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アトリエで四季色を繰り返す日々に思うこと

1ヶ月半ほど前のnote(ブログ)で紹介していた土色下地だらけのアトリエ

先月の東京での個展から1ヶ月半が過ぎました。

今年は個展を6回(アートフェアを含む)くらいして大量の新作を描きまくりましたが、来年もたくさん発表予定があるので引き続き描きまくらなければなりません。

弓手スタイルは1作品に1年かかりますので、来年後半に仕上げる作品は今が絶賛下地作り中となります。

まとまった点数を同時進行で描いていますので、定期的に壁紙の模様替えをしたかのようにアトリエ空間が変化していきます。

そして、その色々は季節の順番を意識して重ねていくのが弓手下地の特徴でもあります。

下地3〜4層目くらいの冬色だらけのアトリエ
春色だらけのアトリエ
初夏色だらけのアトリエ
夏色だらけのアトリエ
秋色気配のアトリエ
晩秋色だらけのアトリエ

この1ヶ月半の間に春夏秋冬の順で1年の四季色がアトリエ内に溢れていました。

人間も自然のなかの一つであるからか、心地よいと感じる色って、季節の順番に変化して生まれてくるものである気がします。

それぞれの季節が一つでも抜けたら、または順番が違えば、それは健康的でない色に感じてしまう。

しかし昨今、夏の猛暑のインパクトが強過ぎて春や秋の期間が短く感じる現実世界で、ついこの前まで半袖で過ごしながら冬はちゃんとやって来るのかと不安になっていたものの、今はいつもの寒い季節になりました。

夏生まれの弓手は寒いのがちょっと苦手ですが、やっぱり季節は四季が順当に巡ってくると安心します。

ですが、今から6000年くらい昔の縄文時代中期の縄文海進最盛期には、海面は現在より5m近く上昇して地球の平均気温も3℃くらい高くて、東北地方が今の沖縄くらいに暖かかったそう。その時代は不健康だったかというとそうではなくて、皆んな幸せに暮らしていたと言われる。

そもそも地球自体が誕生して現在までに、北極と南極が何度かひっくり返る磁場の逆転だって起こってきたそうですから、どの時代でも少々の気候変動は当たり前なのかもしれません。

それでもやはり、人にとって程よく心地よいと感じる感覚は、春に土を耕し種をまき、夏に陽を浴びてスクスクと育ち、実りの秋に収穫をして、冬に土に還り次の成長の糧となるという普遍的なサイクルを踏まえていることだと思います。

話が少々大きくなってしまいがちですが、

せかせかしたインスタントでデジタルな時代に、アナログに絵を描くこと自体が時代に逆行しているような気もしますが、絵の世界も御多分に洩れずせかせか時短で描いている人が多いように感じます。

相変わらず、絵を描くことを生業にするのは難しい世の中ですから、それでもやっていくにはいかに自作にオリジナリティとインパクトを持たせて唯一無二な表現をするかが必須です。しかし実際には、いかにインスタントに描くか、絵ンゲル系数(収入に対する絵の具代の占める割合、弓手の造語)をいかに低くするかを意識している作家さんも多いと思います。

いかに自作が唯一無二であれるかというのは、どの時代の作家にとっても普遍的なことでしょう。

それはつまり、その時代に誰もやっていないことをするということ。

ということは、弓手的には時代に逆行することと、当たり前に足元にあるものをイチから見つめることは、意外とあまりやられていないことであるようにも思います。

季節の順番に色を重ねて、大袈裟に言えばキャンバスの中でイチから地球を作っているような感覚になれたら面白い。

地球の1日が24時間で1年が365日であることはしばらくは変わらないと思うので、人間の遺伝子の中に染み込んでいる四季を感じる体内時計もそう簡単には変わらないとも思います。

ただ今のアトリエは一周回って冬色だらけです。たまたまちょうど今の季節色です。

高校生の時に「将来は絵ばかり描いていたい」と夢見ていた生活が出来ているのかもしれませんが、昨今の円安物価高の影響で絵の具代も爆上がりしてくれて、絵ンゲル系数は益々上昇しています・・絵の具の節約は出来ないタイプの絵描きなので・・

とある日のパレットには大量のシルバーホワイト(約660g)とベンガラを練ってます。

今年のとあるアートフェアの時に、顔見知りのとある画廊オーナーさんから

「弓手さんは数少なくなった絵描きらしい絵描きさんやねぇ〜」

って言っていただいたことは素直に嬉しかった。

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