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「余命と使命。僕が死ぬまでに彼女にできること」~自殺未遂の深夜~NO2

2025年1月7日 深夜、駐車場にて

僕は自宅の駐車場に停めた車の中にひとりで座っていた。エンジンはかけっぱなし。車内の練炭の暖かさが、どこか現実感を遠ざけるように感じられた。窓の外には夜の闇が広がり、その静けさが胸に重くのしかかってくる。音ひとつない車内で、まるで世界に僕しかいないような感覚に襲われた。

スマートフォンを手に取り、ケツメイシの「こだま」を再生した。スピーカーから流れる歌声が、僕の心を静かに揺らす。その歌詞が、まるで僕自身に向けられた言葉のように響いてくる。メロディーが車内に溶け込む中、僕はただ目を閉じて、それを受け止めるしかなかった。

「これでいいんだ」

心の中で何度も自分に言い聞かせた。この道を選ぶことが、正しいのだと。彼女のことが頭をよぎる。僕がいなくなれば、彼女は自由に未来へ進める。僕が生きていることで、彼女の時間を縛ってしまっている。そう思い込むことでしか、自分を納得させられなかった。

これが僕なりの「最後の愛情」だった。彼女の幸せを願うなら、僕がいなくなるしかない。そう信じたかった。

エンジンの音が淡々と響く車内で、僕は静かに目を閉じた。窓を閉め、準備を整えたその空間の中で、僕は覚悟を決めたつもりだった。静寂の中で聞こえるのは、自分の心音だけ。遠くで小さく響くそれを感じながら、僕はそっと息を吐いた。

意識が薄れていく中で、見えたのは、ネイリストで店長の彼女がエプロンを着たまま笑顔で「よっしゃー仕事おわったー。レジ金合わせて焼肉行こー!!」そんな声聞こえました。

そんな彼女に最後に浮かんだのは、

「こんな僕のことを好きになってくれて、本当にありがとう」

怖くもなく、
悲しくもなく、
むしろ、笑顔の彼女見れてよかった。

温かい気持ちで意識がなくなりました。

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