
僕たちはもっと自由になれる。
1ヵ月ぶりに19歳と
ほぼ1ヵ月ぶりに19歳と会う。
この酷暑の中、週末はしっかり休みたかったしこちらにも事情があったので誘いはあったが、忙しいと嘘をついて会ってなかった。
月曜日に会う約束をして約束の土曜日。
19歳は時間になってもやって来ない。
わざわざ普段とは違う場所に迎えに来させといてである。
ありえねーと思いながらも待った。
さすがに20分近く過ぎたのでLINEをしてみる。
寝てましたー今からでも大丈夫ですか?と彼。
大丈夫じゃねーと思いながらもいいよと僕。
19歳にその場でブチ切れる40歳ではない。そう返すしかなかろう。
待ち合わせ場所のコンビニからスーパーに行き少し時間をつぶし
またコンビニの駐車場に戻った。
まもなく彼がやってきた。
一応申し訳なさそうにしているが若者の謝意はあまり伝わってこない。
昨日バイト終わりに友達と飲んでこのコンビニの近くのその友達の家に泊まったらしい。
それで普段とは違う場所まで迎えに来させたのか。
それで遅刻って、、ないわー。
こいつホントにと思いながらいつも通りに車内で話をする。
こっちが話を振らなきゃたいして話もしない。それもいつも通り。
もう少し気をつかえんかのう。
年配者には敬意を払うべきだ。これだから最近の若者は。
ぶつくさ思いながらまた別府のホテルに向かう。
もはやオリンピックすら
19歳から近況を話してくれるとおじさんも話しやすいのだが、そういうサービス精神はない子なのでおじさんの質問攻めタイムに突入せざるを得ない。
バイトは変わらずやっているようで部活の仲間と海に行ったり彼は夏休みをエンジョイしているようだった。
楽しそうだなーそういう仲間がいればこういう田舎にいてもそれなりに楽しいんだろうなと思いながら彼の話を聞いていた。
前に話していた免許合宿はまだ行ってないそうでまだまだ大学生の夏休みは1ヵ月以上あると聞いて正直うらやましかった。
若さと時間、僕の場合は一人で浪費してしまったけれど、それがあればなんとかなると思った。
オリンピックがちょうど終わったタイミングだったので彼に見てた?と聞いてみた。
全然と彼。えっ?と驚く僕。
だって彼のやっている競技はすごく金メダルを取ったのに。
僕もオリンピックは全然見ていなかったが大人のたしなみとしてそれぐらいの基礎情報は入れている。
あれ?オリンピック目指してガツガツやってるんじゃなかったの?
おじさんの認識はそんなもんだった。
どうやら彼は高校からそのコンタクトスポーツをやっているらしく大学できっぱり辞めるつもりらしい。
それでも全く見ないって随分さっぱりしたもんなんだなぁと思ってなぜかこちらが急にさみしくなった。
競技をやっている若者ですらそのレベルなのだからその他の若者のオリンピックの認識なんて皆無なのだろう。
もはやオリンピックすら共通の話題にはなりえないのだ。
僕たちはもっと自由になれる
ドライな19歳と楽しい車内トークをすることなく別府のホテルに着く。
別府でもなるべく人の少なそうなラブホを選んでいると毎回同じホテルになる。
大分と別府はセットみたいなものなので地元の人間に見られないとは限らない。
駐車場からできるだけの警戒をしてさっさと二人でエレベーターに向かう。
ちょうど反対側のエレベーターの客と鉢合わせしそうになり二人で慌てて陰に隠れる。
こんな田舎で男二人堂々とホテルに入る神経はまだ持ち合わせていない。
エレベーターを上り部屋に入る。
この前来た時とは1階だけ高い部屋で高台のラブホからは国東半島から佐賀関半島まで綺麗に見渡せた。
綺麗に晴れていたのでこの日は四国もうっすら見えるほどだった。
シャワーを浴びてさっそく行為へ。
最近妙に入れたい欲が高まっている40歳は彼の中に指を入れてみた。
それだけですごく痛がるし無理にやってもしょうがないので仕方なくあきらめた。
まぁな、出し入れだけがセックスじゃないし!となんとか自分を納得させ19歳と触れ合う。
出し入れしないならどうしてほしい?と19歳にお伺いを立てると19歳は素股してほしいですと言う。
男の素股とは??と思いながらもこうするのね?と要望をかなえようと頑張った。
そういえば前もそんなことを言っていたけれど男の素股なんてどうするんだって笑えてしまってスルーしていた。
でも、今回は彼の太い太ももの間に僕の太いアレを入れて腰を振ってあげた。
ローションをたっぷり塗っていたので思ったよりは気持ちよかった。
でも、微妙に尿意が勝ち僕はいけなかった。
何よりよくわからないプレイをさせられている自分がおかしかった。
けれど、彼は興奮してくれているようで強く抱きしめながら腰を振ってあげるとそのままいってしまった。
おじさんのお腹がこすれて気持ちよかったのかなと少し不思議な気分で彼を見つめた。
彼はそれなりに満足そうだったのでこれはこれでよかったのかと思った。
出し入れに囚われていた僕はある意味の開放をされたのかもしれなかった。
でも、僕が本当に求めていたのはこんなメス野郎じゃなかった。
ガツガツの体育会系のオスを求めていた僕の気持ちを彼と数回やってやっと確かめることができた。
腰を振らない人生だった
彼の上で腰を振りながらあぁー男に生まれたのにこうやって腰を振らない人生だったなと考えていた。
10年近く前、ブスな偽装彼女と出し入れを頑張ってみた過去を思い出した。
彼女は喘いでくれたが僕は全然いけなかった。
あの時のベッドの体験が僕の中ではずっとしこりのように残っている。
ある種の心因性のEDのような感じでかなりの無理をしてしまった。
一応自分なりに頑張ってみたけれど、ノンケにもバイにもなれなかった。
そして、発展場でずっと寝待ちするようなただの受動体になってしまった。
男の上で腰を振る機会も何度かあったがなんかそれも違う気がしていた。
健康的に腰を振っていれば健康的なノンケのようになれたのだろうな。
お腹も引き締まってお尻もかっこよくなれたのだろうな。
バカはバカなりにいろいろやってみて消極的にせよ自分で腰を振らない人生を選んできたのだと思った。
普段しない動きで無心に腰を振りながらそんなことを考えていた。
消えた3万円
彼が気持ちよくいってくれたので僕はいつも通りいけなくてもいいやというマインドになった。
彼もこちらを気持ちよくしてあげようというサービス精神は皆無なので何も言わなければそのまま終わる。
毎回行為が終わってベッドで小一時間二人で眠る。
というか、彼がいつも寝たがるので時間が長くなるとその分高くなるんだよ!ラブホってのは!!と思いながらも口には出さずにまったり過ごす。
こうやって過ごす時間が意外に良くて他人が気持ちよく眠っているのを見るのは結構いいものだなと気づかされた。
横になった19歳の体をたまにさするように触りながら僕も眠ったりもする。
晴れた日の高台のラブホの空気は気持ちよく感じられた。
しっかり休んでシャワーを浴びた後、退出しようとチェックアウトの端末に向かう。
あれ?財布に入れた3万がない。いくらさがしてもさっきコンビニで下した3万円がない。
彼を待つ間、ラブホの清算ができるようにわざわざ普段より多めにコンビニATMでおろしていたのに。
いつもカバンの変なところに隠してわからなくなるのでちゃんと財布にも入れたはずなのに。
何度も何度も千円札とレシートの間を探ぐってみたがないものはない。
うわー。どうしよう。必死で頭を回転させる。
そういえば車のダッシュボードの中に予備でおろしていた1000円札が10枚ぐらいあったような。あれで行くか。
あれでも新札だったような。。。まぁしょうがない。
とりあえず退室して車に行ってみるしかない。3万円がどこかにある可能性も捨てきれないし。
クソめんどくせぇなぁと思いながらも仕方ないのでフロントに電話する。
フロントのおばさんが出て車に戻りたい旨を伝えるとお相手の女性に代わっていただけないですか?と。
もう一人も男性なんですけどと僕。
電話越しでもわかりやすく絶句してドン引きしているおばさんに彼と電話を替わってもらう。
車に戻るには部屋に残る1人と電話をつなぎっぱなしでいなきゃならないららしい。
もうーほんとにー。急いで車に戻り車内を捜索。
案の定、予備の千円札10枚は新札の北里柴三郎でこれあの古い精算機絶対無理だなと思いまず絶望。そして、探しても探してもあるわけなくてまたこれまた絶望。
ずっとここで探しててもしょうがないので部屋に戻る。
部屋の前で彼にLINEしてロック解除してもらうようフロントのおばさんに伝えてもらう。
少ししてロック解除され部屋に戻れた。
彼にも待たせて悪いな、電話させて悪いなと思いながら精算機へ。
備え付けの古い精算機。これまた案の定、新札は使えない。どうしよう。
財布を必死で探す。うーん、詰んだか。。。
そうだ、クレカで払おう。汚い折り畳み財布の奥にクレカがあった。
助かったー。
全身が弛緩していくのが分かった。
そして、一気に疲れが出てぐったりした。
JCB様様だわ。ホントに。
なんとか清算できて無事退出することができた。
彼にも何度もごめんねと謝りながら車に戻った。
あれから数週間。3万円はいまだに行方不明のままだ。
コンビニの駐車場で確かにおろしたばかり3万円を財布に入れた記憶はある。
あれは確かだと思う、たぶんだけど。
財布はラブホのガラステーブルに置きっぱなしだったけど、彼が取るとは考えられないしなぁ。今回はシャワーも浴びずに彼と触れ合ったからなぁ。
そんな時間もなかったはずだし。何よりそんな手癖の悪い子にはとても思えないし。
僕の記憶がバグっていてただやらかしているだけなのかもしれない。
けれど、事実だけ見ると確かに3万円は消えていて。
行為後の僕のシャワーの時間に取れないこともないけど彼もしっかり寝ていたしな。
頭の中で彼を疑う気持ちが強くなっていく自分が嫌だった。
だからそういうことはもう考えないようにした。
それは彼のためではなく自分のために。
プレイやトーク、そしてマネーのことも重なりな
んとなく彼とはもう会わないなと感じた。