を過ぎた頃
目が見づらいんだよねーと相談された
私は眼鏡屋に勤めてた経験上、度が合わないんかなぁって軽く返したら、眼鏡屋で視力が安定しないんだよって言われたらしい
じゃあ眼科だねって軽くまた返した
それからまた少しして、母から東京まで医者に通ってると聞いた
そして2年前が元気な姿をみる最後だった
あの日が彼女との最後だった
それから彼女は眼の手術や色々と大病になり、会いたいと言っても今は誰とも会いたくないって言われてしまった
髪も自分で切るようになった
LINEでメールするくらいになった
3ヶ月にもう覚悟した方がいいと言われていた
そうなんだぁとしか思えなくて
会いたいなぁは彼女を苦しめるからもう何も言えなかった
三日前の夜に母から電話が鳴り、嫌な予感しかしないで出ると、2日前に亡くなっていたことを知らされた
受け入れ難い現実に戸惑いながら、会えないもどかしさが余計に苦しくて、でも彼女が決めたことだからと自分に言い聞かせていた
泣きながら、しょうがないを何度も言っていた
苦しくなって喋れない嗚咽で大丈夫と電話を切った
あぁもう会えないんだなぁ
さよなら言えなかったなぁ
勝手だなぁ
でも彼女らしいなぁ
そのループにハマった
自分が彼女と同じ立場だったらと考えた
周りの人の悲しむ姿は見たくない
自分が衰弱する姿を見せたくない
彼女と同じだったかもしれない
それが正解か不正解かはわからないけど
納得して死にたいなって思った
周りはそれを受け入れていくしかない
だから悲しいけど私の中では彼女は元気な2年前のままでいる
もう2度と会話できないけど会うことも出来ないけどそれに慣れていくしかない
さようならは言わずに言った彼女に
ありがとうって言いたかったなぁ
春に咲く桜の様に
儚く散っていった