君は完璧で究極のアイドル#5 追いかけて問いかけ
得るものとは
直接的でも間接的でも、推し活は楽しい。
推し活が運んでくれる楽しさは、私の予測を遥かに越えてきた。
実際にファンクラブ加入後の自分をふりかえってみる。
外出が増える
なんだか今までの自分がものすごく無趣味な人間のようだが、そんなことはないと思っている。しかし、この半年ほどの生活の変化はちょっと驚くほどだ。
なんだかんだ言って、外出が大幅に増えた。
推し活パートナー(娘)と、雑誌の発売日には書店へ出かける。そしてバックナンバーを探しては書店ハシゴドライブなんかする。
やれクリアポケットのリフィルがなくなったと言っては文具店や無印良品に行く。
パネルやポスターが見たくて、タワレコに行き、初回盤がこっそりと残ってないかなとHMVに立ち寄る。
そんなこんなで、ランチだのお茶だのでカフェに寄る。
普段、行かないところにも行くようになる。
ふっかタンとともに、都内のお店でランチしたり、渋谷のジャニーズショップに出かけては購入した写真を見せ合ったりする。
赤坂へ行ってはTBS近くでポスターを見たり写真撮ったりする。
みっともない自分が嫌になる
推し活パートナー(娘)は若いので、買い物にでかけるならそれなりに小綺麗に服を選んで着てゆく。というより、お洋服だのあれこれ欲しいお年頃である。
そこより年齢は上だが、ふっかタンもオシャレさんだ。ジャニーズオタクのお嬢さん方は、基本オシャレなお嬢さんが多い印象だ。イメージとしては髪を巻いて大人っぽい小花柄のワンピースやスカートを着たかわいい感じ。
推し友のふっかタンはそこまで可愛らしい雰囲気ではないが、いつも洒落た雰囲気のワンピースなどでピアスもメイクもきちんとして待ち合わせに現れる。
私はもうすっかりいい歳なので限度はあるだろうが、一緒に行動するのにあまりにおばさん全開では行けないなとそれなりに身だしなみを整えてゆく。
年齢には抗えないが、だからといって放置はいかん、放置は。
そうなると、スキンケアもメイクも洋服選びもいろいろしたくなる。
久しぶりにネイルカラーを買ったり、新しいアイシャドウやアイライナーを買ったりする。
活気ある日々
そんなこんなしていると、毎日の生活が華やいでゆく。
今までも特段、退屈で凡庸な毎日を送っていたつもりはない。家のこと自分の仕事にあれやこれや。忙しい日々を嵐のように走ってきたと思っている。大変、でも充実した楽しい生活であった。
それなのに、なにか突き抜けたような楽しさがあるのはなぜなのか。
ちょっと話が違うところにいきそうなのでこれはまた今度。
話は日々の活気である。痩せるかもと思えば家事も楽しい。早々に家事が片付けば、録画やら観る時間もできるし。
そんな具合で、すっかり毎日が明るい。あれ、推しがいるってこういうことなの? この感覚は、何かに似ている。なんだっけ、この感じ。
毎日がイキイキして、肌ツヤよくなるようなこの感じ。
そうこれはもしや。
素敵な片想い
片想いだ。しかも、成就しないのわかっているから、楽しいところだけ抽出したやつではないか。
相手のことを考えては楽しい気分になり、身嗜みやスキンケアも楽しくなる。なんというか、やる気が出てくる。
片想いである。
まあ実際、推しとなんとかなるようなことはあり得ないわけで、実るはずもない片想いであることは間違いない。しかも実際にどうにかなりたいと思っているわけでもない。 「リアコ」と言って推しにガチの恋愛感情を持つ方というのもおられるそうだが、私含めそうではないファンという立ち位置で言えば、実際に恋愛対象としての感情ではない相手に対して抱くいわば「疑似片想い」である。
実際の片想いは楽しい事ばかりではない。うまく行かない恋路を憂いてメソメソしたり、コンプレックスを気に病んでこんな私のことなんか好きになってくれないと思い悩んだりする。
しかしその部分がすっぱりない片想いなのだ。こりゃ楽しいに決まっている。ウキウキと相手のことを考えて、ブログや動画やテレビ出演などを見ては、まーカワイイまー面白いまーカッコいいとか騒いで楽しいばかりである。
次のシングルが出る、雑誌の表紙に出る、新しい動画が出たといってはウキウキと喜ぶ。
片想いは切ないと思いきや、成就を目標にしなければけっこう楽しいものである。勝手な話だが、相手と接触しなくても持続可能であり、清く正しく恋心をひっそり抱くだけである。
アイドルを推すことは疑似片想いなのではないか?
推すっていったいなんだろう? 次に続く。