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I MISS YOU DEAR。


英語が堪能なネパール人

ネパール人の彼とLINEをしている。
日本語の会話がスムーズな彼だが、やはり書き言葉は難しいようでカタコト感のあるLINEになりがちでそれも愛おしい。
日本語への変換は疲れるのだろう。
短文なら英語のほうが楽らしく英語でもメッセージを送ってくる。
短文なら日本のおじさんだって読めるし意味も分かるのでまぁなんとかやり取りはできている。
彼と出会って初めてネパール人は英語が流暢なことを知った。
ネパールでは母国語の次ぐらいに公用語として一般的らしくどうやらかなりのレベルで英語のコミュニケーションができるらしい。
彼と話している感じでは少なくとも日本人以上の英語力はあるし欧米の人たちとのコミュニケーションも問題なくできるレベルだろう。
そう書いている自分が全くできなくてちょっと悔しい。
ネパールの言葉はわからなくても英語だけでももう少し勉強しておけばよかったなぁ。
英語は好きでテストの点数はいっつもよかったけどなぁ。
やっぱりコミュニケーションスキルはゼロだからちょっと厳しいか。

I MISS YOU DEAR

彼が唐突にI miss you dearとメッセージを送ってきた。
なんかその時、天使の矢が胸に刺さるようなグッとくる感覚があった。
I miss you dearとさらっと言える彼が素敵だし英語ってシンプルでいいなと思った。
シンプルなものに憧れはするけれど実際僕が口から放つ言葉はゴテゴテいらないものがたくさんついている。
伝えたいことは大切に思っているということだけだとしても気恥ずかしさを隠そうとしたりして言葉の輪郭がぼやけてしまう。
曖昧にしようとすればいくらでもできる言語だからこそ僕の輪郭も曖昧になってしまっているのかもしれなかった。
なんと返しただろう。I miss you tooとかでよかったのかな。
なんだかこちらも伝えたくなってi miss your smileと送った。
自分の気持ちを伝えることは本当に難しい。
けれど、考え込まずに彼のようにシンプルに思っていることを言っていいんだなと思った。それが伝えるという作業なのだと。

深夜のLINE電話

仕事から帰ってきて座椅子でぐったりしているおじさんの元へ深夜に彼からLINE電話がかかってきた。
少しメッセージのやり取りをした後、唐突に。
僕は家族LINEすらボイコットしているような人間なので基本的にはLINE自体してしない。今は会社と19歳とネパール人しか友達はいない。
もちろんLINE電話なんてしたこともなかった。LINEが普及したのは大人になってからだと思うし。まぁ学生時代に普及していたとしても友達がいなかったからしてないと思うけども。
彼の顔を画面越しに見る。深夜バイトの現場にいるちょっと疲れた彼の顔が映った。
うーん、やっぱり整ってる。改めて見てもいい顔してると思った。
でも、左上に表示されている白くむくんだブスなおじさんの顔を見て一瞬でいやーな気持ちになった。うわーこのワイプ消したい。
同じ画面で若い彼の顔と老けたおじさんの顔がしっかりと並んで対比されているようで正直つらかった。
でもでも、彼は僕のそんな僕の顔でも見て話をするのがうれしいように見えた。だから電話に出てよかったと思った。
深夜のLINE電話なんて若者がするようなことをしてみて思ったのは、結構楽しいなってこと。
顔見てちょっと照れながら話をしてこれまで皆無と言っていい僕の青春を取り戻されていくような感覚があった。
ベッドで布団にくるまりながら電話したりもした。
こうやって遠くにいながらより近い距離でお互いの存在を確かめる時間がすごく尊く感じられた。
いつでも会えないからこそ本当に求めて会えている。
彼が僕を求めてくれているから僕も求めるのではなく僕はいま彼という存在を求めている。それも確かめられた。
定期的な深夜のLINE電話がいま僕のライフラインになっている。


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