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② 【日蓮宗の木剣加持修法は真言亡国に非ずの事】(4)
🔸 普段から数珠を用いてご本尊、仏、法、僧の三宝の印相を僧侶に関わらなく檀信徒も示している。
加持祈祷には印を示す所作がある。印というと日蓮宗などよりも密教、真言宗などの印象が強いが、仏教全般的な事である見方が本来正しい。しかし真言宗の印と日蓮宗の加持祈祷の際に木剣で用いる九字の印は、同じかと言えば決してそうではない。
印とは、手や指の形を様々な形で表して、仏や菩薩の悟りを表現したものであるが、主に仏像や菩薩像の手や指の形などはすべて印相を表した姿である。印は密教で重視されているが、密教だけのものではないのである。
たとえば合掌も印相の一つであるのだが、仏教徒であれば誰もがこの合掌の印を表して仏に敬いを表しているのである。
釈尊にも印相があり、施無畏印、禅定印、説法印、降魔印等があるが、これらも元となり、のちに密教が興起するに従って多種多様の印相が形成された。いわば合掌印もまさしくこれであるが、印にはそれを表す意(心)があって、ただ形を示していれば良いというものではない。前述したが、合掌は仏、法、僧を敬うという気持ちが表されたものでもあるが、我々に於いては法華経とお題目に依る合掌であるから、法華経の教えに帰依をした上での仏への合掌という意(心)が込められたものである。他宗にもそれぞれ拠り所とする数々の経(法)においての信仰での合掌をしている事になる。
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仏、法、僧の三宝を表した形になっている。
よって法華経信仰者の合掌は、他宗をはじめ真言密教等の合掌とは同じにはならない。
日蓮宗法華の特徴でもある数珠を捻りながら両手の中指に数珠の親玉を挟み込み、手の平の内側に包み込んで挟みながら合掌にする形を、あやとりに似ている事から、我々は「数珠をあやにする」と呼称しているが、この形も、仏法僧三宝のご本尊を胸中に頂く印相であるのだ。つまり我々は普段から数珠を使って、日蓮宗のご本尊、三宝の印相を合掌印と組み合わせて印を結び示しているのだ。これが、なぜ合掌、お題目を唱えるときに数珠をこのようにしているのかという意味である。
もう言うまでもないのだが、日蓮大聖人も合掌をされて祈りを捧げられていた。
法華経の『方便品』には、
「合掌以敬心欲聞具足道」「合掌し敬心を以って 具足の道を開きたてまつらんと欲す」
の一句は、合掌(印相=しるし)し、敬心による信心によって身口意三業を浄めるという意味がある。印を結ぶ相によって、我々の心の状態が仏の教えによって導かれると言うものでもある。つまり功徳がある。印の中でも合掌は、我々に一番馴染み深い事なので、このことを見つめる事ができれば、理解も早いであろう。食事をするときにも「いただきます。」と言いながら合掌をすることにも、心の印、感謝の印を表している。
また同じく『方便品』に、
「深心に佛を念じ浄戒を修持するを以っての故に 此れ等、佛を得べしと聞いて大喜、身に充編す 佛、彼の心行を知れり 故に為に大乗を説く」
と説かれている。
印を表す(結ぶ)事は、仏教ではごく普通のことをやっていることとして認識する事ができる。
これは仏の功徳にあやかろうと、その形を真似ると言うことから信仰の「信」が生まれている。
我々、僧侶が頭を丸めているのも、釈尊の姿に近づこうとするものでもあり、「信は荘厳より生ずる」(信心は姿、形から生まれる。)と言う言葉があるほどである。仏の印を真似る事は悪いことでもないし、本来の仏教ではないと非難を受ける理由もないのである。
余談ではあるが、忍者が忍法を使う際に、人差し指を上に立てて、もう片方の手でその指を包み込む形の印相をするイメージがあるが、仏教の智拳印を真似たものである。
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(日蓮宗ではこのような類の印は用いていない。)
次回、九字の印相について
② 【日蓮宗の木剣加持修法は真言亡国に非ずの事】(5)へ、つづく。
🔸木剣修法の九字について
目次
①【日蓮宗のご祈祷の事】
🔸日蓮宗法華の修法意義とその起因
②【日蓮宗の木剣加持修法は真言亡国に非ずの事】(1)
🔸日蓮宗の木剣加持修法の正当性
②【日蓮宗の木剣加持修法は真言亡国に非ずの事】(2)
🔸 日蓮宗で広く使われているお札の形と木剣の関係性
②【日蓮宗の木剣加持修法は真言亡国に非ずの事】(3)
🔸 日蓮大聖人の祈り。仏教で行う祈りは、仏法の道理でもある。