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タイムカプセルをもう一度。9

僕は公園に向かった。

公園には、

誰もいなかった。

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〇〇:あれ……あの電話、誰だったんだろ…

周りには誰の姿も見えない。

僕はタイムカプセルを掘り出して、

あの日の、麻衣さんの言葉を

思い出そうとしていた。

思い出したら辛いってわかるけど。

〇〇:やべ、シャベル忘れた、

家にシャベルなんて持ってない。
手で掘るしか無かった。

〇〇:はぁ...

爪に砂が入り込む。
何回も砂をかきわけるうちに指が痛くなる。

数分に1回車が通るうちに心が苦しくなっていく。

気がつくと、30分が経っていた

全然掘れていなかった。



たぶん4時間ほどかかった。

浅い位置に埋めたはずなのに、


埋めた位置よりもさらに深くにあった

〇〇:あ!あった!!

人の目を気にしながらタイムカプセルを取り出す。

ガン

〇〇:やっと……取れた…

そして、10分ほど悩んで、

やっぱり


タイムカプセルを開けた。


中身は

手紙

手紙

しわくちゃになって枯れた1輪の花



そして手紙。


〇〇:あっれ、おかしいな手紙って2つじゃなかったっけ

いや絶対にふたつだった。

僕は手紙を見ることにした。

入れた記憶のない手紙を手に取った。


女の子がよくしているような手紙の折り方だった。


ゆっくりと開ける。


ゆっくりと。


〇〇へ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

綺麗な字だった。
でも、ちょっと、線が震えていた。

勝手に開けてごめんね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

後、「麻衣さんへ」って書いてた手紙も勝手に読んじゃった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

僕はヒヤリとした。
嫌な汗が流れてくる。
心臓は叫んで叫んで鳴り止まない。


えっと、とりあえず、ありがとう。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

すんごい嬉しかったんだよ?笑
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

でもね知っている通り、私は病院から動けません笑。本当はいっぱいたくさん遊びたいんだけどね
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

いつも、一緒にいてくれて、ありがとう。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

私、もうダメな気がするんだ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

それと、〇〇のことが 好 き  じゃない。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


ごめんね。ありがと。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

麻衣より
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄




ごめんねと好きじゃないの文字は涙で滲んだあとがあった。



僕は気づくと号泣していた。

〇〇:あぁ……麻衣さん……ぁ麻衣さん………ぅ………

泣き声はいつしか嗚咽が混じっている。

手紙の"〇〇へ"の裏を見ると

大好きって書かれてた。

稲妻のように記憶に衝撃を感じる

思い出したのは前日の君の笑顔と


弱りきった声で言った、


『だいすき』

だった。


〇〇:ずるいよ.....こんな....ん............

もう無理だって思った。
胸が苦しい。

息が出来なくなる。

前が見えない。

コツコツとヒールの音が早くなってくる。


ギュッ

抱きつかれた。


美月ちゃんだった。

〇〇:ああぁ……も…無理だ…よ……


美月:私 で い い じ ゃ ん!!!!…

美月ちゃんは泣き叫んでそう言った。


美月:私は居なくならない…からあ……

声が小さくなった。

僕の胸に顔を埋める。

僕はまだ泣いてた。

〇〇:美月………ちゃん……つ...らい……

美月:私が支えるからぁ…

強く抱きしめられた。

だから僕も抱き締め返した。


夜の公園で2人。


抱きしめ合ってた。


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