Fate/Samurai Remnantの感想文①1周目クリア時点

Twitterで呟くには長いゲームの感想や覚書にNoteを使おうと思い、
1本目の投稿としてFate/Samurai Remnantの感想を書いてみる。
Twitterと同様、大きめの独り言に過ぎません。


前提

  • ひとまず1周目をクリアしたところ。分岐は下ルート。
    今後2、3周目をプレイして全ルート完走して、感想が変わったら更新するかも。

  • 真名などの重大なシナリオネタバレは一応避ける。

総括

  • キャラデザなどのビジュアル面がかなり好み

  • ゲームシステムはやや爽快感に欠ける

  • シナリオは起伏が少なく、減点箇所は少ないがここぞの盛り上がりに欠ける

褒めちぎることも酷評することもできる、評価の分かれる作品ではないかと思う。

キャラクターデザイン

  • 渡れい先生の描くキャラクターの見た目がとてもイイ
    コミカライズ版『FGO英霊剣豪七番勝負』が好きな私としては、単純に好み。FGOに参加している方々が原案となっているキャラクターもいて、キャラクターごとに個性が出ている→それを渡先生が描くことで絵柄が統一されており、いいとこどり。

  • 原案の絵師さんや担当声優さんによって、Fate名物の真名当てもヒントが多めで推測しやすい

  • FGO等と比べて露出度を抑えたデザインも好み
    露出が好きな人のための逸れのバーサーカーもいるぞ。

  • 宮本伊織の掌の大きさにフェチズムを感じる

  • イラストから3Dモデルへの落とし込みも良い出来で違和感がない
    立ち絵も3Dも顔が良い。セイバーのカットインでちょっと伏し目がちになる一瞬とか凄く良い。
    クオリティとしては近年の他のコエテクゲー、無双シリーズ等と同等。

マップデザイン

  • 江戸の街並みがしっかり作られていて、見ていて楽しい
    私は別に歴史に詳しくないので時代考証などは分からないけれど、単純に賑やかな街並みや美しい自然など、見所がある。

  • ゲームとしてはやや広すぎて煩雑
    移動に必要以上に時間がかかり、探索が面倒になりがち。施設へのショートカットなども無く不便。

    ⇒「多少広すぎて不便でも、ガッツリ江戸の町を表現する」という作り手の選択なのかな?

ゲームシステム

  • 前提として、無双シリーズのシステムの流用っぽい
    無双シリーズをちゃんとやったことは一回も無いけれど、以前やった『FE無双風花雪月』の体験版とバトルのシステムやプレイ感覚がかなり近い。

  • バトルのテンポが悪い、爽快感が薄い

    • 大量の雑魚敵のせいで敵のモーションが見えづらく、攻撃や回避タイミングを見極めづらくしている

    • 序盤の難易度が高めで、雑魚敵でもノーダメージクリアが結構難しく感じた

    • 大型敵は全てシールドゲージ持ちで、これがなかなか削れずテンポを悪くしている

    • 敵の隙をついた攻撃以外は全て弾かれてしまうのだが、いちいち弾かれ硬直が発生する

    • かといって隙をついた攻撃もそこまで派手にダメージを与えられない、エフェクト的にも手応えが薄い
      (アクションゲームとしてはここが一番問題?敵を攻撃している手応えがそのまま爽快感を生むと思う)

上記の問題点は、ゲームに慣れ、更にガチガチに装備を固めた最終盤にようやく解消してきたと感じた。スキルツリーを伸ばせば弾かれ硬直をなくせるし、装備の効果で削りのテンポもそれなりに良くなった。
なので、シナリオに追われて稼ぎを一切しないと、戦闘は「負けはしないけどダルい」になってしまうバランスだったと思う。しかし……

  • シナリオ途中で稼ぎ行為をすることに抵抗を覚える要素がある

    • シナリオは先を急いでいる状況が多いので、中断してのんびり稼ぎに興じるのは気持ち的に憚られた

    • 工房管理に素材をたくさん使うので、同じく素材を消費する魔術拵の強化にも手を出しづらい

    • どの素材をどこで稼げるかも調べないとよくわからない

    • 店で買える回復アイテムの在庫に限りがある。
      一応自宅で無料回復できるので無限稼ぎは簡単だが、Switch版はロードが長く、傷付いたらいちいち自宅に戻って寝る、というのも結構手間

これらの要因で、稼ぎを挟まないプレイに誘導された。
ちゃんと分かっている今なら、魔術拵の強化に使う「小槌」は貯めておいた方が良いけれど、魔術拵のスキルは適度に入れ替えて使いやすいビルドを時々作る……くらいしていれば、もっと楽になってストレスが減ったかも、と思う。

  • 調整不足のシステム①残光
    型を切り替えて戦うスタイルに誘導するためのシステムとして残光があると思うのだが、効果が小さく、残光を気にせず一つの型に専心したほうが強いと気付いたのは既に終盤だった。
    近いチャンバラゲーとして『ゴーストオブツシマ』は積極的に型を切り替えて戦う楽しさがあったので、型ごとの強みがもっとはっきりと活きるバランスが必要だったのかも。

  • 調整不足のシステム②魔術拵のスキル
    装備がランダム性能でドロップするハクスラ要素だが、やや死にスキル(防御系)が多いか。
    ハクスラの装備集めは好きなので要素があるのは嬉しいが、2周目で強さを引き継いでも、また序盤は弱い装備しか落ちないのも如何なものかと思う。実質ラスボス直前しか堀りタイミングが無い。

良い点として

  • プレイアブルキャラクターが多い
    聖杯戦争という周りが敵だらけになりかねないシチュエーションの割に、主人公組以外にも操作できるキャラクターが多く、既存作品にも登場したキャラクターを動かせるのは楽しい。

ハードのスペック

Switch版は、ハードスペック不足を感じる。
公式サイトにも記載がある通り、Switch版はPS版やSteam版と比べて、解像度とfpsの上限が低めになる。

  • 3Dキャラクターの輪郭がシャギシャギしている
    他のSwitchゲームでもよく見る光景なので、慣れればそこまで気にはならない。

  • カクつきがかなり目立つ
    fpsは上限30(Switch版)だが、カメラを旋回するときはカクつき、30も出ていない事が多い。人混み+広い街並みのせい?カクつきのせいで酔うかも。

  • ロードが長い
    エリア切替のたびに10秒~数十秒くらいに感じる。ロードになったらSwitchを置いて別の事をすることもしばしばあった。

今から買うならSSD搭載のPCかPS5の方が良いと思う。

シナリオ

前提として、私がこのゲームを買う決断に至ったのは、公式サイトのインタビューにて「FE風花雪月のシナリオチームが参加する」と発表されたためだった。
奈須きのこ氏の書く物語とFE風花雪月の共通点は、「人の心がない!」と言わしめる点。つまり、「人の心の動きを読み切ったように、的確にプレイヤーの心を揺さぶる物語」が、私の期待するところだった。
今作はコーエーテクモ側がシナリオを書き、奈須氏およびFGOのサブライターが監修となっている模様。

良い所

  • Fateシリーズの世界観を丁寧に抑えており、シリーズ初心者にもとっつきやすい
    特に初代stay nightのオマージュ的な側面が強く、俗っぽい表現をすると「令和版SN」みたいだなと思った。

  • 既存作品の設定と矛盾しない
    多分。設定に違和感を覚えるシーンは私はほとんどなく、監修が行き届いてるように思えた。

  • 各キャラクターに余白が多く、想像の余地がある
    今後も掘り下げられるフックが散りばめられており、FGOで縁者と絡んだら……といった想像が膨らむ。二次創作での掘り下げも楽しそう。

  • 物語上、プレイヤーのストレス要素が少ない

    1. 人間関係で変にギスギスしない
      ストレス要素の低減。イマドキ重視されがちなポイントで、やっぱり令和(俗な表現)。
      例として、序盤の伊織とセイバーは信頼度が低いが、それでも必要以上に反発したり勝手な行動を取ったりはしない。
      また、敵対者とも事情が変わればスムーズに共闘に移行する。登場人物にしつこく禍根を引っ張る者は少ない。つまりお利口さんが多い。

    2. 絶望的な状況、胸糞悪いエピソードなどのストレス要素や、長々とした修行パートなどの物語上ダレる部分も少ない
      長くやるとストレスになりそうなシーンを短めに切り上げるようにしている気がする。

日々の生活で心がささくれており、ゲームでくらい難しいこと考えずに幸せなお話を読んでいたい、という人に優しい内容ではないだろうか。

悪い点

  • 物語の起伏が小さい
    上記の通り、プレイヤーのストレス要素は小さいのだが、その分プレイヤーの感情を「落としてから上げる」の落差が小さく、喜怒哀楽の怒と哀への訴えかけが弱い
    深く思い悩んだり、大きな苦戦をしたり、人間関係ですれ違うシーンをじっくり描いてこそ、パワーアップしたり、勝利したり、心が通じ合った瞬間の快感が増すのだが、その前フリが弱いので、展開が唐突になっている。
    心をめちゃくちゃにされたいと思ってプレイした自分としてはここが非常に残念。
    私は涙脆いので、感動的な音楽を流して作中キャラがむせび泣けば、私も簡単にもらい泣きするのだが、今作を1周プレイした段階では一度も泣くシーンが無かった。

  • オリジナリティが薄く、Fateの二次創作のような印象
    既存のFateの世界観を壊さない、という点は丁寧に守られている一方、今作ならではのFate世界を深堀するような設定がほぼ出ていない。
    世界観にせよキャラクター造形にせよ、これまでにあったFateの要素を組み合わせて作られた感があり、それが二次創作っぽく感じられた。
    理由として、Fateは既に長いシリーズなので、今更新しい要素を出してもこじつけにくい、とか、あくまで型月ではなく外部ライターによる物語なので、「Fateの世界観をお借りしている」という意識が書き手にあり、遠慮したということもあるかもしれない。
    しかし、"固有結界"とか"悪竜現象"とか"剪定事象"とか、初めて見たときに色々考えさせられるハッタリの効いた設定が新たに登場しないのは、新鮮な驚きに欠けた。

    公式サイトのインタビュー記事を読む限り、ゼネラルプロデューサーのシブサワコウ氏はFateシリーズのファンで、FGOの英霊剣豪七番勝負が好きで自分もFate作りたい、というような動機があったらしい。
    FGOは複数ライターがシナリオを書いている都合上、シナリオのクオリティが玉石混交で、設定がシナリオごとに矛盾してしまうこともある。
    その二の舞にならないよう、Fateの世界観を壊さず、変なオリジナリティを主張しないような方針になったのかもしれない、というあくまで想像。

いつもの無双シリーズ?

(ちゃんと無双シリーズやったことないけど……)

近年のコーエーテクモの無双シリーズは、「無双の基本システムをパッケージ化して、他IPとコラボした外伝作品を比較的ローコストに大量生産する」という方針をとっている……という認識であっているだろうか?

確かにシステムを流用すれば開発をローコストにできるしバグも出にくいし、人気IPとコラボすれば既存ファンを簡単に取り込めるので、商業的に妥当な戦略だと思う。
しかし、パッケージを適用してから個別の調整をしっかり頑張らないとシステム面で目新しい楽しさは生まれないし、人気IPとのコラボは既存ファンに気を遣う部分も多い。

今作は、無双シリーズと同様の手法で作られた(推測)ため、安定感はあるがオリジナリティに欠けるという状態を引き起こしているのではないかと思った。

おわりに

  • キャラクタービジュアルが好みだったり、あまり派手に感情を揺さぶられる作品は疲れる……という人にはオススメ。

  • アクションゲームとしての楽しさ、あるいは心揺さぶる物語を期待する人には物足りないか。

  • が、アップデートやDLCなど、今後変わる部分もあるかもしれない。

  • そもそもシナリオはまだ全ルート終わっていないので、あくまで暫定の感想。

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