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【富士山の予言】夫の理想のプロポーズに付き合った結果

夫の転職を機に、
ロマンチックムードもサプライズも無く
淡々と決まった私達の結婚ですが、
結婚が決まってしばらくした頃、
夫が突然
「実は俺、いつか誰かにプロポーズするなら
こうしたい。っていう、理想のプロポーズを
決めてたんだよね。」
と言い出しました。


(ムードの無い結婚の経緯はこちら↓)


夫の理想のプロポーズ

それは、2人で富士山に登り
山頂で日の出を見ながらプロポーズ。

以前見た富士山の日の出の美しさが
忘れられず、
そこでプロポーズをするのが夢だったとか。

でも、私、山登り大嫌いなんですよね。

子供の頃、
背が低くてガリガリだった私は
学校の山登り企画ではいつも最後尾で、
ただ辛く、しんどかった思い出しかありません。

そんな私が、
普段のデートでも
全く歩調を合わせてくれない夫と富士山って
正気⁉︎

心の中では、物凄く嫌だったけれど、
夫のことが好きだったし
それが夫の理想のプロポーズなら
叶えてあげたいと思いました。


富士山でプロポーズをされる為に
山登り用の服や靴を買い、
手始めに高尾山などの低い山で練習を重ね、
遂に決行日がやってきたのです。

私達が5合目を出発した時は快晴。

事前練習で体力がついていたので
始めは順調。

ところが、段々道が険しくなり、
急な段差は
両手を使わなければ上がれないし
1人では怖くて降りられない程…。

それでも、夫に助けてもらいながら
なんとか山小屋まで辿り着きました。

富士山では
流石の夫も私に寄り添ってくれていて、
苦しかったけれど
夫と手を繋いでの山登りは
充実した良い思い出です。

順調に見えたプロポーズ登山ですが、
私達が山小屋に着いた頃から
急に雲行きが怪しくなり、
日の出の為に真夜中に再出発する頃には
スキーウェアを着ていても寒く、
雨も降り出していました。

真っ暗で前が見えない山を
雨に濡れて凍えながらひたすら登る…。

私達をはじめ、
連なる人々はみんな無言。

凍える足を無心で前に出し続け、
ようやく山頂に辿り着いても
「やったぁ〜☆」みたいな笑顔は無く、
「寒っ!早く暖まろう!!」と
そそくさと小屋の中に避難し
震えながら日の出の時間を待っていました。


そして、いよいよ日の出の時間。

周囲の登山者もみな諦めモードですが、
とりあえずみんな外に出てみる。

もちろん日の出など見えないし、
吹雪が顔に当たって痛いし寒いし…。

それでも、私は
何ひとつ泣き言も文句も言わず
そこまで頑張って着いて行っていました。

黒い雲以外何も見えない富士山の山頂で
「ごめん、プロポーズどころじゃない。
早く帰りたい…」
と、先に口を開いたのは、
あろうことか、夫の方でした。

ここで
「2人の道はいつも晴れじゃないかもしれない。
こんな風に荒れることもあると思う。
でも、どんなに荒れても、こうして2人で
手を繋いで乗り越えよう。」
とでも言える人なら良かったのにね。

あんなに苦しい思いをして
ようやく山頂に辿り着いたのに、
笑顔を交わすでも無く、
もちろんキスをするでも無く、
「ここまで着いてきてくれてありがとう」
と言うでも無く、
さっさと下山ルートに向かう夫…。

その下山ルートもまた地獄で…。
横には、日の出が見れなくて
テンションどん底の夫。
黒い雲に覆われた
赤い土が広がるだけの風景。

歩いても歩いても
ずっと同じ赤い風景が続くだけで、
ゴールの見えない悪夢に迷い込んだような
気分でした。

地獄の下山ルート(フリー素材より)


それでも、なんとか無事に下山し、
家に帰った私達ですが、
何も食べたくないし、ただ寝たい!
というレベルに疲労困憊していて、
帰宅後は死んだように寝ました。

そして10時間以上寝た翌朝、
少し元気を取り戻した夫から
「富士山ではプロポーズ出来なかったけど、
俺と結婚してくれる?」
といきなり尋ねられ
「はい、よろしくお願いします。」
とお返事しました。

パジャマで。すっぴんで…。


夫にとって、彼のプロポーズ大作戦は
成功だったのでしょうか?


今思えば、富士山は
ちゃんと教えてくれていたんですね。

2人の結婚に日の出は無いこと。
真っ暗で、ゴールが見えないこと。
夫は、晴れていれば機嫌良く
手を繋いでくれるけれど、
理想と現実が違うと先に落ち込み
逃げ出すこと…。


子供達が小さい頃の夫は
いつも子供達と遊んでくれて、
国内旅行も海外旅行も
沢山連れて行ってくれてる、
自慢の夫、自慢の父親でした。

けれど、子供達が成長し
息子が思い通りに育たなかったと
分かった途端に
さっさと家族の手を離し
夫1人で下山してしまいました。

黒雲の広がる真っ暗な山道に
取り残された私と子供達は
何を頼りに歩き続けたら良いのでしょうか?

私達の地獄の下山ルートは
いつまで続くのでしょうか?


〜私達の結婚は
富士登山そのままの結果になりました。
あの時、日の出を見れていたら
私達の未来は違ったのでしょうか〜

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