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【オススメ本】渋沢栄一から学ぶ、必要な3つのもの


紹介したい本は、渋沢栄一の「現代語訳 論語と算盤」です。
新1万円札の肖像画に採用され、大河ドラマで取り上げられた渋沢栄一。
渋沢栄一の考えがまとめられた原本は大正時代生まれですが、イマドキの考えなんです。
生き方の指標のようで、社会人の道徳の教科書でした。
人生に迷っていた20代に出会っていたら、人生変わってたかも………


今と同じ先が見えない時代でも

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「論語と算盤」は、江戸から明治に活躍した作者が「人はどうあるべきか」を書いたものです。

当時、鎖国が終わったことで海外との関係や国の制度、文化が大きく変わった激動の時代でした。
時代の変化と共に、作者も農民の生まれながら、反幕府派から幕府の武士となり、明治には政治家から実業家へと身分を変えていきます。

日本郵政を始め、サッポロビールやJRなど400社以上の会社の設立に関わります。自分の利益だけを追及しがちなビジネスの世界(算盤の世界)にいながらも、利益だけに捕らわれない考え方を持っていました。

「人はどう生きるべきか」を当時の道徳の教科書、論語を学んだ作者。500以上の慈善事業にも関わり、ノーベル平和賞の候補にも。多くの人を動かし、世の中のために貢献しました。

利益を出しつつも、社会貢献。
今の社会と同じ考え方を100年前に体現してるとは、驚きです。

先が見えない時代に恐れることなく、身分を変えていくところは、行動力がありますよね。
バックグラウンドの違う人たちと関わっていたので、コミュ力が高かったんだろうなと思います。


心に響いた、常識、趣味、敵を持つ

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本書の中で、特に私の心に響いたのは、人は「常識」「趣味」「敵」をもつこと。
強い意志と人情を持って、趣味のように向上心を持って仕事を楽しんで、敵という自分の監視役やライバルがいると成長できるということです。

私はいまだに、自分の芯がなく不安定なのが悩みです。仕事=楽しいもの、という考えが持てず、口出ししてくる人や、人と競争することも苦手です。
社会人8年目で中だるみしている私には、沁みる言葉です。


①常識とは「知恵、情愛、意志」を持つこと


本のなかで常識について、こんな記述があります。

「常識はどんな地位にいても必要であり、なくてはならないものである」


「まず、何かをするときは極端に走らず、頑固でもなく、善悪を見分け、プラス面とマイナス面に敏感で、言葉や行動がすべて中庸(偏らず中正)にかなうものこそ、常識なのだ。」

(第三章 常識と習慣 p65)

知恵のある人とは、物事の善悪や、プラス面マイナス面を見抜ける人。ものごとの原因を分析し、結果を見いだし、今後どうなるかを見通せるということです。

どれだけ知恵があっても、情がないと、自分の利益だけを求め、他人を思いやれなくなってしまいます。情があることで、人との関わりの中で上手く生きていけます。

情だけでは、意志がないと簡単に流されてしまいます。情をコントロールするには、強い意志が必要。強い意志と理解力・判断力に優れた知恵をもち、情で他人との関わりを調整できます。3つをバランスよく育てていくことが大事ということです。


②仕事にも趣味と同じような熱心さを


仕事熱心だった作者ですが、意外にも趣味とは何か触れられています。

「『趣味』という字の意味は、「理想」とも「欲望」とも受け止める」

(第五章 理想と迷信 p105)

どんな仕事でも趣味のように、わくわくするような面白みをもたなければなりません。単に自分の役割をこなすだけでは心のない人形と同じです。自分からやる気をもって、理想や思いを付け加えて実行していけることが趣味を持つということ。趣味のレベルが上がっていけば、見合った成果がもたらされます。さらに、話の最後にこう書かれています。

「たとえどんなことでも、自分のやるべきことに深い「趣味」を持って努力すれば、すべてが自分の思い通りにならなくても、心から湧き出る理想や思いの一部くらいは叶うものだ。」

(第五章 理想と迷信 p105)

③まわりに敵はいたほうがよい


競う相手や身を引き締める相手がいなければならないことを教えてくれる章です。

後輩の指導にあたる先輩には、2種類の先輩がいる。ミスをしても必ず味方になり守ってくれる先輩だと、私たちは安心して気持ちがゆるんでしまう。一方、常に後輩のミスに揚げ足をとり、怒鳴りつけて責める先輩がいると、怠けなくなり身が引き締まるものだ。

当時、アメリカやヨーロッパの制度や考え方は日本より進んでいました。渡航経験があり外交に関わりがあった著者は、外国と日本を比較することも多かったようです。

「(中略) 常に周囲に敵があってこれに苦しめられ、その敵と争って必ず勝って見せる気概がなくては、決して成長も進歩もない。」

(第一章 処世と信条 p31)


今も変わらず必要とされていること


本書から学べたことは、常識、趣味、敵をもつことです。

①常識=「知恵、情愛、意志」を持ちバランスよく伸ばす
「知恵」は、ものごとの良し悪しを判断し、原因の分析や、今後の見通しを立てる能力
「情愛」は、自分のことだけでなく、人を思いやれる気持ちを持つ
「意志」は、感情に流されず、自分の決めたことを実行する気持ち

②趣味=どんな仕事でも「趣味」のようにわくわく感を持ち、自発的に工夫をする
レベルを高め、心をこめて行動する気持ちを持つことで、いつか社会の役に立てるものになります。

③敵=自分の身をひきしめ、時にやる気につながる身近な人をおく
競い合える人がいると、競争心がでて勝ちたい気持ちがでます。
厳しい先輩がいるとミスしないでおこうと気持ちを引き締められて、成長につながります。

江戸から明治の時代、めまぐるしく変化し先が見えない時代でした。多くの人を動かし、世の中に貢献した渋沢栄一。

内容は100年前のものですが、今も変わらず必要とされている考えではないでしょうか?今回取り上げた3つだけでなく、他にも「ささいなことに手をぬくな」や「大きなことに身構えるな」など社会人生活に取り入れられる教えがはいっています。

新しい考え方を学ぶ1冊として読んでみては?



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