長唄 浅妻船
浅妻船は「あさづまぶね」と読みます。
古典の代表曲の一つ!紐解きましょう😊
あらすじ
「月雪花名残文台(つきゆきはななごりのぶんだい)」という七変化舞踊の一つ。本名代は【浪枕月浅妻(なみまくらつきのあさづま)】といいます。
琵琶湖に浮かべた舟で旅人を慰めたという遊女を、英一蝶の絵から写し、水干・立烏帽子の白拍子として舞踊家したものです。遊女のはかない境涯をうたった歌詞で、作曲が優れ、くどきから鞨鼓・振鼓を使った踊りがみどころです。
浅妻船の由来
浅妻(あさづま)とは、琵琶湖の東岸の港である朝妻(あさづま)で舟に乗り、旅人を相手にしていた遊女のこと。一夜の「浅い」契りと「朝」とをかけて「浅妻」と記されました。
そして、この「浅妻船」は元禄時代に有名な絵師だった英一蝶(はなぶさいっちょう)が描いた絵をモチーフに舞踊化したものです。
この絵に烏帽子(えぼし)・水干(すいかん)姿の女が鼓(つづみ)を持ち、舟に乗っている構図で描かれているのです💡
幕開きの構図がまさにその絵の通り、ということなのですが、とっても華やかで目を引くんですよね✨
男舞姿の白拍子で描かれているのはそういう由来があったからなんですね😳
観賞のポイント
烏帽子・水干を身に纏った白拍子が、まずは玄宗皇帝と楊貴妃の恋の情景の踊りにはじまり、烏帽子をとってクドキとなり、手踊り、羯鼓(かっこ)の舞、早いテンポで踊る鈴太鼓、そして中啓で舞で結んでいます。1曲の短い間に様々な趣向が織り込まれており、また舞の荘重さと踊りの軽妙さ、曲の早さとゆるやかさといった対照的な変化が巧妙に生かされた、魅力の詰まった作品です。
遊女と品位
役所は白拍子なので遊女ということで間違いないのですが、艶麗(えんれい)であるべき遊女の性格がないことにこの演目の特徴があります。
歌詞にこそなまめかしいのに、朝妻の女な生態を出そうとせず、正反対に品位を感じさせる振付に徹しているのです🤔なぜなんだ…
ここでやはり変化舞踊がキーになってきます。
雪月花名残文台の七変化舞踊の中で品位のよいものにしたかったのではないかという事が推察されます。
もう一つは「京鹿子娘道成寺」に対抗して作られたのではないか、そういう見方があるようです💡
いづれにせよ、とても華やかで振りが次から次へと出てくる大変な舞踊であることは変わりありません。
男舞の装束は今回の公演で実は3曲あったのですが、この「浅妻船」は少し趣向の違う作品のようです。
立方(たちかた)
坂東千絵舞(ばんどう ちえまい)
坂東三千美絵師に師事。
「浅妻船」は、元禄の頃、英一蝶が描いた絵をモチーフに、烏帽子、水干姿の白拍子を舞踊化した作品です。役どころは白拍子であります。品の良さを中心とした振付となっておりますので、品位を大切に、船遊女のはかない境涯を表現できるよう精一杯努めたいと思います。