30ビックバンド部の思い出 房総半島での新歓合宿での入部儀式
大学入学してすぐにビックバンド部に入った私は、ゴールデンウィークの頃に千葉の内房のとある田舎までビックバンド部の新歓合宿に出かけた。
チェー年(1年生のこと)は10人近くいたと記憶している。合宿場には、宿泊施設と合同練習場がある、民宿風の宿であった。施設が整っているのでおそらく、他の音楽系団体も合宿に使っていると思う。
音楽系の部活に初めて加入した私は、ワクワクして参加した。都心からJRに乗って内房の片田舎までは、とても遠かった。チェー年同士で親睦を深めつつ、昼は練習、夜は酒を飲んで大学生になったのだな〜と実感した。
楽器車に乗って買い出しにも出かけた。東京から海をわたった対岸が、こんなに長閑なところだとは初めて知った。
合宿のとある日の夜、チェー年せいがエフ年に呼び出されて脅される、という儀式があった。この儀式は、新歓合宿で恒例になっているとのこと。チェー年が一人づつ呼び出され、真っ暗闇の中で脅され、詰問されるらしい、とのことだった。この儀式をクリアーしないと、正式には入部できないとのことだった。チェー年たちは、何をされるのだろうか?とビクビクしていた。
一人づつ呼ばれた。私は真ん中くらいの順番だったと記憶している。宿泊施設の別棟に呼び出され、真っ暗の中を歩かされ、エフ年たちが待機している部屋に入るように誘導された。なんでこんなお化け屋敷みたいなことをさせられているのか、全く訳が分からなかった。真っ暗な部屋に入ると、座らされた。エフ年から個人的な質問を幾つかされた。
なぜピアノを選んだのか?→ピアノを習っていたから。ピアノのどこが好きなのか→音。と答えた記憶がある。
てっきり、輪⚪︎まがいのことでもされるのかと思っていたので、拍子抜けした。と同時に、ピアノのどこが好きなのか?なんて質問、ばっかみたい、と思ってしまった。解放された私は、なんでこんな儀式が入部に必要なのだろう?と不思議で仕方なかった。
先輩方の話によると、この儀式は年々まろやかになってきているとのことだった。昔は、本当に怖くて暗闇で泣かされていた、だからあなたたちは私たちの時よりもよい、とか言っていた。
たかが部活に入部するだけなのに、なぜこんなくだらない儀式が必要なのか?私には全くわからなかったし、若干興醒めもした。
今でこそ、大学生のガキのすることだな、と思えるのだが、当時の私は体育会系のこういうノリにひたすらうんざりさせられることになる。