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晩秋の朝

みなさま、はじめまして。
つるおかと申します。
どうぞお見知り置きをお願いいたします。

 気づいたら、近くのポプラ並木の葉が全て落ちていた。まもなく雪が降る合図だ。ほんの3日前はまばらに葉があったのに、一夜の雨ですっかり丸裸になってしまった。黄色、赤、茶色さまざまな色の落ち葉が道路の隅に細長く溜まっていた。晩秋。一番好きな季節。

 7時から開いている近所のパン屋へ行く。車で5分ほどの距離。化粧もせず眼鏡にジャージ姿だがノースフェイスのちょっといいダウンを着れば何とか平気。
 
ドアを開けると暖かい空気と焼き立てパンの香り。
お客は4組ぐらい。みんな早起きだ。
お目当てはドアの左側の突き当たりに置いてあるピロシキ。
揚げたてのカリカリのきつね色の生地の中に塩胡椒が効いた挽肉と、とろりとした玉ねぎがたっぷり入っている。このお店の売りで、売り切れている時も多いが今朝はラッキーなことに数個残っている。
2個トレーに取り、他のパンも見てみる。
サクサクのクロワッサン、栗といちじく入りのバケット、チキンとトマトのサンドイッチなど、たくさんの焼き立てのパン。見るだけで美味しさが伝わってくる。
その中でチーズとベーコンのエピ、ブリオッシュを選びレジで会計。
若い女性の店員さんがパンを一つ一つ手際よく白い紙の袋に入れる。家に着けばすぐに食べるのだから申し訳ないような。お金を渡し、スタンプカードにハンコを押してもらう。ハンコがいっぱいになると特製のエコバッグがもらえるのだそうだ。
「ありがとうございました」
いやいやこちらこそありがとうございます。

 パン屋を後に車に乗り込み帰途につく。
車の中はエアコンで暖かく、パンの香りで満たされ、そして外の空は青い。
流れる音楽はブラームスのピアノ。
家に着いたら熱いコーヒーを淹れよう。



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