修理カルテをデジタル化してみる②要求仕様
当社は全国の病院に哺乳瓶の洗浄機や滅菌機、病院にいる赤ちゃんが安心してミルクを飲めるための調乳機器を製造・販売しています。
病院にあるこれらの機器の修理・点検も自社で行っています。
現場の修理情報を入力する紙の修理カルテをデジタル化してみる、というのが今回の挑戦です。その①では、現状の修理業務全体を整理しました。
※これは終わったプロジェクトではなく、現在進行形で考えながら書いてます。まだ解決していません。
この項では、修理カルテをデジタル化するにあたり、①そもそも修理カルテが果たす役割とは、②そのために必要な情報は?③そしてそれを実現するための方法、を考えてみます。
1.修理カルテの役割
そもそも修理カルテとはなんのためにあるんでしょう。現在の当社の修理カルテの役割をまとめてみました。
①訪問修理の際、対象となる機器の症状を記録する。
②実際に作業をした内容を記録する。
③お客様に提出し、サインをもらうことで納品書・受領書の役割も果たす。
(④社内で保管し、次回の故障時などの状況把握に用いる。)
つまり現在の修理カルテは、①作業結果報告、②納品書、主にこの2つの役割を担っています。
この機能があるアプリケーションを作れば目的は完遂。デジタル化は達成です。思ったより簡単そうです。
ところが、ここで現場からの要望が上がりました。
「基幹システムで作った事前見積の内容を反映させてくれ!(ただし見積出さないこともあるよ!)」
「kintoneの修理アプリの情報は修理カルテにも入れてくれ!(でも修理アプリのレコードは機器ごとだから複数レコードあるよ)」
「写真も入れたい!機器ごとの点検表も入れたい!」
よくありますよね。システム化の際、使用者から要望がどんどん出てくる現象。システムは魔法じゃないのでもちろんすべては実現不可能です。
実はここで一回失敗しています。使用者からの要望を聞いて作った結果、よくわからないものが出来ました。なのでそのアプリは破棄しました。
ここで改めて「(新しい)修理カルテが果たすべき役割は?」という問いを考えてみます。
①でも検討したように、事前に見積がある(ない場合もある)ということ、作業結果を報告すること、から「現場で修理する前に作業することが決まっている」ことが導き出されます。
これは当然ですね。そうじゃなけれ作業者は持っていく交換部品や工具も定まりません。
つまり、結果の報告とは「ただ行動したこと」を記録すればよいのではなく、「事前の調査により定められた作業」いわゆる作業指示を実行できたかどうかを報告しなければならないのでしょう。
これまでの修理カルテの役割(①作業結果報告と②納品書)に加えて、新しい修理カルテは「作業指示」情報も組み込めば、現場の意見も取り入れたシステムになるのでは、と考えます。
2.修理カルテに必要な情報は?
では、実際に作業指示、結果報告、検収(納品書)のために、修理カルテに記載されるべき必要な情報はなんでしょうか。
①作業指示
作業指示となると、必要な情報がイメージできてきます。基本的には必要な情報は5W1Hです。
誰が:作業者名
いつ:作業(予定)日
どこで:納入者様名
なにを:対象となる製品
なぜ:発生内容・故障原因
どうやって:交換部品、修理・点検項目
②結果報告
そして結果報告には、
作業指示が完了したか
作業指示の変更があったか
作業指示外で特記事項があったか。それはなにか。
写真やその他の書類を添付できる。
が必要です。「作業した内容をすべて書く」だと、作業者によってどこまでを記載すべきか、ズレてしまいますが、まずは「作業指示」を完了したかどうか、を記録すれば、必要な情報は満たされると思います。
③納品書
納品書の機能として、お客様からサインを頂く欄が必要です。これは、システムで一番難しい機能でしたけど、今どきなら何らかの解決策がありそうです。
これで修理カルテに求められる情報は完了です。帳票を作りやすいよう、表にまとめます。kintoneで修理カルテアプリを作成することを想定してフィールド種類も記載しています。
そもそも現状の修理カルテは現場での手書きなので、入力する項目(フィールド)は少なくなりそうです。それでもまぁまぁ多いです。
作業指示を記載できれば、結果報告の内容はある程度減らすことが出来そうです。
では、これらの情報をどのように取得するのか、そしてどうやって記録として別のデータと接続するのかを考えます。ここからが本番です。(書きながら頭を整理しています)
3.実現するための方法
先に示した必要な情報では、現場修理の前に、基本情報と作業指示の情報を修理カルテアプリにインプットする必要があります。
まず、基本情報は、お客様から問い合わせがあった時点で「どのお客様から」「なんの製品について」「どのようなことが起こったか」などの情報が記録されています。そこからルックアップとルックアップコピーで情報を集めることが出来ます。
また、作業指示については2通りの方法があります。
①事前に見積を提出している場合(受注済み)
この場合は、見積内容について受注しているため、お見積書自体が作業指示です。ですのでお見積書番号を入力することで、見積情報を作業指示欄にインプットできるようにします。
※そのためには、基幹システム(アラジンオフィス)から見積データをkintoneに入れる必要があり、ひと手間必要です。
②事前見積がない場合(緊急対応など)
事前見積がない場合は、作業指示を記入する必要があります。この場合は、修理アプリに「故障原因」や「どのような対応が必要か」という記載があるので、その情報を修理アプリから取得します。
この①と②の分けは、「見積あり」「見積なし」のラジオボタンを作って、どちらか一方の情報を取得し、作業指示に記載することを考えています。(使用しているプラグイン Repotone U proでは、選択によってどのフィールドを表示する、といったことが可能です。確か…)
これで、修理カルテに、修理前に必要な情報を入力することが出来ます。
結果記録欄には、直接入力します。
お客様承認欄には、手書きプラグインを使ってお客様に記入頂いたサインを画像として取り込むことを考えています。
これらを実現するための、修理カルテのフォーマットを考えます。
せっかくなので当社のゆるキャラ、みったとりっかもつけてみました。
フォーマットまで考えてみると、なんとなくできそうな気がしてきました。
ここまで修理カルテのアプリを作っていません。
それでも、なにを作ればいいか、少しクリアになってきました。
次の③は、アプリを実際に作ってみてその結果をご報告したいと思います。
少しお時間かかると思います。
わぁわぁ言うとります。お時間です。さようなら。