僕はもうマリトッツォを食べれない
気が付いたら、周りが一切マリトッツォの話題を口に出さなくなっていた。
いつか食べよう。いつか食べよう。そう考え続けた末、ブームはとっくに過ぎていた。
所謂時代に取り残された。そういった次第だ。その事にも最近気が付いた。
食べようとは、食べたいとは思っていた、何しろ甘いものはかなり好きでパフェやらも全然食べれてしまう。
しかし田舎に住んでいるというのもあってか、近くでマリトッツォを売っている店もなく、マリトッツォにありつくまでの道筋をわざわざ辿るという事をするくらい食べたい訳ではなく、ずっと億劫だった。
さらにいえば、もしマリトッツォを買って食べた時に当時感じるであろう、「今私はインターネットでとても有名な物を食べて流行に乗っています感」をそれとなく醸し出すのも嫌すぎる。食べたいからとか好きだからとか、そういう意図ではない理由で食べてしまっているような気がしてしまう。
しかし僕は本当にマリトッツォを食べたいのか?と聞かれたらどうとも言えなくなってしまう。正直言うと、未だマリトッツォの事を中央をかっさばいて食べずらくしたクリームパンのように感じてしまっている節もある。違いが不明すぎるというのも、僕をマリトッツォを食べるまでの道から離していたような気がする。
そんな事があり、僕はマリトッツォを食べることの無く空前のマリトッツォブームに乗り遅れてしまっていた。本当に、興味が無かったわけではない、料理動画でマリトッツォを作る様はこれでもかと見てきたつもりではある。
あと今でも売っている所立ってあるというのも知っている、しかし、しかしだな、ブームの波はもう既に遥か彼方に過ぎ去っているというのに今更食べようとしている、そんな様は滑稽極まりない。
会計の店員も、絶対ブーム乗り遅れ人として僕の事を見てくる。ポイントカードの有無を問いてくる。売れ残りが減ることを喜ぶ。
ここでこのようなことを言ってしまったのも、僕はもうマリトッツォが食べられない。ということを確定付ける為です。そういえば地球グミとかいうのもありましたね。