精油ものがたり ~ラベンダー~
アロマセラピーと聞いて、おそらく真っ先に思い浮かべる精油は、ラベンダーではないでしょうか。
この精油が存在しなかったら、現在のアロマセラピーの確立もなかったのではないかと思います。
20世紀初頭、フランスの香料会社の研究所内で、手にひどい火傷を負った化学者のルネ・モーリス・ガットフォッセは、とっさに近くにあったラベンダーの精油を手につけたところ、その炎症はみるみるうちに回復し、火傷痕すら残さなかったと伝えられています。
そのことをきっかけに、精油の薬効性について研究を始めたガットフォッセは、のちに科学論文で「アロマテラピー」を発表。
アロマテラピー(アロマセラピー)という言葉が初めて世に出たのです。
現在、薬草として栽培されているラベンダーはいくつか種類がありますが、ここでは代表格のコモンラベンダー(真正ラベンダー)について記していこうと思います。
この青紫の可憐な花を咲かせるハーブから抽出される精油は、様々な場面で利用されており、その効能も鎮痛作用、抗うつ作用、殺菌消毒作用、血圧降下作用、鎮静作用、瘢痕形成作用および駆虫作用など多岐にわたりますが、最も優れた特性は、心と身体の双方にバランスを取り戻してくれることにあります。
心に棘が刺さったような日々の緊張感からくる心の不調和や、それに伴う自律神経の乱れ、また外的要因からくる身体的不調のバランスを失った状態から、バランスを整った状態に回復させる力をサポートしてくれる精油です。
また、身体的なエネルギーバランスをとる効果は、チャクラにも関連してみられ、上位のチャクラと下位のチャクラの調和をとります。
バランスをとるもう一つの働きとしては、私たちのスピリチュアリティ(霊性)を統合するための優れたサポートにもなることです。
ラベンダーを部屋や家で焚いたり、拡散させることで、ネガティブなエネルギーを浄化することに役立ちます。
ラベンダーという名前の由来は、ラテン語のラワーレ(洗う)という言葉から由来したものです。キリスト教の伝説では、聖母マリアが聖家族の洗った着衣をラベンダーの茂みに広げて乾かしたといわれており、そのために花は青色に染まり、天使の香りを与えられたと伝えられています。
ラベンダーの精油に含まれる数ある香り成分のなかに、わずかに吉草酸という成分が含まれています。
実はこの吉草酸、履きまわした靴下が放つ臭いと同じ成分。
ですが、この不快な臭いを放つ成分すら、香りのハーモニーを奏でるオーケストラの一員。
これは、まさに自然が生み出した神秘ではないかと思うのです。
真正ラベンダー
学名:Lavandula officinalis [L.angustifolia,L.vera]
科目:シソ科
抽出部位:花穂 [水蒸気蒸留法]
トップノート
効能:文中参照
使用注意事項:低血圧症の人への使用は慎重に行う必要がある
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