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技術士二次試験(建設部門)テーマ学習②「インフラ長寿命化」 共通課題

割引あり

技術士二次試験における個別テーマの学習記事です。
今回の課題は「インフラ長寿命化」です。

本記事は個人ブログに掲載していた記事(2023.5執筆)の時点更新版です。
(個人ブログは閉鎖を検討しており、noteに記事を移行しつつ、併せて時点修正をかけています。)

『インフラ長寿命化』は我が国の最重要課題の一つであり、技術士二次試験の設問候補として、今後数年は残り続けると思われます。
(少なくとも、現在の基本計画の節目である2030年迄は継続され、その後も形を変えて継続するでしょう。)

また、『インフラ長寿命化』の知識は、第1回で取り上げた「建設DX」と同様に他テーマの答案へも流用が効くため、必ず押さえるべき最重要テーマの一つと断言できます

本記事では、学習の中で参照しなければならない、国土交通省の公式資料を紹介するとともに、全体の流れ、優先順位、個別の専門分野における具体策の記載箇所、などについて紹介します。

※ 国交省資料を参照する必要性については、以下をご参照ください。

100時間で技術士二次試験に合格した勉強法  【前半】|nick-blog (note.com)

記事作成にあたって、最新情報にアップデートするために、それなりの時間を投下して勉強し直しました(受験当時よりも公表資料が増えていたので、かなり当時より時間が掛かりました)。
インフラ長寿命化については課題認識されてから長い期間が経過しているため、似たような資料がかなり多いです。そこで、参照するべき資料とその順番を知っておけば時短になるのではないかと思います。

また、公式資料の表現が長い箇所について骨子・答案に落とし込む表現例、骨子答案作成で必要になりそうな主要なキーワード5選(課題・対策・効果の1セット×5)を整理しました。



具体の想定問や骨子答案については↓の記事を参照ください。

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(0)背景

インフラ長寿命化の課題については、10年以上前から問題視されている継続課題です

私が技術士を取得したのが平成23年度で今から12年前になりますが、インフラの老朽化対策は、この時点でも重要課題と位置付けられていました。

その翌年の平成24年に笹子トンネルの天井板落下事故が発生し、インフラ長寿命化の必要性が広く認知され、平成25年の内閣官房による『インフラ長寿命化基本計画』が策定されます。

同計画の策定から10年が経過し、その間も多額の予算を投入して国家として取り組んでいるものの、10年前よりも、老朽化した施設の割合は増加しており、より厳しい状況になっています。

このような経緯を顧みると、「インフラ長寿命化」は今後も技術士試験(建設部門)における重要テーマとして残り続けると思います

さて、インフラ長寿命化が国の重要課題となった背景は以下の3つです。

【インフラ長寿命化の背景】

日本のインフラは戦後~高度経済成長期に集中的に整備されていること。
②これらのインフラの多くが同時期に老朽化による更新時期を迎えること。
③人口減少、財政難等により復旧に更新に対応するための財源、人的資本に限りがあること。

これらを念頭に、インフラ長寿命化問題を以下にまとめてみます。
私案ですので、読み飛ばし可です。

我が国では、戦後から高度経済成長期にかけて多数の重要な社会インフラ(以後、「重要インフラ」)が集中的に整備されており、今後、それらの多くが、同時期に更新時期を迎えることになる。
一方、国や自治体の財政難、少子高齢化、更新時期の重複、の影響により、これら重要インフラの老朽化対策に必要な資金、資材、人材の不足が懸念さている。
また、災害の激甚化により耐震性能等のインフラの要求性能が従前より高まりつつある。
これらの問題が複合的に重なり合うことで、重要インフラの更新や機能回復の遅延に伴い、老朽化が要因となる重要インフラの機能不全が顕在化することが懸念されている。重要インフラは国民生活や産業を支える極めて重要な役割を担っており、老朽化による機能喪失や機能低下が生じた場合、その影響は甚大である。
このため、重要インフラについての計画的な保全対策をおこない、機能回復、機能向上を確実に実施することにより、重要インフラの長寿命化を実現することが我が国における重要な課題の一つとなっている。

(1)長寿命化施策のあゆみ

平成25年11月に『インフラ長寿命化基本計画』(以後「基本計画」)が策定され(インフラ老朽化対策の推進に関する関係省庁連絡会議)ます。
この基本計画は2030年を目標年次とした長期計画を定めたもので、これを実現するための『インフラ長寿命化計画(行動計画)』(以後、「行動計画」)がに国土交通省から策定されます。

長寿命化基本計画が定められた翌年の平成26年5月(2014年5月)に、第1期の行動計画が取り纏められました。第1期の行動計画は2014年~2020年までの期間を計画対象年としています。

その後、令和3年(2021年)に2021年~2025年までの第2期の行動計画が定められ、2026年に2026年~2030年までの第3期の行動計画が定められる予定です。

まずは基本計画で目標方針をつかみ、第1期行動計画での到達点と、第2期行動計画の目標と基本計画との関係を把握することが重要です。

(2)長寿命化基本計画

平成25年11月策定の古い資料になりますが、この基本計画が全てのベースなっています。ですので、まずはこの基本計画を読みましょう。19ページほどの資料なので、本文を読むことをお奨めします。

※ 最新資料である第2期の行動計画等にも目を通しましたが、基本計画をしっかりと読み込んでいれば、2期行動計画を読んでなくても60点の答案は十分作成できそうだと感じました(*)。それぐらい基本計画は重要です。

* 令和5年度試験の「第2フェーズ推進の課題・対策」になると無理です。

※ 2期行動計画は最新の社会情勢を踏まえた更新がされているので、こちらも目を通しておくべきですので、その点はご留意ください。

(2-1)概要

基本計画における全体概要は国土交通省のホームページA4横1枚に纏められています。基本計画の概要、本文、ロードマップはこちらのリンク先からダウンロードできます。

概要ペーパーは上手に1枚に整理されています。私も記事を書くために本文を読みながら要点をノートにまとめてみましたが、この概要ペーパーでほぼ網羅できています。

しかし、項目のみ抜き出している状態で行間が抜け落ちているので、概要だけを読んでも技術士論文を書くのは難しいです。(他の資料等により、老朽化問題の背景を理解している人は大丈夫です。)

基本計画は本文も19頁と短いので、一度は本文を読んでおきましょう

ただし、

概要も本文ともに、2.基本的な考え方、3.計画の策定内容、4.施策の方向性、の項目で重複している部分も多いので、技術士試験の論文では、もう少しシンプルな形で課題と対策を整理し直した方が良いです
(本文が無駄に長いので、概要にまとめても重複が多くなってしまう。推敲が不十分な資料のようにも感じる、、、)

出典:国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)(第二期)(令和3年6月18日)

(2-2)目指すべき姿

3つの項目が設定されています。
論文の課題抽出の最有力候補です。

1.安全で強靭なインフラシステムの構築
 老朽化問題を解決するとともに、激甚化する災害外力へ対応可能な適切な機能強化を行うことにより安全で、強靭なインフラシステムを構築する。
2.総合的・一体的なインフラマネジメントの実現
 長寿命化計画によるメンテナンスサイクルを明確化し、メンテナンスに掛かるコストの縮減と平準化を図る
3.メンテナンス産業によるインフラビジネスの競争力強化
 重要インフラ・老朽インフラの全てでセンサー、ロボット、非破壊検査技術等を活用したメンテナンス技術開発を支援し、国際競争力を確保する。

出典:国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)(第二期), nick-blog まとめ

3つの項目について、それぞれ以下の目標が定められています。
解説不要かと思いますが、特に重要な目標(=論文の中で頭出しするべき目標)は太字にした『老朽化に起因する重要インフラの重大事故ゼロ(2030年)』です。

1.に関する目標
・老朽化に起因する重要インフラの重大事故ゼロ(2030年)
・国内の重要インフラ・老朽インフラの全てでセンサー、ロボット、非破壊検査技術等を活用した高度で効率的な点検・補修を実施(2030年)、等

2.に関する目標
・行動計画で対象とした全ての施設で個別施設ごとの長寿命化計画を作成(2020年)、等

3.に関する目標
・点検・補修等のセンサー・ロボット等の世界市場の3 割を獲得(2030 年)

出典:国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)(第二期)

(2-3)基本的な考え方

(2-4)計画の策定内容

(2-5)施策の方向性

これらは、概要ペーパーのとおりなので本記事での解説は割愛します。

(4)長寿命化計画(行動計画)第1期の概要

『インフラ長寿命化行動計画』に関する資料は国土交通省のHP(以下のURL)よりダウンロードが可能です。

国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画) - インフラメンテナンス情報 (mlit.go.jp)

計画の全体感の把握は「概要」と「主な取組」を確認するのが良いです。

ただし、第1期での進捗については、最新の第2期の行動計画本文の中でも確認できるので、時間がなければ確認しなくても構わないと思います。

(5)長寿命化計画(行動計画)第2期の概要

第2期についても(3)に記載したリンク先のURLから、本文と概要がdownload可能です。

概要のみを以下にアップロードしておきます。

出典:国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)(第二期)(令和3年6月18日)

重要箇所は中段に記載されている『計画期間内に充填して実施すべき取組』です。公表資料の表現は異様に長い(=採点時に読みづらい)ので、骨子や論文に記載する場合は以下のようにシンプルにしておくと良いと思います。

<インフラ長寿命化のために取り組むべき課題3選>
 1.予防保全への本格転換

 2.メンテナンスの生産性向上
 3.インフラストックの適性化(集約・再編)

nick-blog 

概要は良くまとまっていますが、個別の事例は分かりません。
行動計画本文のp.26以降に分野・施設ごとの取組が一覧表にまとめられています。これらについて、自分の専門分野(道路、河川、ダム、鉄道、砂防、下水道等)の箇所だけでも確認しておきましょう。より具体の対策内容を把握できるので、イメージが付きやすいと思います

<紹介されている取組>
 1.個別施設計画の策定・充実
 2.点検・診断/修繕・更新等
 3.予算管理
 4.体制の構築
 5.新技術の開発・導入
 6.情報基盤の整備と活用
 7.基準類の充実


こちらの第2期の行動計画本文は70ページ以上ありますが、分野・施設ごとの取組が項目ごとに網羅されているためであり、各自の専門部分だけを確認する前提なら、ボリュームは半分以下になります。

そこで、本文を読んでから、概要を確認したほうが、頭の整理が進むので、自分の専門分野だけでも本文を読むことをお奨めします。

少ない情報を覚えるより、沢山の情報を関連付けて覚える方が頭の中でストーリーが出来て記憶に定着します。


(6)【提言】インフラメンテナンスの第2フェーズ


令和4年12月に公表された資料である、以下の資料です。

総力戦で取り組むべき次世代の「地域インフラ群再生戦略マネジメント」 ~インフラメンテナンス第2フェーズへ~

令和5年度の資料の必須課題でも設問にあげられた資料です。
2012年からの10年間を第1フェーズ、2022年以降を第2フェーズとし、インフラメンテナンスについての過去10年の到達点と今後の課題を解説した資料となります。

2013年答申に対する、過去10年の到達点を整理されているので、長寿命化基本計画を読んだ後に読むことで、基本計画に対する現状と今後の課題を把握することが出来ます。

設問によってはマストとはなりませんが、今後は、地域インフラ再生に関する視点は意識しておく必要があると思います。

同資料の内容について、説明するとかなり長くなってしまうので、後日、別記事で解説したいと思います。

・・・と思いましたが、この資料、本文も概要もかなり難解です。難解な日本語表現で、正直、何が言いたいのか良く分からないし、まとめ方も良く分からないです。現時点では私自身がこの資料をキッチリ理解できないので、解説はいつになるか分かりません。

ここから先は有料記事としますが、
補足として、直近5年間の出題実績、学習の優先順位、今後の傾向予測、主要キーワード(課題・対策・効果についての一覧表を紹介します。

初めて本テーマを学習する人には、時短になるのではないかと思います。

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