2024年に取り組んだことまとめ
小さな会社の慎ましやかな1年間の取り組みを、どうぞご笑覧ください。
1.自社の状況(2024年12月)
当社は、大阪に本社がある創業76年目の医療機器製造業です。機器事業と消耗品事業の2つの事業部があります。
機器事業部の主力製品は、病院向けの哺乳瓶洗浄機、殺菌機、粉ミルクを安全に提供するための調乳機器全般を製造販売しています。設計、製造、販売、アフターサービスを自社で一貫して行っています。
消耗品事業部では、クリーンルームで注射薬容器、哺乳瓶を洗浄滅菌し、販売しています。
社員数は50名弱、売上は5-10億円の間です。
2017年からkintone、slack、2021年1月からGoogleWorkspaceを導入しました。2023年からはjinjer勤怠、楽々精算を導入しています。
ISO9001・ISO13485(医療機器)を取得しており、品質文書はほぼすべて様式・台帳管理がされています。
2023年12月28日に23年ぶりの社長交代がありました。
そんな会社が、この1年ではこんなことがありました。
2.三田理化バリュー
今後、どんなチームでありたいか、を表現するために三田理化バリュー(
共通の価値観)を作りました。
作った経緯は「MVV否定派がなぜかバリューを作った」にまとめました。
簡単に言うと、ここ数年、会社を変革してきて良い雰囲気になってきたと思っていた矢先に退職者が相次ぎ、自分の考えは社員に思ったほど伝わっていない、と痛感したことからバリュー作りをスタートしました。
会社の良いところをメンバー全員で議論したり、同級生やアトツギに壁打ちしてもらったりしながら、最終的に自分でバリューを決めました。
バリューが出来た結果、経営者である自分の意思決定に軸が生まれました。ひよっこ経営者のよりどころとして、この1年間活躍してくれています。チームへの浸透は今後の課題です。
3.ゆるキャラ
バリューに出てくる生物はななんなのか、と思われたかと思います。
これは三田理化工業に新しく生まれたコーポレートキャラクター「みった」と「りっか」です。
当社の製品は、ほとんどがステンレスの四角い箱です。これらをお客様に愛着をもってもらうために「デザインを変えるよりもゆるキャラを貼った方が早いんじゃないか」と考えたことから、社長就任の第一声で「ゆるキャラ作る!」と宣言し、社内からキャラクターを公募してみんなで作っていきました。
ゆるキャラが生まれたことで、新しいノベルティ「ミタリカアメ」や、社内のコミュニケーションも増え、そして取引先からも「かわいいですね」と声掛けいただけることが増えました。
4.GoogleWorkspace全社導入
「社内のコミュニケーションをメールからチャットに変えたい」
遅ればせながら、このテーマに取り組むことにします。
①一部業務で使用しているslackを有料版に切り替えるか
②Microsoft365でTeamsを入れるか
③GoogleWorkspaceを全社に導入してGoogleチャットを導入するか
この3つから、GoogleWorkspaceに決めました。
決めた理由はいくつかありますが「Microsoftは今をベースにより良くしていくが、Googleは未来の働き方を提案してくれる」というアトツギ仲間の言葉から、Googleを選びました。
意識したのはルール作り。メールからチャットに切り替わるだけでは、きっと無駄が生じる、DMばかりで情報共有が上手くいかないといった問題が起きることを予測し、他社の導入事例を参考にしながら、ルール作りと最初の説明を徹底しました。
①DM原則禁止
②チャットスペースをこまめに分ける
③雑談すぺーすを設けて使いやすくする
④リアクション推奨(スタンプ使おう)
このようなルールを設けることで、社内コミュニケーションは以前より早く、そして部署間の連絡も早くなりました。
一例として、社内資格制度を見直す際、拠点が離れている管理職のチャットで、議論し合い3日で制度変更が出来ました。
また大掃除や、忘年会などのイベントも拠点ごとに投稿しあうことで、これまで拠点どうしではあまり知らなかった日常の様子も知る機会を作ることが出来ました。
特定のスペースでは、Google個人アカウントも許可しており、休み連絡や災害時の連絡手段も設けることが出来ました。
5.調乳ベースデザイン
みなさん、調乳って言葉を知っていますか?
病院には、様々な理由で母乳が飲めない赤ちゃんが多くいます。それらの赤ちゃんに都度ミルクを作っていると、看護師さんの手が取られてしまいますので、一括でミルクを作る必要があります。その粉ミルクからミルクを作ることを「調乳」と言います。
三田理化工業は、病院で効率的、そして安全に調乳を行うための機器や哺乳瓶など、全国で唯一すべての調乳機器を販売しているメーカーです。
おそらく、病院向けの調乳については日本でもっとも詳しい会社です。ただ、それらの情報は属人的であり、体系的にまとめられていませんでした。
それをみんなの力でまとめました。
文書に残すことで、当社の強みや特徴、求めるべき品質とはなにか、ということを整理出来ました。
これは、短期的には大きな影響はありませんが、今後の製品開発や製品の標準化を進めるうえで、ベースとなっていくと思います。
6.勤務間インターバル制度
当社の機器の納入工事は、病院の稼働が止まる夜間に行うことが多いです。ですが夜間工事後の休みについては明確な定めがなく、工事の報告があった際に「今日休んでいいよー」と許可するような流れでした。
しかし、これでは休みづらいという声もあり制度化することにしました。
政府が定める勤務間インターバルの目安は11時間ですが、当社は最大16時間のインターバルを認めています。
夜間工事で疲れている中で夕方から出勤する、というのは違和感があったため「もう終日休みでいいよね!」と制度を決めました。
7.職場体験会
「夏休み、こどもたちはずっと家でゲームとテレビ見てますわ」
という共働きの社員さんのお話を聞いて、だったら会社に来てもらおう、と「職場体験会しよう」とみんなに声をかけました。しかしそれはもう夏休みが終わる1週間前。
それでも担当は頑張って企画してくれて、配管を組み上げて水鉄砲を作ったり、3DCADを使ってピンボールやボウリングを体験したり…
僕としては、お父さんと子供が同じ作業台で作業をしている光景を見て、もう胸アツでした。
そして社員のお子さんから翌日に感想文と御礼文をもらい、それを読む担当してくれた若手社員の顔を見て、無理やりでも開催して良かったなぁと思いました。
8.インスタグラムでアカウント開設
「なんでインスタのアカウントないんですか」
今年新しく入社した20代前半の社員からそう言われました。入社時にインスタで調べたらアカウントがなかったので、どういう会社かわからなかったという言葉を聞いて、そういうものかと気づかされた自分はやはりもう若者ではないのでしょう。
「じゃあ作って」とお願いしたところすぐに取り掛かってくれました。
入社半年にもならない若手が、他の業務と兼務しながら投稿を作ってくれてます。良かったら見てみてください。
まとめ
こうやって振り返ると、この1年はコミュニケーションに時間とコストをかけてきた1年でした。
当社は小さいながらも製造業で、設計から営業、製造、アフターサービスすべてを自社で行っています。そのため、売上を上げるためには社内コミュニケーションが必要不可欠です。一人で売上を上げられる人間は一人もいません。お互いがいなければ、ビジネスは成立しない。
そういう事業、会社だからこそ、チームワークやコミュニケーションが必要です。
バリューに掲げる「ありがとうと笑いがあふれるチームに」という価値観を少しでも体現していきたいです。
2017年、この会社に入社した時はMBAに通っていたこともあり、社内行事や売上に直結しないような取り組みは反対でした。
会社が来年どうなるか分からない中、そんな悠長なことをしてていいのか、と思っていました。もっとちゃんとした会社になってからイベントをしたほうが良いのではないか、と…
けど、その考えは誤りだなと今は強く思います。
今年、社長になった直後に一人の社員の方が病気になりました。今後は継続的な治療が必要になり、満足に働けなくなるかもしれません。その時、その社員の方と話した時に言ってくれた言葉が忘れられません。
「この会社、このメンバーが好きです。出来ることなら長く働きたい」
涙ながらに話す姿を見て「この人が三田理化工業に入ってよかったと思える時間を1つでも増やしたい」と思いました。
人間、いつなにがあるか分かりません。三田理化工業が「もっとちゃんとした会社」になる保証もありません。そんな起きるか分からない未来のために、所属しているメンバーの今この瞬間を犠牲にするのは、あってはならないし、その犠牲を強いるのは自分のエゴだな、と思いました。
その方が「三田理化工業に入ってよかった」と思ってもらえるかどうかは分かりませんが、少なくとも僕自身がやりたいと思うことにブレーキをかけないようにしよう、と思いこの1年走ってきました。
新米の社長として満足いかないことばかりでしたが、彼女のおかげで自分の心のブレーキは取っ払うことはできたのかな、と思います。
自分のマインドセットを大きく変えてくれたことに感謝し、来年も「三田理化に入ってよかった」と思える時間を1つでも多くつくりたいと思います。
わぁわぁ言うとりますが、お時間です。さようなら。