体重98kgの直立明太子が、ダイエットで48kgまで痩せた 3
ダイエット生活2年目はプール運動をメインに頑張った。1年目と同じような食生活を続けながら、1日おきにプール付きジムに通って水中ステップウォーキングと、一定方向に流れる水流に逆らって歩くウォーキングをやった。水中なら水の浮力で脂肪の重さが軽減されて下半身の関節に負担がかかりにくくなり、足首やヒザ、腰を楽に動かすことができる。おまけに水中では、水に浸かっている部分が全方位から常に水圧がかかり続けるので、自動的に揉みだしマッサージを受けているのと同じ状態になる。そのおかげで、太って増えた皮膚細胞が水圧マッサージで老廃物と一緒にどんどん排出されていくという嬉しい好循環につながった。
太った人がダイエットで痩せたあと、その人の太っていた部分の皮膚がダルンダルンにたるんでいるのを見たことがあるだろうか?
これは太ったときに、身体が膨れ上がった脂肪を包み込むためにたくさん皮膚細胞を作り出して、皮膚を伸ばそう伸ばそうと働くのだ。しかし急激に痩せてしまうと、包むべき脂肪がなくなった皮膚細胞は排出が間に合わずに身体に取り残されてしまう。そして増えすぎた皮膚細胞は自力での排出がむずかしいため、除去したい人は外科手術でたるんだ皮膚のみを切り取る手法が多く使われるそうだ。
ダイエットプログラム2年目は身体がダイエットに慣れてきて脂肪が落ちにくくなる時期があり、その期間中はどんなに頑張っても今までと同じようなペースで落ちていかなくなる。数値という目に見える結果が出にくい状態になり、この時期はなんども挫折しかけたけどパートのおばちゃん達の励ましを支えにしてなんとか乗り切った。体重も多少の増減があったけど、脂肪だけで12kg落ちた。
3年目から普通の運動にGOサインが出たので、下半身に負担の少ない水泳とスロージョギングを続けた。減量生活を続けていくなかで、落としているのは単純に脂肪だけではないことも学んだ。身体の様々な部分に溜めこんだ老廃物と水分、大腸のなかに居座っていた宿便など、脂肪以外の総量だけで20kgちかくあったようだ。それらを丸3年かけて汗、垢、皮脂、排泄物として少しずつ少しずつ出していった結果、最後の半年の体重は48kg~50kgあたりに落ち着いた。そして担当医師から3年間のダイエットプログラム卒業を認められた。
①目標体重50kgを達成し、BMI数値が正常範囲内に収まって安定した。
②食べたものが自分の身体と健康にどういう影響を及ぼすかを、実際に経験
した上できちんと理解した。
③自分の意志で正しい食べ物を選び、自力で健全な食生活を送れるように
なったこと。
この3項目を達成したことでダイエットプログラムを卒業しても大丈夫と判断されたのだ。
医師が言うにはダイエットプログラムに参加した人の9割が、1年目の目標を達成した時点でやめていくそうだ。1年目は腸内をきれいに掃除することに重点を置いたプログラムなので、腸内がきれいになると体内循環が劇的に改善されて体重がスルスルと落ち始める。そこで満足して終了にする人が圧倒的に多いそうだ。しかしなかには体重が落ち始めたことに油断して、ドカ食いに走って元の体重を上回るほどリバウンドをしてしまい、精神を病んでリタイヤしていく人もいるという。
この病院はジムのパーソナルトレーナーのようにお金をもらって指導しているわけではないので、リタイヤしたい人を強く引き止めたり、目標数値を達成させる強制力はない。生命に危険がおよぶほど太っているなら入院措置をとるが、あくまで医療ダイエットプログラムなので本人の意志が最優先となる。痩せたいなら手伝うし、やめたいならそれも引き止めない。やるかやらないかは本人が決める事なので、やる気がない人には担当医師から
「結果が出ないままズルズルと続けるのは、医療設備と手間と時間のムダです。今ここで継続するか、リタイヤするかを選択してください。」
と、決断させるという。
ダイエットを決心させてくれたおばちゃん達にプログラム卒業を伝えたら、みんな大喜びしてくれた。なぜならプログラムを始めたときほとんどの人が、おそらく途中で挫折するだろうと思っていたからだ。実際に2年目の停滞期に何度もやめたいと泣き言を言ったわたしに対しておばちゃん達は
「ほーれ、みたことか! やっぱりあんたはデブのまんまだ! そのまま100g10円あつかいされて、1人きりでみじめに生きていきなさいよぉ。
あーあ、情けない情けない。」
と、キツい言葉をかけて励ましてくれた。
そしてプログラム測定で体重や脂肪の数値が減るたびに、おおげさなほど誉めてくれて
「あんたはやればできる! 頑固で一途な性格だし、根性と『食欲』だけは人一倍あるから大丈夫! がんばれ!」
と、誉めているのか笑わせてくれているのか、一緒に泣いたり笑ったりした。そういった3年間の経緯があったからこそ、健康的な体重になったことを誰よりも喜んでくれたのだ。職場のおばちゃん達に感謝しきりです。
私の人生を変えてくれたおばちゃん達、本当にありがとうございました。
おわり
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