技術士資格のメリット
こんにちは。ニックです。
本記事では技術士資格のメリットを紹介します。
個人ブログで公開していた記事をベースに更新したものになります。
エンジニアの分野は色々あるので分野によって評価は違うと思いますが、ニックと同じ土木分野の技術者にとっては、技術士は最もコスパのよい資格であり、資格取得のメリットは非常に大きいと思います。
本記事では、技術士の資格取得についてに私が考えるメリットを紹介します。記事を読むことで、技術士資格を取得のためのモチベーションを維持・向上させたり、自分にとって本当に必要な資格かを考える機会になるかと思います。
記事の対象や記事の効果は以下のとおりです。
本記事の対象
・技術士資格に興味のある人(特に若い技術者)
・技術士資格のメリットを確認したい人
・技術士資格の取得意思を再確認したい人
本記事による効果
・資格取得によるメリットの確認
・資格取得のモチベーションの維持・向上
それでは、一つずつ紹介していきます。
1.資格手当
資産形成の面からは最大のメリットになります。
資格手当により給与が底上げされます。手当は会社によって異なりますが、1~3万円/月くらいの会社が多いようです。
仮に2万円/月として、年間24万円の不労所得を株式等のペーパーアセットから得ようとすると、保守的に4%の利回りであれば600万円の資産が必要です。資格手当が支給される会社ならば、技術士の資格取得にはそのぐらいの恩恵が得られるということですね。
次に生涯賃金と運用による総額を試算してみます。
仮に30歳で取得したとした場合、生涯の支給額は2万円/月×12カ月×30年=720万円の手当が得られることになります。これを30年間、利回り4%で運用すると30年間で1381万円になります。
今はNISA制度もありますから、非課税での運用も可能です。特に若いうちは給与が抑制されがちなので、手当で総支給額を増やせるのは資産形成の強い味方になります。
資格手当は、取得後は会社の制度がなくなるまで支給されるので、合格が早い程その恩恵が大きいといえます。
2.以降のメリットについても、若い程、その恩恵が大きいものが多いです。このため、技術士資格の取得は早ければ早い程良いです。受験資格が得られる前年くらいから計画的に取得準備をするのが良いと思います。
残念ながら、公務員には資格手当はありませんので、給与面でのモチベーションが上がりにくそうです。
2.知識・能力の向上
技術士試験では受験する分野全体を俯瞰した視点での情報収集が必須になります。
これらの情報は受験分野における今後10年20年を見越した情報であるため、受験後しばらくの間は業界全体の課題を把握した状態で仕事を進められるようになります。
私の感覚では、10年経っても根本的な課題は変わっていない印象です。
一方で、細部技術については日進月歩で、受験を通じて、最新の動向を把握できることも大きなメリットかと思います。
また、技術士試験での論文執筆の演習を通じて習得できる『文章を書く技術』は応用できる機会が多いと思います。
私の場合、コンクリート診断士の論述試験、学術記事投稿、学術論文執筆等に役立ちました。
3.仕事の領域の拡大
土木業界では公共事業に関連する調査設計業務をコンサルタントが受注する際に、業務のチームリーダーともいえる監理技術者に求められる資格の一つとして技術士が指定されます。
総合評価方式やプロポーザル方式の入札では、ほぼ全てのケースで監理技術者の保有資格が採点項目の一つとされており、技術士の点数が最高点とされている場合がほとんどです。
このため、他の資格でも代替はできるものの、監理技術者になるために必須に近い資格と土木業界では認識されていると思います。
コンサルタント業務に従事する技術者の場合は、技術士を取得することで担当技術者から監理技術者へステップアップすることが可能になります。これにより、マネージャーとしての業務経験をスタートすることになります。
4.社内評価の向上、昇格条件のクリア
民間では技術士の人数等によって、会社の技術力が評価されるため、技術士の資格取得が個人のみならず会社の評価にも影響します。このため、資格所得者には一定のインセンティブが与えられるのが一般的で、技術士の資格取得によって社内評価が向上したり、手当が支給されたりします。
また、会社によっては、昇格条件の一つとされます。
昇格による昇給や資格手当によって、給料は増えますので、技術士資格は資産形成にも有利に働きます。
管理職になることが必ずしも給与の増に繋がらない場合もあるようですが、そのような会社の場合、転職活動も視野に入れれば、給与の向上には繋がるのではと思います。
最近は、転職サイトを見ても技術士の給与はかなり上がっている印象があります。
5.転職時の優位性
転職の際には有利に働くケースは多いと思います。特に土木業界は、2010年代以降で人不足の状況が続いており、有資格者のニーズは高まる一方です。
twitterを徘徊すると「資格取得を登録した途端にビズリーチからのオファーが激増した」といったツイートもあり、有資格者の需要は以前よりも大きくなっていますね。
転職試験でも透明性を求められる時代なので、一般的には保有資格が採点項目に定められているのは必然です。(評価時のエビデンスを問われた場合に、説明が簡単なので)
仮に、保有資格についての採点項目がなくとも、面接官の立場で考えれば、甲乙つけがたい二人の選定で保有資格に差があるならば、『技術士を持ってる方』が当然採用されます。
というか、1~2回の面接で本質を見抜くのは難しいので、多少面接の出来が悪くても、資格の有無で評価が決まることも普通にあります。(少なくとも私が面接官ならそのように評価します。)
また、転職先の職種・ご自身の年齢・希望ポストによっては、技術士を保有していない時点で『門前払い』となる場合もあるでしょう。
公務員は職務上は資格は不要ではありますが、技術士資格の有無は、採用判断にかなり影響するのではないかと思います。
勿論、資格はなくとも優秀な方は沢山いますが、転職市場においては目に見える形で差別化するのが『資格の有無』だということです。
6.維持費が不要
他の民間資格(土木学会認定技術者、コンクリート診断士等)では実質2000~3000円/年の費用を徴収する資格が多い中で、技術士は実務的にも社会的にもそれらの上位互換となる資格であるにもかかわらず、資格の維持費がかかりません。
ここまでに書いたとおり、非常に多くのメリットを有する資格であるにも関わらず、資格を保持するための維持費が不要なのはありがたいです。
CPDを確保するための費用が必要ですが、サラリーマンだと個人で負担することは殆どないのではないかと思います。
学位(博士)も同じく維持費は掛かりませんが、取得に要する費用、労力が桁違いなので、技術士は圧倒的にコスパの良い資格といえます。
私は業務の都合上、コンクリート主任技師、コンクリート診断士の資格を取得していますが、これらは維持費が掛かるので今は放置しており、結局、維持費のかからない技術士と学位(工学博士)の二つだけが保有資格として残っています。
7.自己肯定感の向上
難易度の高い資格であるため、合格時の喜びはやはりひとしおです。
資格が技術力を証明するものではないと分かっていても、嬉しかったです。
『俺はやれば出来る男やったんや』と自信を高めることができました。
また、名刺に『技術士』を刻めるのは素直に嬉しいですよね。
私も資格登録後、すぐに名刺を作り替えました(笑)。
初めて技術士の資格を刻んだ名刺を作った時は、なんだか一人前になったような気がして嬉しかったのを覚えています。
「これが一番のメリット」という友人もいました。
まとめ
以上、技術士の資格取得のメリットについて記しました。
メリットの一覧を以下に再掲します。
【技術士資格取得によるメリット】
資格手当の付与
資格取得を通じて得られる知識
仕事の領域の拡大
社内評価の向上、昇進条件のクリア
転職時の優位性
維持費が不要
自己肯定感の向上
いかがだったでしょうか?
資格取得のモチベーションのアップにつながったでしょうか?
私の個人的な感覚ですが、建設業界で働きつつ資産形成を進めたいなら、業種にもよりますが最も費用対効果の高い資格だと思います。
また、技術士の資格取得は早ければ早い程が良いです。
ライフイベント的にも20代後半~30代前半は比較的時間がある人が多いので、この時期に勉強する習慣を身につけるという意味でも早い段階で取り組めば、資産形成の面でも一助になると思います。
とはいえ、資格取得に要する時間も長くなりがちな試験です、本サイトでは効率的な勉強方法も紹介していますので、それらも参考にして頂ければと思います。頑張りましょう。
100時間で技術士二次試験に合格した勉強法【前半】
100時間で技術士二次試験に合格した勉強法【後半】
他にも『こんなメリット、デメリットもありますよ』といったご意見がございましたら、今後の参考にメッセージを頂けると幸いです。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
補記(R4.12.22)
この記事を書いた頃(令和4年10月頃)、自分の書いた記事なのですが、『何か違うな』という引っ掛かりがありました。
それは、私自身は『技術士を持っていても技術力の証明にはならない』と思っているのに、技術者の登竜門的な資格のような記述をしていた部分があるからです。
(自己研鑽の意識を持っていることや、継続的な学習をできる素養があることの証明にはなります)
技術士資格を持っていても『う~ん、、、』という方を沢山見てきましたし、技術士資格を持っていなくても信頼できる素晴らしい技術者も沢山見てきました。
私自身は技術士資格は「試験をパスするための情報と論文作成の技術を習得している」ことの証明程度にしか思っておらず、実務能力とは別物と考えています。
この様な自分の本心と本記事で書いていることに乖離があることで、『何か違う』と引っかかっていたように思います。
ただ、記事で書いたとおりメリットの多い資格であることも事実です。
資格手当が出る会社なら、有料のセミナーを受けたとしても1年もかからず回収できるでしょうし、蓄財には役立ちます。コンサル勤務なら監理技術者へのステップアップの用件ですし、、転職時に有利になるというのも事実です。自己肯定感が得られたという記述も経験に基づいたものです。
身も蓋もない言い方をしますが、『技術士資格は技術力の証明にはならないが、人生のチートボタンみたいな側面がある』ということです。
結局何が言いたいのかと言いますと、『資格取得は出来るだけ早めに終わらせて、業務を通じて技術力を高めることに注力できると良い』ということです。
特に発注者や公務員では、組織としてのバックアップやノウハウの蓄積がない場合が大半なので、優秀な方でも、資格取得にご苦労されたようなお話を聞くことがありました。
そういう人たちに、少しでも効率的な勉強をすることの助けになれば良いな、という思いもあり記事を書いています。
分かりにくいところも、色々あるかと思いますので、『ここが少しわかりにくい』とか『ここをもう少し詳しく知りたい』などのご要望があればご連絡いただければと思います。
記事の改善につなげていきたいと思います。
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