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自分中心的な姉と健気な妹
今日、9月20日は妹の誕生日。
良いことも悪いことも、妹との思い出はいくつもある。
☆☆☆
中学3年の夏。
私は、フェンシングの大会中に、右足の靱帯を切る怪我をしてしまった。
高校受験前の大切な時期に、完治するまで足を固定され、松葉杖の生活を余技なくされた。
家から少し離れた塾の夏期講習に参加予定だった私は、怪我がなければ自転車で通う予定だった。
しかし、片足に体重をかけることができないため、自分で行くのは難しくなった。
父は朝早くから仕事。
母は、車の運転ができない。
自分のことしか考えていない私は、何の疑問も持たずに、妹の自転車の後ろに乗って、夏期講習に通っていた。
朝は塾まで送ってもらい、昼頃になると迎えに来てもらっていた。
ある時、自転車に二人乗りで、パトカーに止められた。
お巡りさんは、松葉杖と固定された私の足を見て、うなずくだけで見逃してくれた。
その時、妹は「怪我をした姉を送る、やさしい妹と思って、見逃してくれたんだ」と、つぶやいていた。
当時を振り返ると、妹はバスケ部だったので、夏休み中も練習があったはずだが、妹が部活に行っていた様子が全く思い出せない。
どこまでも、私は自分中心で生きていて、自分以外のことに心を向ける余裕がなかった。
あれから何十年も経ち、久しぶりに集まった時、妹がこのエピソードを口にした。
けなげで優しいはずの妹も、「ひどい姉だ」と、言い切り、
私は「ごめん、ごめん」と手を合わせるしかない。
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