そとでなそん
「外に出ないと損するかもよ?」
そんな自分への提案から『そとでなそん』という言葉をよく使うようになった。
言葉の響きも関西弁っぽく面白い感じがして、すぐにこの言葉を気に入った。
高校生になったばかりの頃、思春期も真っ只中で学校の雰囲気になかなか馴染めなかった。
学校での時間は常にイヤホンを耳にさして、机に向かって平伏しては寝る。
休み時間にする事といえば、1人体育館前にあるウォータークーラーで水を飲みに行く。
唯一の友達と言ったら体育館前のウォータークーラーと言っても過言じゃなかった。
そんな過ごし方をしてるもんやから高校での友達なんて全く出来なかった。
高校生活を楽しみたいと思ってる反面、現実はどこにぶつけていいのかもわからんモヤモヤをずっと抱えながら過ごしていた。
思春期真っ只中の高校生活で毎日に閉塞感を感じてた自分へのエールで使っていた言葉。
それが
『そとでなそん』
やった。
高校の帰り道とか、バイト先への行き道、いい空を見つけたらInstagramのストーリーズにその空の写真と一緒に「そとでなそん」という言葉を乗せてよく投稿するようになった。
俺は今日こんなに綺麗な空が見れたで!
今日は外に出ないと損するかもよ?
Instagramで繋がってくれている友達にそんな提案をするのが楽しかった。
空だけじゃなくて、外出した先で思いもよらん人と出逢うかも。とか、バイト先では楽しい事が待ってるかもな。たまたまいいお店に出会えるかもな。
今思えば、当時の自分は高校での生活に全く満足できてなかった分、他の環境とか時間にせめてもの期待をしたかったんやと思う。
今いる環境だけじゃなく、思いもよらんところから何かの偶然で楽しい事が起こればいいな。
そんな期待を偶然毎日違う表情を見せてくれる空と重ねて「そとでなそん」という言葉をよく使うようになっていた。
その日みた空と「そとでなそん」という言葉を投稿し続けていくうちに僕の周りの友達も同じように「そとでなそん」と投稿してくれるようになってきた。
そんな事が楽しくて今でもよくその時みた空の写真と一緒に「そとでなそん」と投稿する。
空を見ると毎日同じに思える日常も実は不確実で1日たりとも同じ日なんてないという事がわかる。
今見てる空は今後二度と見れないという事が本当は毎日が特別だという事を思い出させてくれる。
『そとでなそん』
今でも大好きな言葉です。