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実証実験で分かる救急搬送におけるマイナンバーカード情報活用の概要と改善点


現在の救急活動では、傷病者の情報は主に口頭で聞き取ることが一般的です。しかし、傷病者本人やその家族など関係者が病歴や受診した医療機関の名前を覚えていないこともある。また、情報源となる診察券やお薬手帳などが複数存在し、それぞれの検索に時間がかかる場合もある。
 そこで総務省消防庁は、健康保険証と一体化したマイナンバーカードを救急隊が現場で読み取り、通院歴などの情報を閲覧できるオンライン資格確認を導入する方針を固めた。
 救急現場で傷病者が保有するマイナンバーカードを活用して、救急業務に資する情報を正確かつ早期に把握することができれば、より迅速・円滑な救急活動が期待できる。

総務省消防庁は、来年度、全国のおよそ50の消防本部で実証事業を行うことにしていて必要な費用3億7000万円を、今年度の補正予算案に盛り込んだ。





実証実験

実証実験は熊本市消防局・姫路市消防局・前橋市消防局・都城市消防局・彦根市消防本部・加賀市消防本部などが実施した。

本事業のイメージ


実証実験の結果報告

<傷病者の負担であると感じたこと>

●めまいや嘔気などという症状がある中で、傷病者本人に同意を得たり、署名を求めるのは酷だと感じた。
●現状のシステムでは、情報の閲覧までに操作の過程が多いため、時間を要し、早期に搬送すべきだと感じた。

<傷病者(もしくはその家族等)からの意見>

➣家族も把握しておらず、説明できなかった受診歴を確認してもらえて助かった。
➣口頭による説明ではうまく伝わるか不安であったが、直接救急隊員に見てもらえて安心した。

考察

現状の情報閲覧までの操作プロセスでは、厳格な同意手続きを要するなど、救急現場という特殊な環境を踏まえた運用方法には一定の課題があるものの、傷病者(もしくはその家族等)からの肯定的意見を踏まえると、今後、情報閲覧までの操作プロセスの改善や運用方法等を検証し、傷病者の負担軽減につながるよう、引き続き検討を進める必要がある



意識のない傷病者への対応についてのアンケート

課題点

機器の習熟が不十分な初期の段階では、現場滞在時間が長くなっていた。マイナンバーカード活用の有無により、現場滞在時間に差が生じないよう、操作の簡素化を図る等、対応を工夫する必要がある。 姫路市

  • データ閲覧の同意に至る前提条件として、カード所持及び健康保険証登録があるが、市内においても地域性が大きいことが伺えた。 姫路市

  • 導入当初は、オンライン資格確認等システムへアクセスする操作等の習熟度が低かったので、件数を重ねるごとに機器の操作等に慣れ、習熟度が増すことがわか

奏功事例
本人の訴えが傷病により曖昧であり、通院中の病院・服薬の情報が明確でなかった。マイナンバーカードの情報から、痙攣を起こす疾患及びかかりつけ医が判明し、医療機関との情報共有ができ、収容依頼をスムーズに行うことができた。


救急車内のマイナンバーカードの活用の流れ

救急隊現場到着・傷病者接触

救急隊長による実施可否の判断

マイナンバーカードの有無


保険証登録の有無(マイナ保険証)

本人確認


顔認証ICカードリーダは同意ボタン、凡用カードリーダは目視による確認後同意書に署名


オンライン資格確認にアクセスし情報確認 救急救命士が搬送先医療機関の選定に資する情報を確認

※傷病者本人に意識障害があり、所持を確認できない場合などやマイナンバーカードやマイナ保険証の登録がない場合は
通常どおりの方法で搬送先医療機関を選定する


私見

 救急車内に置けるオンライン資格確認が全国各地に導入される際、導入初期はオンライン資格確認システムの操作に不慣れなため所要時間が長くなることがあると思う。
ただ回数を重ねれば熟練度が上がり効率よく救助活動できると思うので、そこに期待します。


備考

マイナンバーカード保有者数 9100万人 
人口に対する割合72% 2023年11月1日現在
マイナ保険証登録者数 7100万人
人口に対する割合55% 2023年11月1日現在


引用資料

NHK記事


マイナンバーカードを活用した救急業務の迅速化・円滑化に向けた検討 総務省  PDF

救急業務におけるマイナンバーカードの活用 想定スケジュールなど 8ページ

マイナンバーカードを活用した救急業務の迅速化・円滑化に向けた検討 24ページ

救急業務におけるマイナンバーカードの結果報告・アンケート・課題点など 21ページ



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