困っている、辛い思いをしている誰かのためにSNSを使える子どもに
「子どもたちにSNSの危険性を教えてほしい!」
このような講話の依頼をお願いされることが多い。
それだけSNSが子どもたちの生活に浸透し、学校の中でSNSにまつわるトラブルが絶えないからだ。
私はもちろんこのリクエストに応えるべく授業をするが、決してSNSが危ないという形で終わりにはしない。なぜならば、将来においてSNSは切っても切れない必要な道具だからである。
確かに生きていく上で便利な道具であればあるほど、裏側に危険性がはらんでいる。火があることで暖がとれ、食事を作ることができる。一方で火事の危険性がある。自動車も同様である。
そして、SNSも仲間とのコミュニケーションや様々な情報を取り入れることができる便利さがある一方で、誰かからの誹謗中傷により傷ついたり、逆に自分が相手を陥れてしまったりと。
したがって、大人や先生は子どもが転ばないようにと危険なことを教えがちになる。しかし、SNSにまつわるトラブルは一向に減らない。なぜだろうか?
それは、大人が子どもに効果的な使い方を教えていないからではないだろうか。
若者自身がSNSを効果的に使った事例は少なからずある。
2018年9月に起きた北海道胆振東部地震では数日間停電が続き、日常生活に困る状況に陥った。その際に、高校生が高層マンションに住むお年寄りのために水が入ったポリタンクを運ぶボランティアをTwitterで呼びかけたところ、2日間で30人の高校生が集まり、階段を使って水を運んだそうである。
また、2021年7月に米子松蔭高校野球部の部員がコロナに感染したことを受け不戦敗になってしまったところ、同校の西村主将がTwitterで「試合もできずに、このまま終わってしまうのは、あまりにも辛いです。何とか出場できるように模索していただけませんか?」と呼びかけたところ、多くの人々の共感を呼び、甲子園予選に出場できるようになった。
こんな使い方をすれば喜ぶ人がいる、助かる人がいるということを子どもが気づいていけば、今まで自ら行っていたSNSによる情報発信を見直すきっかけになるし、いざ発信するときにこれでいいかと立ち止まる子どもが増えるであろう。
野球で悪いスイングを教えても、いい打球は飛ばない。正しいスイングを身につけてこそ、ヒットやホームランが生まれるのである。
辛い思いをしている、困っている誰かのためにSNSを効果的に活用する方法を未来を生きるこどもたちと一緒に考えていきたい。
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