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総てが規格外だった病める天才(中島らも編)
小説紹介第五弾!
「ガダラの豚」 中島らも
1993年発売
本日紹介するのは作家であり、バンドマンであり、劇団主催者であり、コピーライターである、幾つもの顔を持った中島らも。
残念ながら酔って階段から落ちて既に亡くなっております。
アル中になり、ヤク中になり、鬱にもなった人生病みまくっていた人物。
そんな彼が作家として頭角を現したのが、自身のアルコール中毒の入院記を元にした(今夜すべてのバーで)という作品。
私自身もその作品でらもワールドに嵌っていきました。
この作品は半分ノンフィクション的要素のある作品だったので、本当の意味で小説を書いたのは(ガダラの豚)という大長編だと思う。
これが滅茶苦茶面白かったんです。
主人公はインチキ宗教者や超能力者の嘘を見破る詐欺師。
世の中に呪いや超常現象何て絶対にないというのが信念でした。
しかしある日娘が旅行に行ったケニアで行方不明になり、ケニアの呪術師に術をかけられてしまいます。
何とか術を解き日本に戻ってくるのですが、呪術師が追いかけてきて壮大な戦いになる物語。
冒頭の感じからエンデインングの壮大さに差があり、ホント驚かされるんですが、エンタメ作品としても最高に楽しめる作品でした。
今作はらも氏の作家としての能力華咲いた記念的作品です。
日本推理作家協会賞も受賞しております。
それでは超個人的らも氏のお勧めベストスリーを。
第三位 今夜すべてのバーで 1991年発売 吉川英治文学新人賞受賞作。本当にアル中になったらも氏が、病院で経験した事感じた事を小説にした作品。死体を洗うアルコールでさえ飲もうとしたりするシーンは印象的でした。
第二位 アマニタパンセリナ 1995年発売 これも問題作。あらゆる薬や幻覚要素のある植物や動物を試した際のエッセイ。咳止めに昔は入ってたブロンや、メキシコで幻覚作用のあるサボテンが、日本では普通にホームセンターで売っていて、自身で乾燥させ試したりします。あとがきに、薬の事を書いていいのは自分とウィリアム・バローズ(薬でキメて奥さんとウイリアムテルごっこをして、頭の上のりんごを拳銃で狙うものの殺してしまった)だけだという一文に妙に納得させられました。夢だったアフリカの民族のお祭りでする、ガマ舐め(興奮すると幻覚作用のある液を分泌するガマガエルを舐める)は出来ずに亡くなったのは、本人も悔しかった事でしょう。
第一 ガダラの豚 1993年発売 先程も書いたけど、エンタメ性は今作が一番!らも氏初心者が読んでも面白いと思います。薬や酒の話はハードルが高い人はぜひ今作を。
もっと沢山読みたかった作家さんです。