日本女子大学にちぶんちょう公式note

日本女子大学文学部日本文学科からの発信です。

日本女子大学にちぶんちょう公式note

日本女子大学文学部日本文学科からの発信です。

最近の記事

【リレーエッセイ】#08「人生のために生きよう(遠藤周作)」 渡部麻実(近現代文学)

女性が自分の生を生きるために 小学生のとき、男女雇用機会均等法が制定されました。社会に出るころには日本は大きく変わり、性を意識することなく、ただ人として、生活も人生も自分自身でプロデュースするのが当たり前になっている予定でした。ところが予定はいつまでも予定のまま。大学入学前にバブルも崩壊し、私たちの世代は、就職超氷河期と名づけられました。  何にでもなれそうな気がしていたそれまでが風に散り、夢をみることと現実を知ること、可能性を信じることと身の程をわきまえることとのあわいに、

    • 【リレーエッセイ】#07「日本文学科への進学と太宰治との出会い」片木晶子(近現代文学)

       専門は日本近代文学で、主に太宰治の文学を研究しております。  私が日本文学科に進学することにした経緯や、太宰治文学に関心を持ったきっかけなどを書いてみたいと思います。 幼い頃の読書体験 幼少期は、親の教育方針により、テレビやゲーム、PCといった近代的なコンテンツから遠ざけられていました。そんな環境の中で、開かれた貴重な娯楽の一つとして本がありました。本であればジャンルを問わず買ってもらえたので、本屋さんに行く時はいつもわくわくしたのを覚えています。  自宅の近所に翻訳絵本

      • 【リレーエッセイ】#06「図書館情報学と私」木村麻衣子(図書館情報学)

         大学教員だ、と言うと「専門は?」と聞かれ、「図書館情報学」と答えると「図書館情報学って何?」と聞かれて、説明がややこしいことになるので、できるだけ大学教員ということはバラさないように生きている木村麻衣子です。    「図書館情報学」をなんとか説明できるようになったのは、ごく最近のことです。私は、「図書館情報学は、人と情報を結びつけるための学問」だと説明しています。それは図書館であってもいいし、なくてもいいのです。結びつけることに資するあらゆることが研究対象になります。SNS

        • 【リレーエッセイ】#05「日本語教育、そして日本語教育学との出会い」衣川隆生(日本語教育学)

           現在、大学では日本語教員養成課程と日本語教育学のゼミを担当している衣川隆生です。この大学に来るまでは、どちらかというと日本語を母語としない外国ルーツの人に日本語を教える日本語教育が中心で、私自身「教育」が専門だと考えていました。これから少し私がなぜ「日本語教育」に足を踏み入れたのか、そして、なぜ「日本語教育学」を専門とするようになったのかをお話ししたいと思います。  大学の教員というと、学生時代からまじめに学問に励み、研究を続け研究者、そして教育者になったんだろうと思う人

          【リレーエッセイ】#04「文学との出会い、太宰治との出会い」山口俊雄(近現代文学)

           近現代文学を担当している山口です。私がどういう経緯を経て、文学への関心を深め、文学研究者になったか、綴ってみることにします。  丙午(ひのえうま)の年に奈良市で生まれましたが、すぐに大阪府S市に転居。小3になる時にK市の、駅から遠い自然豊かな土地に作られた新興住宅地へ転居、高校卒業までそこで過ごします。転居したのが春休みで、学校が始まるまでの間、友だちもいない状態で新興住宅地の中をローラースケートで駆け巡ったあのときの解放感と孤独、白紙状態の感覚はいまでも忘れられません。

          【リレーエッセイ】#04「文学との出会い、太宰治との出会い」山口俊雄(近現代文学)

          【リレーエッセイ】#03「社会言語学との出会い」田邊和子(日本語教育学)

           私の専門分野は、「社会言語学」です。社会言語学というのは、言語と、社会の状態や変化との関係を考える学問です。  1992年ごろ、ニュージーランドのオークランド大学で言語学を学んでいた時に、オーストラリアのアボリジニーが持つ言語のヴァリエーション、mother in law, father in law language を知りました。一般的には、「回避発話(avoidance speech)」といわれる言語の種類です。ある特定の親族がいる場面や、その人たちのことを話す時に

          【リレーエッセイ】#03「社会言語学との出会い」田邊和子(日本語教育学)

          【リレーエッセイ】#02「私の履歴書」福田安典(近世文学)

          そうだ、文学部に行こう! 思い起こせば50年前、古典と地続きの地域の旧家で育った私は中学校へ進学した。祖母の里が高安(『伊勢物語』の筒井筒に出てくる)であり、古典文学には馴染みがあり、宴席では伊勢音頭や江州音頭が突然合唱されるような環境で育った私は、その反動から海外文化へ憧れた。ローリングストーンズを聞きながら、カフカ、サルトル、デカルト、キュルケゴールなどを読み、ゴヤやダリの画集を眺めていた。  当然、英語と理系に強い男子校に進学するのだが、その高校時代にもっともはまったの

          【リレーエッセイ】#02「私の履歴書」福田安典(近世文学)

          【リレーエッセイ】#01「能に魅せられて」石井倫子(中世文学)

          前史:古典との出会い たまたま手に取った田辺聖子の『舞え舞え蝸牛 新・落窪物語』があまりにも面白かったので、次々と田辺聖子の古典モノを読み漁った中学時代。それがきっかけで高校では古典漬けの日々を送ります。古文の授業で徹底的に文法を叩き込まれたおかげで、原文で読める楽しさに目覚め、辞書を片手に『竹取物語』『更科日記』『蜻蛉日記』『讃岐典侍日記』『枕草子』など、片っ端から読み、意味の取れないところは先生に質問しまくったものでした。高2の頃には「大学で古典文学を勉強したい!『落窪物

          【リレーエッセイ】#01「能に魅せられて」石井倫子(中世文学)

          【イベント報告】語り合いの記録「太宰治ワークショップ23〈転生する太宰治・アダプトされる太宰治〉」              

          語り合いの記録 「太宰治ワークショップ23〈転生する太宰治・アダプトされる太宰治〉」 2023年8月2日(水)13時から 日本女子大学 百年館低層棟7階 演習室72  〈参加者〉  A・B・C(1年生)  D(2年生)  E・F(3年生)  G・H・I(4年生)  J(大学院博士課程前期2年生)  K(学術研究員)  山口俊雄(教員・モデレータ) 自己紹介【山口】それでは、ワークショップを始めたいと思います。  ちょうど1年前、マンガ・アニメ・ゲームにアダプトされる太宰治

          【イベント報告】語り合いの記録「太宰治ワークショップ23〈転生する太宰治・アダプトされる太宰治〉」              

          ごあいさつ

          日本女子大学文学部日本文学科に関わるさまざまなことを発信するために note を始めました。どうぞよろしくお願いします。